塩野義製薬株式会社(本社:大阪市中央区、代表取締役社長:手代木 功、以下「塩野義製薬」)は、本日より、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の下水疫学調査サービスを開始しましたので、お知らせいたします。
本サービスは、下水疫学に基づき、下水中に含まれるSARS-CoV-2の濃度を定期的にモニタリングすることで、対象地域におけるSARS-CoV-2の感染状況を調査するサービスです。各自治体の下水処理場において、定期的に下水を採取しモニタリングをおこなうことで、対象地域の感染状況把握に貢献することが期待されます。
SARS-CoV-2感染者の糞便中には、発症の前段階からウイルスが存在する可能性が指摘されており1、米国やオランダでは、施設や都市の下水に含まれるSARS-CoV-2を定期的にモニタリングすることで、流行状況の早期検知や収束判断などを行っています2, 3。日本においては、米国や欧州の一部の国・地域と比較して、人口当たりのSARS-CoV-2感染者数が少なく、下水中のSARS-CoV-2濃度が低いため、都市の下水からウイルスを検出するためには、感度の高い検出技術が必要とされていました。
塩野義製薬は、北海道大学(北海道札幌市,総長:寳金 清博)と2020年10月に共同研究契約を締結し、下水中のSARS-CoV-2の高感度検出技術(以下、本検出技術)の共同研究に取り組んでまいりました。2021年4月からは、大阪府の協力のもと、本検出技術を活用し、下水処理場の流入下水を使用したSARS-CoV-2の定量的モニタリングに取り組み4、SARS-CoV-2の定量的検出が可能であることを確認しました。本日より、本検出技術を用いた各自治体の下水処理場への流入下水を対象としたサービス提供を開始します。
下水疫学調査の結果は、個人が特定されない形で地域のSARS-CoV-2の感染拡大や収束の傾向を把握できることから、各自治体が感染拡大予防策を講じる際の1つの客観的な指標として活用されることが期待されます。
現在、塩野義製薬は、株式会社島津製作所とともに、下水疫学調査の早期社会実装を目指して、業務提携に向けた協議を進めております5。両社の強みを融合することで、下水中に含まれるウイルスのモニタリングデータをもとにした、感染状況や変異株の発生動向などを早期に検知可能とする、下水モニタリングの社会システム構築を目指しております。
以 上
[お問合せ先]
下水疫学調査に関するお問い合わせ:
https://www.shionogi.com/jp/ja/innovation/wbe
プレスリリースに関するお問い合わせ 塩野義製薬ウェブサイト お問い合わせフォーム:
https://www.shionogi.com/jp/ja/quest.html#3.
塩野義製薬株式会社について
塩野義製薬は、取り組むべきマテリアリティ(重要課題)として「感染症の脅威からの解放」を特定し、治療薬の研究・開発にとどまらず、未病・啓発・予防・診断並びに重症化抑制といった感染症のトータルケアに対する取り組みを進めています。感染症薬のリーディングカンパニーとして,新型コロナウイルス感染症の早期終息による社会の安心・安全の回復に貢献するために,新規の治療薬,ワクチン等の開発に加えて既存の化合物の価値を最大化し、より多くの患者さまにヘルスケアソリューションを提供できるよう、外部パートナーとの連携を含めた取り組みを強化しています。
参考:
1. Duration of SARS-CoV-2 viral shedding in faeces as a parameter for wastewater-based epidemiology: Re-analysis of patient data using a shedding dynamics model, Science of The Total Environment, Vol. 769, 15 May 2021
2. カリフォルニア大学サンディエゴ校におけるCOVID-19対応状況:COVID-19 containment on a college campus via wastewater-based epidemiology, targeted clinical testing and an intervention, Science of The Total Environment, Vol. 779, 20 July 2021
3. オランダ国立公衆衛生環境研究所ホームページCoronavirus monitoring in sewage research:https://coronadashboard.government.nl/landelijk/rioolwater
大阪府で下水から新型コロナ流行状況のモニタリングを開始
5. プレスリリース:2021年6月2日
新型コロナウイルスを含む感染症領域の下水モニタリングに関する 塩野義製薬と島津製作所による業務提携の基本合意書の締結について
新型コロナウイルス感染症に対する当社の取り組みは、当社ホームページでも随時更新しております。また、各機関から発信されている新型コロナウイルス感染症に関する情報も同ページにまとめておりますので、ご参考までにご確認ください(塩野義製薬 ウェブサイト)。