• 省資源・資源循環に対する考え方

     SHIONOGIグループ(以下、SHIONOGI)では、省資源と資源循環は環境問題や資源の枯渇といった課題に対処するための重要なアプローチと考えており、資源の節約と有効活用による環境への負荷軽減に取り組んでいます。具体的には、企業活動における資源利用の最小化、廃棄物の発生抑制、再使用、再利用を推進しており、医薬品の臨床開発を進めている段階から製品製造時の省資源・資源循環を見据えた最適な製造法や包装方法の開発を実施しています。

     SHIONOGIの生産を担うシオノギファーマ株式会社では、製品の製造過程や包装工程で発生するプラスチックの適正廃棄の徹底に加え、製品の品質や安定供給に影響しないことを確認した上で、包装容器の材質や仕様の変更などプラスチック使用量の低減を進めています。また、環境負荷が少ないバイオマスプラスチックへの切り替えや、高品質な再生プラスチックの採用、複数の産業で構成されている『資源循環プロジェクト*1』にて共同開発したラベル台紙水平リサイクル技術など、新技術の実装にも積極的に取り組んでいます。

     

    *1 資源循環プロジェクト (shigenjunkan.com)

目標と実績

中長期目標
実績
廃棄物各指標の推移と発生量種類別内訳
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容器包装使用量、再資源化委託量(2024年度実績)(トン)
  容器包装使用量 再資源化委託量
プラスチック 584 202
151 4
ガラス(無色) 35 6
ガラス(茶色) 23 7

省資源・資源循環に対する取り組み

プラスチック利用抑制への取り組み

■ 容器包装の3R+Renewableへの取り組み一覧

 下表の取り組みの結果、2024年度では従来の包装仕様と比較し廃棄物発生量として6.8トン、GHG(温室効果ガス)排出量として39.1トン削減、削減しました。(※添付文書の電子化による削減・下表の項目を除く)
施策 項目 対象製品

Reduce

通信販売の包装資材変更(プラスチックから紙に変更)

シオノギ健康通販の製品(一部除く)

トレイの材質変更(プラスチックから紙に変更)

すべてのアンプル製剤、バイアル製剤、チューブ製剤

点眼容器の厚み変更(薄肉化)

すべての点眼剤

PTPシートの厚み変更(薄肉化)

フロモックス錠など

ボトル包装のプラスチック緩衝材の廃止

イルベタン錠、バクタ配合錠、フルイトラン錠

個装箱バンディングフィルムの廃止 ゾフルーザ錠、ゾコーバ錠、スインプロイク錠など
個装箱の廃止 リンデロン軟膏など
個装箱の小型化 ゾフルーザ錠、ゾコーバなど
ロンドレーションの捺印廃止(インキ削減および不良品の廃棄物削減) 水溶性プレドニン注、リンデロン注、リンデロン懸濁注

Reuse

Recycle

プラスチック製容器包装識別表示マークの表示

すべての製品

メカニカルリサイクルPETを使用したピロー

スインプロイク錠

ラベル台紙の水平リサイクル

『資源循環プロジェクト』の推進

アンプル注射剤製品、出荷用梱包箱に貼付するラベルの台紙

リサイクルPET(25%以上)を使用したラベル 水溶性プレドニン注、リンデロン注、リンデロン懸濁注

Renewable

バイオマスポリエチレンを使用したボトル

バクタ配合錠、バクタミニ配合錠、バクタ配合顆粒、シナールEX pro チュアブル錠、アルメタ軟膏、フルメタ軟膏、リンデロン-V軟膏など

バイオマスポリエチレンを使用したPTPシート

サインバルタカプセル

生分解性バイオポリマーGreen Planetを使用したPTPバンディングフィルム スインプロイク錠など
バイオマスインキ 一部製品のラベル・個装箱など

■ シオノギヘルスケア株式会社の取り組み

 2019年度以降、通販サイト「シオノギヘルスケアONLINE」において、商品のお届けに使用している配送資材のプラスチックを紙素材にすることで、環境にやさしいだけでなく、ごみの分別も不要な包装としています。
シオノギヘルスケア株式会社の取り組み
 また、キャップシール包装廃止、バイオマス容器の使用、バイオマスインクの使用、パルプモールド容器の使用などの取り組みを通じ、プラスチックの使用量の削減に取り組んでいます。
個装箱シュリンク包装廃止、キャップシール包装廃止、バイオマス容器の使用
バイオマスインクの使用、パルプモールド容器の使用

石油由来プラスチックの利用抑制

■バイオマスポリエチレン *2 を使用したボトル

 SHIONOGIグループではシナールEX pro チュアブル錠、サインバルタカプセル、イルベタン錠、ピレスパ錠、バクタ配合顆粒、バクタ配合錠、バクタミニ配合錠、アルメタ軟膏、フルメタ軟膏、リンデロンDP軟膏、リンデロンVG軟膏、リンデロンV軟膏の容器にバイオマスボトルを採用しています。バイオマスボトル(植物由来ポリエチレンボトル)はサトウキビの製糖残渣を原料として製造されるポリエチレンを使った包装容器で、原料の90%以上にサトウキビ由来の再生可能ポリエチレンを使用し、日本バイオプラスチック協会が定めるバイオマスプラ識別表示基準に適合しています。(製品にバイオマスプラ・シンボルマークを表示しています)*3

 従来の石油由来ポリエチレンボトルからバイオマスボトルに変更することで化石資源の節約とCO2排出量の削減につながっています。現在、その他の製品の包装についても順次バイオマスポリエチレンを採用するべく技術検討を行っています。

■ バイオマスポリエチレン *2 を使用したPTPシート

 上記のボトル包装に加え、サインバルタカプセルに植物由来のバイオマスポリエチレンPTPシートの採用を開始しました。このPTPシートは、原料の25%にサトウキビ由来のバイオマスポリエチレンを使用しており、日本バイオプラスチック協会が定めるバイオマスプラ識別表示基準に適合しています。(製品にバイオマスプラ・シンボルマークを表示しています*3。)さらに、従来のPTPシートから厚みを薄くすることでGHG排出量の削減に加え、廃棄物発生量の削減にもつながっています。現在、その他の製品のPTPシートについてもバイオマスポリエチレンを採用するべく技術検討を行っています。

*2 通常のポリエチレンが石油を原料とするのに対して、バイオマスポリエチレンはサトウキビの製糖残渣を原料として製造されます。原料のサトウキビは成長段階でCO2を吸収するため、廃棄物として焼却される際のCO2排出量をゼロとみなすことができます(カーボンニュートラル)。

*3 バイオマスプラ識別表示制度:バイオマスプラスチック製品(バイオマスプラ)とは、有機資源(植物など)由来物質を、プラスチック構成成分として所定量以上含む製品で、日本バイオプラスチック協会が基準に適合する製品を認証し、一般消費者がバイオプラスチックであることを容易に識別できるように、シンボルマークの使用を許可する制度です。

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■ 生分解性バイオポリマーGreen Planet®を使用したPTPバンディングフィルム

 スインプロイク錠などのPTPシートの結束用途として使用しているバンディングフィルムにGreen Planet®を使用しています。Green Planet®は、100%バイオマス由来の生分解性バイオポリマーで土壌中に加えて海水中でも容易に分解し、最終的に二酸化炭素と水に戻るため、ワンウェイ(使い捨て)プラスチックの流出等による海洋プラスチックごみを含む環境汚染問題の解決に貢献しています。

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資源等の循環的利用

■ ラベル台紙の水平リサイクル 「資源循環プロジェクト」

 シオノギファーマ株式会社は、製造工程でこれまで廃棄していたラベル台紙*4の水平リサイクル*5を推進する「資源循環プロジェクト」へ参画し、2023年から使用済みラベル台紙の回収・リサイクルを行っています。

 これまでの取り組みにおいて、SHIONOGI グループの医療用医薬品に使用するラベル台紙(アンプル注射剤 9 品目、梱包箱用出荷ラベル)へ適用し、産業廃棄物の発生量およびGHG排出量の削減、廃プラスチック再資源化率の向上に貢献しています。

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 また、World Packaging Organization(WPO)が主催する世界的に権威のあるパッケージング技術のコンテスト「WorldStar Global Packaging Awards 2025」において、WorldStar Awards 2025とWorldStar Special Award(特別賞)Sustainability部門で“Silver”を受賞しました。
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*4 ラベルの糊面を保護するための裏紙(剥離紙、セパレーター)。ラベルの糊と接着しないように樹脂素材のコーティングを施すため、一般にリサイクルが困難とされています。

*5 使用済みの製品を原材料として、同一製品を製造するリサイクル

■ メカニカルリサイクルPETフィルムを使用したピロー

 スインプロイク錠のアルミピロー(アルミ袋)最外層に、回収された使用済みPETボトルを選別、粉砕、洗浄、高温減圧処理して製造される再生PET原料を80%以上使用したメカニカルリサイクルPETフィルムを使用しています。ピロー製品の品質を保ちながらCO2排出量を削減することができ、化石資源の節約にもつながっています。また、その他製品の包装資材についても、リサイクルPETなどの再生原料の使用や単一素材(モノマテリアル)化の技術検討を行っています。

スインプロイク錠の包装

紙資源の削減

 SHIONOGIグループのオフィス系事業所をはじめ、シオノギビジネスパートナー株式会社や、塩野義製薬労働組合において、紙資源の節約を実施しています。

 また、リンデロン軟膏(3製品)では、個装箱を廃止しシュリンク包装*6へ変更したことにより、従来品と比較してGHG排出量と廃棄物発生量の削減に貢献しました。

 

* 熱を加えると縮むフィルムの性質を利用して、容器の形に沿って収縮させる包装

個装箱を廃止しシュリンク包装へ変更
個装箱を廃止しシュリンク包装へ変更

清掃活動

 海洋プラスチックによる環境汚染が世界的課題になっています。陸地で発生したプラスチックごみが、雨水や風に流され、河川等を経由して海域に流出することもあります。SHIONOGIでは各事業所において周辺道路の清掃などの地域活動に参加しており、地域の美化への貢献とともに従業員の環境や資源循環に対する意識の高揚に取り組んでいます。
工場周辺の清掃活動
工場周辺の清掃活動