2022/05/16

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチンS-268019の 青少年を対象とした国内第2/3相臨床試験の開始のお知らせ

 塩野義製薬株式会社(本社:大阪市中央区、代表取締役社長:手代木 功、以下「塩野義製薬」または「当社」)は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対する予防ワクチン(開発番号:S-268019)について、青少年(12歳~19歳)を対象とした国内第2/3相臨床試験を開始しましたので、お知らせいたします。

 

 本臨床試験は、青少年(12歳~19歳)を対象に、S-268019を初回免疫(1回目・2回目)および追加免疫で接種した際の安全性および免疫原性の評価を目的に実施し、臨床的有用性を検討します。

 オミクロン株の流行以降、低年齢層における感染者数が増加していることから、ワクチン接種が進むことが期待されており、成人同様に接種における選択肢が必要です。

 また、小児(5歳~11歳)へのワクチン接種についても、12歳以上と同様に接種の意義があるとされており1、塩野義製薬では、今後、小児(5歳~11歳)を対象とした臨床試験の開始も予定しています。

 

 当社では、現在、最終段階の5つの臨床試験を実施中です。国内の承認申請に向けて、2022年2月より独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)との事前評価相談を開始しており、現在実施中の臨床試験の進捗ならびに結果に基づき、厚生労働省やPMDA等と協議を進めています。小児、青少年での開発に取り組むことで、幅広い年代の方々にCOVID-19ワクチン接種における新たな選択肢を提供できるように、早期開発・供給に向け取り組んでまいります。

 

 塩野義製薬は、取り組むべきマテリアリティ(重要課題)として「感染症の脅威からの解放」を特定し、感染症のトータルケアの実現に向けた取り組みを進めております。COVID-19が世界的な脅威として人々の生活に大きな影響を与える中、当社はパンデミックの早期終息による社会の安心・安全の回復に貢献するために、国産ワクチンの早期開発・供給に引き続き注力し、企業としての社会的責任を果してまいります。

 

 なお、本件が2023年3月期の連結業績予想に与える影響については軽微です。

以 上

 

[お問合せ先]

塩野義製薬ウェブサイト お問い合わせフォーム:

https://www.shionogi.com/jp/ja/quest.html#3.

 

【青少年(12歳~19歳)を対象とした国内第2/3相臨床試験】

 青少年(12歳~19歳)を対象とした国内第2/3相臨床試験は、S-268019の初回免疫(1回目・2回目)および追加免疫として接種した際の安全性と免疫原性の評価を目的とする、青少年350例(S-268019群:300例、コミナティ群:50例)を対象とした無作為化実薬対照二重盲検比較試験です。

 

(初回免疫パート)

 青少年にS-268019を2回接種した28日後の新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に対する中和抗体価について、第3相中和抗体価比較試験で得られた成人にS-268019を2回接種した28日後のSARS-CoV-2に対する中和抗体価を対照に、非劣性を検証する。

 

(追加免疫パート)

 青少年に追加免疫としてS-268019を3回目に接種した28日後のSARS-CoV-2に対する中和抗体価について、本試験で初回免疫として2回接種した28日後のSARS-CoV-2に対する中和抗体価を対照に、非劣性を検証する。

 

【国内第1/2相臨床試験について】

 国内第1/2相臨床試験は、S-268019の2回接種後の安全性、忍容性ならびに免疫原性の評価を目的とする成人60例を対象とした無作為化プラセボ対照二重盲検比較試験です。試験の詳細は、jRCT2031210269をご参照ください。本試験の被験者登録は完了しており、2回接種28日後までの評価において、S-268019の忍容性と安全性が確認され、免疫原性については回復期患者血清と同程度の中和抗体価の上昇を確認しました。

 

【国内第2/3相臨床試験について】

 国内第2/3相臨床試験は、S-268019の安全性、忍容性ならびに免疫原性の評価を目的とする成人および高齢者3,100例を対象としたオープンラベル試験です。試験の詳細は、jRCT2031210383をご参照ください。本試験の被験者登録は完了しており、2回接種28日後までの評価において、忍容性・安全性と中和抗体価の上昇を確認しました。

 

【国内第2/3相追加免疫試験について】

 国内第2/3相追加免疫試験は、コミナティ筋注を2回接種後6ヶ月以上経過した成人200例を対象としS-268019あるいはコミナティ筋注の追加接種後の免疫原性を指標として、S-268019のコミナティ筋注に対する非劣性検証および安全性評価を目的とする無作為化実薬対照二重盲検比較試験です。試験の詳細は、jRCT2031210470をご参照ください。本試験の被験者登録は完了しており、接種28日後のSARS-CoV-2に対する中和抗体価について、主要評価項目を達成しました。

 

【国内第3相追加免疫試験について】

 国内第3相追加免疫試験は、スパイクバックスTM筋注を2回接種した20歳以上64歳以下の成人およびコミナティ筋注またはスパイクバックスTM筋注を2回接種した65歳以上の高齢者150例を対象に、S-268019の追加接種後の安全性評価を目的とするオープンラベル試験です。試験の詳細は、jRCT2031210613をご参照ください。本試験の被験者登録は完了しています。

 

【中和抗体価比較試験について】

 中和抗体価比較試験は、2回接種後の免疫原性を指標として、S-268019と既承認ワクチン(バキスゼブリア筋注)の比較検証を目的とする成人および高齢者1,000例を対象とした無作為化実薬対照二重盲検比較試験です。試験の詳細は、jRCT2051210151をご参照ください。本試験の被験者登録は完了しています。

 

【発症予防試験について】

 発症予防試験は、S-268019の2回接種後のCOVID-19発症予防効果の検証を目的に、成人および高齢者約50,000例を対象とした無作為化プラセボ対照二重盲検比較試験です。実薬:プラセボは2:1の割り付けであり、クロスオーバー法により被験者全例が実薬接種の機会を得ることが出来ます。現在、臨床試験実施許可が得られた最初の試験実施国であるベトナムでの被験者登録を進めています。

 

なお、いずれの臨床試験におきましても、被験者は希望すれば試験期間中いつでも試験参加を辞退することが可能です。

 

国内第1/2相臨床試験については、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(Japan Agency for Medical Research and Development: AMED)の支援を受けております。

 

COVID-19に対する当社の取り組みは、当社ホームページでも随時更新しております。また、各機関から発信されているCOVID-19に関する情報も同ページにまとめておりますので、ご参考までにご確認ください(塩野義製薬ウェブサイト)。

 

参照

1.       公益社団法人 日本小児科学会 5~11歳小児への新型コロナワクチン接種に対する考え方
http://www.jpeds.or.jp/modules/activity/index.php?content_id=404