• 省資源・資源循環に対する考え方

     SHIONOGIグループ(以下、SHIONOGI)では、省資源と資源循環は環境問題や資源の枯渇といった課題に対処するための重要なアプローチと考えており、資源の節約と有効活用による環境への負荷軽減に取り組んでいます。具体的には、企業活動における資源利用の最小化、廃棄物の発生抑制、再使用、再利用を推進しており、医薬品の臨床開発を進めている段階から製品製造時の省資源・資源循環を見据えた最適な製造法や包装方法の開発を実施しています。

     SHIONOGIの生産を担うシオノギファーマ株式会社では、製品の製造過程や包装工程で発生するプラスチックの適正廃棄の徹底に加え、製品の品質や安定供給に影響しないことを確認した上で、包装容器の材質や仕様の変更などプラスチック使用量の低減を進めています。また、環境負荷が少ないバイオマスプラスチックへの切り替えや、高品質な再生プラスチックの採用、複数の産業で構成されている『資源循環プロジェクト*1』にて共同開発したラベル台紙水平リサイクル技術など、新技術の実装にも積極的に取り組んでいます。

     

    *1 資源循環プロジェクト (shigenjunkan.com)

目標と実績

中長期目標
実績
容器包装使用量、再資源化量(2023年度実績)(トン)
  容器包装使用量 再資源化量
プラスチック 510 171
105 3
ガラス(無色) 35 7
ガラス(茶色) 18 5
廃棄物各指標の推移と発生量種類別内訳
waste_fig3
waste_fig4

省資源・資源循環に対する取り組み

新中長期目標の設定

 SHIONOGIでは、省資源・資源循環に関する中期目標として「2024年度における廃棄物発生量の削減率25%以上(2018年度基準)、廃棄物再資源化率80%以上、廃プラ再資源化率30%以上」および「製品へのプラスチック利用抑制の取り組みを推進する」を設定し、これまで省資源・資源循環に繋がる施策を各事業所で推進してきました。これらの4つの目標のうち、「廃棄物発生量の削減率」に関しては、ここ数年、ビジネス拡大による製造量の増加に伴い未達成の状態でした。以上から、2023年度に実施した「SHIONOGIグループEHS行動目標」の見直しでは、ビジネス拡大による製造量の増加の影響を受けない目標である「2035年度における廃プラスチック再資源化率65%以上、最終処分率1%以下」の2つの目標を新たな中長期目標として設定しました*2

SHIONOGIは、新たな2つの中長期目標のもと、これまで以上に省資源・資源循環に取り組んでいきます。

*2 新たな目標に対する実績値は2024年度の集計結果を2025年度より公開する予定です

プラスチック利用抑制への取り組み

■ 容器包装の3R+Renewable(リデュース・リユース・リサイクル・リニューアブル)の取り組み

 2023年度の下記取り組みの結果、従来の方法と比較してプラスチック使用量として2.4トン削減しました。
施策 項目 対象製品

Reduce

通信販売の包装資材変更(プラスチックから紙に変更)

シオノギ健康通販の全製品

トレイの材質変更(プラスチックから紙に変更)

すべてのアンプル製剤、バイアル製剤、チューブ製剤

点眼剤容器の厚み変更(薄肉化)

すべての点眼剤

PTP 包装材料の厚み変更(薄肉化)

フロモックス錠など

ボトル包装のプラスチック緩衝材の廃止

イルベタン錠、バクタ配合錠、フルイトラン錠

Reuse

Recycle

プラスチック製容器包装識別表示マークの表示

すべての製品

メカニカルリサイクル PET フィルムの採用

スインプロイク錠

ラベル台紙の水平リサイクル

『資源循環プロジェクト』

アンプル注射剤製品,梱包箱

Renewable

バイオマスボトル(植物由来ポリエチレンボトル)の採用

サインバルタカプセル、イルベタン錠、ピレスパ錠、バクタ配合錠、バクタミニ配合錠、バクタ配合顆粒、シナールEX pro チュアブル錠、アルメタ軟膏、フルメタ軟膏,リンデロン-V軟膏など

バイオマスインキの採用

一部製品のラベル・個装箱など

■ シオノギヘルスケア株式会社の取り組み

 2019年度以降、通販サイト「シオノギヘルスケアONLINE」において、商品のお届けに使用している配送資材のプラスチックをすべて紙素材にすることで、環境にやさしいだけでなく、ごみの分別も不要な包装としています。
シオノギヘルスケア株式会社の取り組み
 また、個装箱シュリンク包装廃止、キャップシール包装廃止、バイオマス容器の使用、バイオマスインクの使用、パルプモールド容器の使用などの取り組みを通じ、プラスチックの使用量の削減に取り組んでいます。
個装箱シュリンク包装廃止、キャップシール包装廃止、バイオマス容器の使用
バイオマスインクの使用、パルプモールド容器の使用

■ メカニカルリサイクルPETフィルムの採用

 スインプロイク錠の包装(アルミ袋)にメカニカルリサイクルPETフィルムを採用しています。

 メカニカルリサイクルPETフィルムは回収された使用済みPETボトルを選別、粉砕、洗浄、高温減圧処理して製造される再生PETフィルムです。

 アルミ袋の最外層の非再生PETフィルムをメカニカルリサイクルPETフィルムに切り替えることにより、製品の品質を保ちながらCO2排出量を削減することができ、化石資源の節約にもつながっています。2023年度実績として従来品と比較して0.25トンのCO2排出量の削減に貢献しました。また、その他の製品の包装資材についても順次メカニカルリサイクルPETフィルムを採用するための技術検討を行っています。

スインプロイク錠の包装

■バイオマスボトルの採用

 SHIONOGIではシナールEX pro チュアブル錠、サインバルタカプセル、イルベタン錠、ピレスパ錠、バクタ配合顆粒、バクタ配合錠、バクタミニ配合錠、アルメタ軟膏、フルメタ軟膏、リンデロンDP軟膏、リンデロンVG軟膏、リンデロンV軟膏の容器にバイオマスボトルを採用しています。バイオマスボトル(植物由来ポリエチレンボトル)はサトウキビの製糖残渣を原料として製造されるポリエチレンを使った包装容器で、原料の90%以上にサトウキビ由来の再生可能ポリエチレンを使用し、日本バイオプラスチック協会が定めるバイオマスプラ識別表示基準に適合しています。(製品にバイオマスプラ・シンボルマークを表示しています)*3。従来の石油由来ポリエチレンボトルからバイオマスボトルに変更することで化石資源の節約とCO2排出量の削減につながっています。2023年度実績として従来品と比較して42.3トンのCO2排出量削減に貢献しました。現在、その他の製品の包装についても順次バイオマスポリエチレンを採用するべく技術検討を行っています。

*3 バイオマスプラ識別表示制度:バイオマスプラスチック製品(バイオマスプラ)とは、有機資源(植物など)由来物質を、プラスチック構成成分として所定量以上含む製品で、日本バイオプラスチック協会が基準に適合する製品を認証し、一般消費者がバイオマスプラスチックであることを容易に識別できるように、シンボルマークの使用を許可する制度です。

資源等の循環的利用

■ 有機溶媒の再利用

 金ケ崎工場の原薬生産工程に使用するジクロロメタン、酢酸エチル、メタノールなどの有機溶媒を社内で回収し再利用することにより、資源の有効利用、廃棄物の抑制に努めています。

■ ラベル台紙の水平リサイクル 「資源循環プロジェクト」

 シオノギファーマ株式会社は、製造工程でこれまで廃棄していたラベル台紙*4の水平リサイクル*5を推進する「資源循環プロジェクト」へ参画し、使用済みラベル台紙の回収・資源循環を行っています。

 これまでの取り組みにおいて、SHIONOGIの医療用医薬品(アンプル注射剤 9 品目、梱包箱用出荷ラベル)へ順次適用し、産業廃棄物発生量の削減(約 0.7 トン/年)、廃プラスチック再資源化率の向上、CO2 排出量の削減(約 0.6 トン/年)に貢献しています。

*4 ラベルの糊面を保護するための裏紙(剥離紙、セパレーター)。ラベルの糊と接着しないように樹脂素材のコーティングを施すため、一般にリサイクルが困難とされています。

*5 使用済みの製品を原材料として、同一製品を製造するリサイクル

紙資源の削減

 SHIONOGIのオフィス系事業所をはじめ、シオノギビジネスパートナー株式会社や、塩野義製薬労働組合において、紙資源の節約を実施しています。

 また、製品においては、薬機法*6改正(添付文書電子化)に伴い、製品に同梱している紙の添付文書を廃止しました(全製品の対応が完了)。さらに、リンデロン軟膏(3製品)では、個装箱からシュリンク包装*7へ変更したことにより、2023年度実績として従来品と比較して6.0トンの紙資源の節約(0.48トンのCO2排出量の削減)に貢献しました。

 

*6 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律

*7 熱を加えると縮むフィルムの性質を利用して、容器の形に沿って収縮させる包装

個装箱を廃止しシュリンク包装へ変更
個装箱を廃止しシュリンク包装へ変更

清掃活動

 海洋プラスチックによる環境汚染が世界的課題になっています。陸地で発生したプラスチックごみが、雨水や風に流され、河川等を経由して海域に流出することもあります。SHIONOGIでは各事業所において周辺道路の清掃などの地域活動に参加しており、地域の美化への貢献とともに従業員の環境や資源循環に対する意識の高揚に取り組んでいます。
工場周辺の清掃活動
工場周辺の清掃活動