2024/02/26

デジタル治療用アプリSDT-001の国内第3相臨床試験の良好な結果および国内における製造販売承認申請について

 塩野義製薬株式会社(本社:大阪市中央区、代表取締役会長兼社長CEO:手代木 功、以下「塩野義製薬」、または「当社」)は、当社がAkili, Inc.(本社:米国マサチューセッツ州、CEO:Matt Franklin、以下「Akili 社」)から日本および台湾における独占的開発権・販売権を取得1しているデジタル治療用アプリSDT-001について、当社が2月26日付けで日本での製造販売承認申請を行いましたので、お知らせいたします。

 

 SDT-001は、小児の注意欠如・多動症(以下、「ADHD」)患者を対象としたデジタル治療用アプリです。Akili社は、これまでに8~17歳の小児のADHD患者での不注意症状の改善に用いる世界初のデジタル治療用アプリとして、米国食品医薬品局(FDA)の承認を取得しています(米国での製品名:EndeavorRx🄬)。また、欧州ではCEマーク*を取得しております2

 (*CEマーク:欧州経済地域EEA(European Economic Area)へ製品を出荷流通する時に必要とされる表示基準で、市場流通する製品の安全水準が確保されていることを客観的に示すマーク表示)

 

 このたびの国内における製造販売承認申請は、当社が日本で実施した第3相臨床試験(以下、「当試験」)の良好な結果に基づいています。当試験は、ADHD治療で通常行われる環境調整や心理社会的治療が実施された6~17歳の小児ADHD患者164名を対象に、SDT-001の有効性と安全性の評価を目的に実施された試験です。その結果、主要評価項目としたADHD重症度評価尺度であるADHD-RS-IV不注意スコアのベースラインからの変化量について、SDT-001群(1日1回約25分を6週間 [1サイクル] 継続)は、通常治療群(環境調整や心理社会的治療継続)に対して、治療開始6週時点で統計的に有意な改善を認め(p<0.05)、本試験における主目的を達成しました。主要な副次評価項目としたADHD-RS-IVの合計スコアおよび多動/衝動性スコアのベースラインからの変化量についても、SDT-001群は通常治療群に対して、治療開始6週時点で統計的に有意な改善が認められました(p<0.05)。SDT-001群において安全性で問題となる有害事象、および重篤な有害事象の発現は認められませんでした。また、SDT-001を2サイクル使用しても症状改善がみられ、安全性で問題となる有害事象は見られませんでした。

 

 塩野義製薬は、「新たなプラットフォームでヘルスケアの未来を創り出す」というSHIONOGI Group Visionを定め、その実現に向けてヘルスケアサービスを提供する「HaaS企業」への変革を掲げています。当社は、これまで培った創薬型製薬企業としての強みを磨きつつ、外部パートナーとの連携を含めた取り組みを強化し、医療用医薬品の提供だけにとどまらない多様な治療選択肢を提供することで、患者さまとそのご家族の QOL 向上に貢献してまいります。

以 上

【SDT-001について】

SDT-001は、当社がAkili社から日本および台湾における独占的開発権・販売権を取得1している、小児のADHDを対象としたデジタル治療用アプリです。スマートフォンやタブレットで本アプリに取り組むことによってADHDの症状緩和が期待されます。Akili Selective Stimulus Management Engine (以下「SSMETM」) コアテクノロジーに基づいて、認知機能において重要な役割を果たすとされる脳の前頭前野を活性化するように設計されています。SSMETMは、患者さまごとに最適化された二重課題を行うことで、大脳皮質の刺激を行います。これによって、患者さまの状態を改善するように促します。

 

【Akili 社について】

Akili 社は、デジタル治療用アプリの開発に取り組む企業であり、革新的な医薬品を創生するために独創的な技術で医療への応用を進めています。Akili社は、脳を直接的に標的とする技術を活用し、高品質のデジタル治療用アプリなど、医療機器と同様に臨床試験で検証された、新しい医学へのアプローチを続けています。また、Akili 社は、患者さまの状態を総合的にモニタリングするためのアプリケーションも開発しています。Akili 社の詳細については、www.akiliinteractive.comをご覧ください。

■参考

1.       プレスリリース:2019年3月7日

デジタル治療用アプリ AKL-T01、AKL-T02 の導入に関するAkili社とのライセンス契約締結について

2.       プレスリリース:2020年6月24日

デジタル治療用アプリAKL-T01の米国における承認取得および欧州におけるCEマークの取得に関するAkili社の発表について

 

 

【お問い合わせ先】
塩野義製薬ウェブサイト お問い合わせフォーム:https://www.shionogi.com/jp/ja/quest.html#3.