中期経営計画STS2030のRevision(改訂)について
塩野義製薬株式会社(本社:大阪市中央区、代表取締役会長兼社長CEO:手代木 功、以下「当社」)は、このたび、2020年6月に公表しました2030年度を最終年度とする中期経営計画「SHIONOGI Transformation Strategy 2030(STS2030)」のRevision(改訂)を行いましたので、以下の通りお知らせいたします。
記
1 STS2030の改訂とその背景
当社は2020年6月に、2030年に成し遂げたいこととしてSHIONOGI Group Vision(2030年Vision)を掲げ、それを達成するための戦略であるSTS2030を策定1し、取り組みを進めてきました。
STS2030公表以降の3事業年度は、全世界が新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)のパンデミックによる社会・医療の混乱に直面し、早期収束に向けた対応や社会保障のあり方、人々の健康的な日々に対する再認識など、ヘルスケア産業を取り巻く外部環境はより一層急速に変化しました。このような中、当社はビジネスの変革を強力に推し進め、「Transformation」の具現化に取り組んできた結果、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)治療薬エンシトレルビル フマル酸(日本での製品名「ゾコーバ錠」、以下「エンシトレルビル」)をこれまでとは全く異なるスピードで国内緊急承認を取得するなど、創薬力を進化させてきました。また、セフィデロコル等の自社製品群のグローバルでの拡大を果たすとともに、当社初となるワクチンや下水疫学調査サービスなど医療用医薬品以外の製品やサービスを拡大させ、意思決定の質とスピードを高めるためにガバナンス改革等の経営基盤を強化しました。さらに、数値目標に対しても、売上収益、コア営業利益、コア営業利益率、自社創薬比率、基本的1株当たり当期利益(EPS)、親会社所有者帰属持分当期利益率(ROE)の6項目で2022年度の目標を達成しました。
当社が目指す方向性自体はSTS2030策定時より変更はありませんが、この3事業年度の取り組みによる成果や学びから、2030年 Vision実現に向けた道筋がより明確となったため、このたびSTS2030を改訂し、「STS2030 Revision」として再策定しました。従来のSTS2030では、2020年度を起点とする2024年度までの5年間をSTS Phase1、以降2030年度までをSTS Phase2と位置付けていましたが、このたび改訂したSTS2030 Revisionでは、STS Phase1を2022年度までで前倒して終了し、2023年度から2025年度の3ヵ年を新たにSTS Phase2と位置付け、変革による成長を加速することにいたしました。また、2026年度から2030年度までをSTS Phase3として今後のビジネスの進展や環境変化を踏まえた新たな計画を策定していく予定です。
* Healthcare as a Service:医薬品の提供にとどまらず、顧客ニーズに応じた様々なヘルスケアサービスを提供すること
2 改訂した中期経営計画「STS2030 Revision」の3つの柱と改訂後の経営目標
2.1 改訂した中期経営計画「STS2030 Revision」の3つの柱
STS2030 Revisionでは、2030年Vision実現に向けて以下の3点を成長の柱と考えています。
① HIVビジネスの更なる成長
英国ViiV Healthcare Ltd.(以下、ヴィーブ社)によるHIVフランチャイズの売上が、Dovato等の経口2剤レジメン、Cabenuvaなどの長時間作用型製剤の好調な立ち上がりによって非常に順調に推移しております。今後は、治療薬のCabenuva、長時間作用型の予防薬Apretudeの市場浸透が大きく前進すること、S-365598をはじめとした次世代新規治療薬/予防薬候補の創出により継続的な成長を実現いたします。その結果として、一部のHIV製品の特許切れによるパテントクリフは、STS2030公表時の想定より大きく縮小し、速やかに再成長することを見込んでいます。
② COVID-19治療薬の成長
COVID-19パンデミックは収束に向かいつつありますが、今なお世界中の多くの人々の健康や生活に影響を与え続けています。今後も変異を繰り返しながら免疫を回避し、流行が継続することが予想され、治療薬へのニーズは引き続き存在すると考えています。当社では、エンシトレルビルの新たなエビデンスを集積し、グローバルで提供するとともに、より多くの方に使って頂ける優れた新規治療薬の創出に引き続き注力いたします。
③ 新製品/新規事業の拡大
医療用医薬品事業における新製品は、現在の開発パイプラインの中から2030年度までに10製品以上の上市を予定しており、既存アセットの成長や製品導入等を通じてグローバルで成長していきます。ワクチン事業は、実績を積み上げ、競争力を獲得しながらグローバル展開を目指します。
2.2 改訂後の経営目標
STS2030 Revisionでは、達成すべき財務経営指標として3つの成長性指標と3つの株主還元指標を設定しました。成長性指標については、トップラインの成長を優先して進めていくことから売上収益、またその成長をグローバルに成し遂げていくことから海外売上高CAGRを選定し、さらには成長に向けた積極的な投資を行っていくことと稼ぐ力を測るためにEBITDAを選定しています。また、非財務項目につきましても、環境、人権、人的資本を中心に設定しました。
<成長性指標>
・売上収益
・海外売上高 CAGR(Compound Annual Growth Rate:年平均成長率)
・EBITDA(Earnings Before Interest, Taxes, Depreciation, and Amortization:利払い・税引き・償却前利益)
業績評価指標(KPI) |
2022年度実績 |
2023年度 |
2025年度 |
2030年度 |
|
成長性 |
売上収益 |
4,267億円 |
4,500億円 |
5,500億円 |
8,000億円 |
海外売上高 CAGR* |
- |
- |
50 % FY2022を起点 |
15 % FY2025を起点 |
|
EBITDA |
1,780 億円 |
1,670億円 |
2,000億円 |
- |
* ロイヤリティー収入を除く
<株主還元指標>
・EPS(基本的1株当たり当期利益)
・DOE(親会社所有者帰属持分配当率)
・ROE(親会社所有者帰属持分当期利益率)
業績評価指標(KPI) |
2022年度実績 |
2023年度 |
2025年度 |
2030年度 |
|
株主還元 |
EPS |
621.31円 |
530円以上 |
600円以上 |
- |
DOE |
3.9 % (予定) |
4.0 % |
4 % |
- |
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ROE |
17.8 % |
13.5%以上 |
14 %以上 |
- |
3 中期経営計画「STS Phase2(2023年度~2025年度)」の概要
STS Phase2においては、「感染症領域を中心としたグローバルでのトップラインの成長」と「積極投資による成長ドライバーの育成を実現」することを基本方針とし、以下の6点の成長戦略に基づきグローバル展開と成長投資を加速いたします。
<ヘルスケア社会課題解決を通じた価値創造>
当社は事業活動を通じて社会課題やアンメットニーズに応え、社会から必要として頂ける企業として成長し、その成果をステークホルダーの皆さまと共有することを目指しています。その実現のため、SHIONOGIを取り巻く環境の変化やそこから抽出されるリスクと機会、SHIONOGIの現状や課題などを分析して最優先に取り組む重要課題(マテリアリティ)を再特定し、これらの実現に向けて活動していきます。
・感染症の脅威からの解放
・健やかで豊かな人生への貢献
・医療アクセスの向上
<経営基盤の強化と持続可能な社会への貢献>
さらなる成長フェーズに移行するためには、新たな価値を創造することができる組織にTransformすることが必要です。「『構造』を変え、構造を動かす『プロセス』を変え、プロセスを運営する『人材』を育てる事で、価値を創造する」ことを経営基盤構築の基本方針として、変革を進めていきます。また、ステークホルダーの皆さまとの対話を通じたサステイナビリティに関する諸課題への対応を強化することで持続可能な社会へ貢献いたします。
・注力する戦略(グローバル戦略および投資/財務戦略の実行)
・変革の取り組み(スピードの向上、コーポレート機能のグローバル化、DX変革の実現)
・ESG経営の強化(人的資本マネジメント、サステイナビリティ)
STS2030 RevisionおよびSTS Phase2の内容の詳細につきましては、プレゼンテーション資料(https://www.shionogi.com/jp/ja/investors/ir-library/presentation-materials.html)ならびに当社ウェブサイト(https://www.shionogi.com/jp/ja/company/strategy/sts2030.html)をご参照下さい。
(注)本プレスリリースに含まれる将来の予測に関する事項は、現時点において当社が入手している情報に基づいて作成されたものであり、実際の業績等は様々な要因により異なる可能性があります。
以 上
参考:
1. プレスリリース:2020年6月1日
新中期経営計画(STS2030)の策定について
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