ポンペ病に対する新規治療薬候補の導入に関する
塩野義製薬株式会社(本社:大阪市中央区、代表取締役会長兼社長CEO:手代木 功、以下「塩野義製薬」または「当社」)は、このたび、ポンペ病に対する新規治療薬候補であるMZE001の導入に関するライセンス契約を、Maze Therapeutics社(本社:米国 サンフランシスコ、CEO:Jason Coloma、以下「Maze社」)との間で締結しましたので、お知らせいたします。
ポンペ病は、細胞内でのグリコーゲンの分解に必要な酵素が生まれつき足りないために、全身の細胞(特に筋肉の細胞)にグリコーゲンが蓄積することで、筋力の低下や歩行障害、呼吸器障害、心機能障害など様々な症状を発症する先天性の代謝異常疾患です。世界でのポンペ病の患者数は5 万人と推定されています。現在、ポンペ病の治療は、グリコーゲンの分解に必要な酵素である酸性α-グルコシダーゼ(GAA)を補充する酵素補充療法(以下、「ERT」)が中心ですが、単独の治療では症状の改善効果やその持続性に多くの課題が存在し、新たな治療選択肢が求められています。
Maze社から導入したMZE001は、同社が設計・開発した低分子の経口薬で、米国では希少疾患用医薬品の指定を受けています。本剤はグリコーゲンの合成を担う酵素であるGlycogen synthase1(GYS1)を阻害し、筋肉中のグリコーゲン濃度を低下させることで症状の改善が期待でき、既に実施されているPhase1試験において、筋肉中のグリコーゲン濃度の低下作用が確認されています。また、既存のERTとは作用メカニズムが異なることから、単剤に加え、ERTとの併用での治療効果も期待できます。今後、MZE001の単独療法、ERTとの併用療法のそれぞれの適応を目指して、当社がPhase2試験を開始いたします。
本契約の締結により、当社はMZE001の全世界における独占的開発権・製造権・販売権を獲得します。また、Maze社に対しては、契約締結に伴う一時金(150百万ドル)と、今後の開発進展や承認の取得、製品上市後の販売額に応じたマイルストン、および販売額に応じたロイヤリティーを支払います。なお、本契約は米国ハート・スコット・ロディノ反トラスト改正法(HSR法)に基づく、待機期間の満了を条件としていましたが、2024年5月10日付で待機期間が満了しました。
塩野義製薬は、取り組むべき重要課題(マテリアリティ)として「健やかで豊かな人生への貢献」を特定し、誰もがより長く、そして自分らしくいきいきとした生活を送ることができる社会の実現に向け、取り組みを進めています。アンメットメディカルニーズの高い疾患に対する画期的な治療薬である本剤を、患者さまにいち早くお届けできるよう、引き続き努力してまいります。
以 上
【Maze社について】
Maze Therapeutics社は、アンメットニーズが大きい疾患を対象として、遺伝学のアプローチから患者の生活を変える画期的な医薬品の開発に取り組む、バイオ医薬品企業です。同社は、遺伝子情報を医薬品に結びつける、独自のプラットフォームであるMAZE COMPASSを有しており、このプラットフォームを活用することで、大手製薬企業と協力し独自の治療法を開発することを目指しています。
詳細はMaze社のホームページをご覧ください。
【ポンペ病について】
ポンペ病は、細胞内でのグリコーゲンの分解に必要な酵素が生まれつき足りないために、全身の細胞(特に筋肉の細胞)にグリコーゲンが蓄積することで、筋力の低下や成長の遅延、呼吸機能の低下など様々な症状を発症する、先天性の代謝異常疾患です。世界でのポンペ病の患者数は 5 万人と推定されており、日本においては「指定難病」および「小児性特定疾病」に指定され、医療費助成制度等の対象となっております。
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