2020/06/24

デジタル治療用アプリAKL-T01の米国における承認取得および欧州における CEマークの取得に関するAkili社の発表について

塩野義製薬株式会社(本社:大阪市中央区、代表取締役社長:手代木 功、以下「塩野義製薬」または当社)は、当社が日本および台湾における独占的開発権・販売権を取得1しているデジタル治療用アプリAKL-T01(米国での製品名:EndeavorRxTM)について,Akili Interactive Labs, Inc.(本社:米国マサチューセッツ州、CEO:Eddie Martucci、以下「Akili社」)が、8~12歳の小児の不注意優勢型または混合型の注意欠如・多動症(以下、注意欠如・多動症:ADHD)におけるコンピュータを用いて評価された不注意症状の改善を適応として、世界初のゲームベースのデジタル治療として米国食品医薬品局(FDA)の承認取得したこと2、および欧州においてCEマークを取得したこと3を発表しましたので、お知らせいたします。

 

このたびのFDAによるAKL-T01の承認は、ADHDと診断された600人以上の小児を対象とした5つの臨床試験のデータに基づいております。その中の1つであるSTARS-ADHD試験は、T.O.V.A.® *の注意機能スコアであるAttention Performance Index(API)の変化量を主要評価項目とし、8歳~12歳のADHD患者におけるAKL-T01の有効性と安全性を評価することを目的に実施された第III相臨床試験です。T.O.V.A. APIのベースラインからの変化量について、AKL-T01群は、対照群(Word puzzle)に対して統計的に有意な改善を認めました(p=0.006)。また、安全性においては、AKL-T01群で問題となる有害事象は見られず、重篤な有害事象の発現も認められておりません4。FDAから承認を取得したことで、AKL-T01は薬物療法や心理社会的療法を含めたADHDの治療プログラムの一環として、小児のADHD患者さまの治療に貢献することが期待されます。

* T.O.V.A.(Test of Variables of Attention):米国FDAが承認した注意および抑制制御に関する客観的な評価方法

日本においては、塩野義製薬が開発番号SDT-001として本製品の開発に取り組んでおり、6歳~17歳の小児のADHD患者を対象として、有効性と安全性を探索的に検討することを目的とした第II相臨床試験を実施中です。

 

塩野義製薬は、取り組むべき重要課題(マテリアリティ)として「社会生産性向上」を特定しています。当社はADHDを含む精神・神経系疾患を抱える患者さまとそのご家族へ、多様な治療選択肢を提供することで、患者さまとそのご家族のQOLや生産性の向上に貢献してまいります。

 

以 上

 

【AKL-T01(EndevorRxTM, SDT-001)について】

AKL-T01は、小児のADHDを対象としたデジタル治療用アプリです。AKL-T01は、スマートフォンやタブレット上で操作するゲーム形式の治療法であり、Akili Selective Stimulus Management Engine(SSMETM)コアテクノロジーに基づいて、認知機能において重要な役割を果たすとされる脳の前頭前野を活性化するように設計されています。SSMETMは、患者さまごとに最適化された二重課題を行うことで、大脳皮質の刺激を行います。これによって、患者さまの状態をモニタリングし、患者さまごとに最適化された難易度のゲームに継続して取り組むことで、患者さまの状態を改善するように促します。

 

【Akili社について】

Akili社は、デジタル治療用アプリの開発に取り組む企業であり、革新的な医薬品を創生するために独創的な技術で医療への応用を進めています。先駆者として、高品質のビデオゲームによるデジタル治療用アプリを開発し、ADHD、大うつ病性障害(MDD)、自閉症(ASD)を含む精神・神経領域、および各種炎症性疾患の認知機能障害を対象とした広範な領域において、複数のパイプラインの開発を進めています。また、Akili社は、患者さまの状態を総合的にモニタリングするためのアプリケーションも開発しています。Akili社の詳細については、www.akiliinteractive.comをご覧ください。

 

参考:

1.      プレスリリース: 2019年3月7日
デジタル治療用アプリAKL-T01、AKL-T02の導入に関するAkili社とのライセンス契約締結について

2.      Akili Announces FDA Clearance of EndeavorRx™ for Children with ADHD, the First Prescription Treatment Delivered Through a Video Game

https://www.akiliinteractive.com/news-collection/akili-announces-endeavortm-attention-treatment-is-now-available-for-children-with-attention-deficit-hyperactivity-disorder-adhd-al3pw

3.      Akili Announces CE Mark Approval of EndeavorRx™ Digital Treatment for Children with ADHD

https://www.akiliinteractive.com/news-collection/akili-announces-ce-mark-approval-of-endeavorrxtm-digital-treatment-for-children-with-adhd

4.      Scott H Kollins, PhD et al. A novel digital intervention for actively reducing severity of paediatric ADHD(SRARS-ADHD): a randomized controlled trial. Lancet Digital Health; published online February 24, 2020:

https://doi.org/10.1016/S2589-7500(20)30017-0