塩野義製薬株式会社(本社:大阪市中央区、代表取締役社長:手代木 功、以下「塩野義製薬」または「当社」)は、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の下水疫学調査における変異解析サービスを本日より開始しましたので、お知らせいたします。
当社は、自治体の下水処理場への流入下水を対象としたSARS-CoV-2の定量的測定サービスを2021年6月から開始しています1。新たに開始する変異解析サービスでは、定量的測定に加えて、下水中にどういった変異株が含まれているのかを検出することで、対象地域における変異株の発生および蔓延状況の把握に貢献することが期待されます。アルファ株、デルタ株など、既存の変異株に加え、WHO(World Health Organization:世界保険機関)が2021年11月26日に警戒度が最も高い「懸念される変異株」2に指定したオミクロン株についても、検出可能な技術として開発しています。
SARS-CoV-2によるパンデミック発生以降、新たな変異株の発生が感染拡大の一因となったことから、変異株の早期検知、感染状況のモニタリングを適切におこなうことは、次の感染拡大を防ぐための備えとなります。これまでに当社は、北海道大学(北海道札幌市,総長:寳金 清博)とともに、国内で下水中のSARS-CoV-2の変異解析に取り組み、自治体が変異株の国内流入を確認する前に、変異株の推定に成功しています3。下水疫学調査の社会実装が進む欧米を中心に同様の報告が複数あることから、下水疫学調査を用いた変異解析は、変異株の早期検知に有効な手段であると期待されています4。また、当社は株式会社島津製作所とともに、下水疫学調査の早期社会実装を目指して、業務提携に向けた協議を進めています5。
塩野義製薬は、取り組むべきマテリアリティ(重要課題)として「感染症の脅威からの解放」を特定し、治療薬の研究・開発だけにとどまらず、未病・啓発・予防・診断並びに重症化抑制といった感染症のトータルケアに対する取り組みを進めています。外部パートナーとの連携を強化し、強みを融合することで、下水中に含まれるウイルスのモニタリングデータをもとにした、感染状況や変異株の発生動向などを早期に検知可能とする社会システムを構築し、地域・社会における感染症対策に貢献してまいります。
なお、本件が2022年3月期の連結業績予想に与える影響に関しては軽微です。
以 上
下水疫学調査に関するお問い合わせ:
参考:
新型コロナウイルスの下水疫学調査サービスの開始について
2. Classification of Omicron (B.1.1.529): SARS-CoV-2 Variant of Concern
https://www.who.int/news/item/26-11-2021-classification-of-omicron-(b.1.1.529)-sars-cov-2-variant-of-concern
3. 北島正章, 岩本遼. 2021. 下水中の新型コロナウイルスの高感度検出および変異解析法の開発. 水環境学会誌 vol.44, No.11, 2021, p370-375
4. Testing and sequencing of sewage ramped up to help tackle COVID-19 outbreaks
https://www.gov.uk/government/news/testing-and-sequencing-of-sewage-ramped-up-to-help-tackle-covid-19-outbreaks
新型コロナウイルスを含む感染症領域の下水モニタリングに関する 塩野義製薬と島津製作所による業務提携の基本合意書の締結について
新型コロナウイルス感染症に対する当社の取り組みは、当社ホームページでも随時更新しております。また、各機関から発信されている新型コロナウイルス感染症に関する情報も同ページにまとめておりますので、ご参考までにご確認ください(塩野義製薬 ウェブサイト)。