省資源・資源循環
省資源・資源循環に対する考え方
世界経済フォーラムにおいて、2050年までに海洋プラスチックごみの量が重量換算で魚の量を上回るとの予測が報告されるなど、地球規模での環境汚染が深刻な問題となっており、企業にもプラスチックごみ問題への対応が強く求められています。SHIONOGIグループでは、企業活動における廃棄物の発生抑制、再使用、再利用を推進しています。
プラスチックについては適正廃棄を徹底しているほか、製品の製造過程や包装におけるプラスチック使用量の抑制を進めており、容器包装の材質変更や減容化(リデュース)に加えて、製品の品質や安定供給などを考慮した上で環境負荷が少ないバイオマスプラスチックへの切り替えや、高品質な再生プラスチック(リユース・リサイクル)の採用を行っています。
目標と実績
廃棄物発生量・再資源化量・最終処分量
日本製薬団体連合会(日薬連)の循環型社会形成自主行動計画では、「2025年度の産業廃棄物最終処分量を2000年度実績比で75%程度削減する」、「2025年度の廃棄物再資源化率を 60%以上にする」、「2030年度の廃プラスチック再資源化率を65%以上にする」 ことを掲げています。SHIONOGIグループでも同水準以上の目標を策定して取り組んでいます。再資源化率は、有価売却と再資源化量を合わせ、廃棄物等発生量で除したもの、最終処分率は、最終埋立処分量を、廃棄物等発生量で除したものと定義しています。
2022年度はCOVID-19治療薬の速やかな供給を目指した製造など、生産活動の増加により廃棄物発生量について年度計画が未達となりました。
SHIONOGIグループにおいては、製造工程で発生する廃油類、排水処理で発生する汚泥、製品容器に利用するプラスチック類などが主な廃棄物であり、引き続き生産工程の改善や廃液、廃プラスチック、金属の有価物化、廃液の削減などを推進することで中長期目標の達成に取り組んでいきます。
製品の容器包装の再資源化
容器包装使用量、再資源化量(2022年度実績)(トン)
容器包装使用量 | 再資源化委託量 | |
---|---|---|
プラスチック | 503 | 173 |
紙 | 449 | 9 |
ガラス(無色) | 36 | 12 |
ガラス(茶色) | 19 | 8 |
再資源化委託料金:10,370千円
プラスチック利用抑制への取り組み
■ 容器包装の3R+Renewable(リデュース・リユース・リサイクル・リニューアブル)の取り組み
施策 | 項目 | 対象製品 |
---|---|---|
Reduce | 通信販売の包装資材変更(プラスチックから紙に変更) | シオノギ健康通販の全製品 |
トレイの材質変更(プラスチックから紙に変更) | すべてのアンプル製剤、バイアル製剤、チューブ製剤 | |
点眼剤容器の厚み変更(薄肉化) | すべての点眼剤 | |
PTP 包装材料の厚み変更(薄肉化) | フロモックス錠など | |
ボトル包装のプラスチック緩衝材の廃止 | イルベタン錠など | |
Reuse Recycle |
プラスチック製容器包装識別表示マークの表示 |
すべての製品 |
メカニカルリサイクル PET フィルムの採用 | インチュニブ錠など | |
Renewable | バイオマスボトル(植物由来ポリエチレンボトル)の採用 | サインバルタカプセル、イルベタン錠、ピレスパ錠、シナールEX pro チュアブル錠など |
■ シオノギヘルスケア株式会社の取り組み
■ メカニカルリサイクルPETフィルムの採用
インチュニブ錠およびスインプロイク錠の包装(アルミ袋)にメカニカルリサイクルPETフィルムを採用しています。
メカニカルリサイクルPETフィルムは回収された使用済みPETボトルを選別、粉砕、洗浄、高温減圧処理して製造される再生PETフィルムです。
アルミ袋の最外層の非再生PETフィルムをメカニカルリサイクルPETフィルムに切り替えることにより、製品の品質を保ちながらCO2排出量を削減することができ、化石資源の節約にもつながっています。2022年度実績として従来品と比較して0.36トンのCO2排出量の削減に貢献しました。また、その他の製品の包装資材についても順次メカニカルリサイクルPETフィルムを採用するための技術検討を行っています。
99%再生材ごみ袋「FUROSHIKI」の採用
SHIONOGIグループでは、使用済みストレッチフィルムを原料に用いて作製されたごみ袋「FUROSHIKI」を採用しています。日本国内で実際に使用され、廃棄されたプラスチックを原料としているため、FUROSHIKIを使用することで、ごみの発生抑制に貢献しています。
詳細は株式会社サティスファクトリーのWebサイトをご覧ください。(外部リンク)
■ バイオマスボトルの採用
SHIONOGIグループではシナールEX pro チュアブル錠、サインバルタカプセル、イルベタン錠、ピレスパ錠、バクタミニ配合錠、アルメタ軟膏の容器にバイオマスボトルを採用しています。バイオマスボトル(植物由来ポリエチレンボトル)はサトウキビの製糖残渣を原料として製造されるポリエチレンを使った包装容器で、原料の90%以上にサトウキビ由来の再生可能ポリエチレンを使用し、日本バイオプラスチック協会が定めるバイオマスプラ識別表示基準に適合しています。(製品にバイオマスプラ・シンボルマークを表示しています)*1。従来の石油由来ポリエチレンボトルからバイオマスボトルに変更することで化石資源の節約とCO2排出量の削減につながっています。2022年度実績として従来品と比較して1.7トンのCO2排出量削減に貢献しました。現在、その他の製品の包装についても順次バイオマスポリエチレンを採用するべく技術検討を行っています。
*1 バイオマスプラ識別表示制度:バイオマスプラスチック製品(バイオマスプラ)とは、有機資源(植物など)由来物質を、プラスチック構成成分として所定量以上含む製品で、日本バイオプラスチック協会が基準に適合する製品を認証し、一般消費者がバイオプラスチックであることを容易に識別できるように、シンボルマークの使用を許可する制度です。
資源等の循環的利用
■ 有機溶媒の再利用
金ケ崎工場の原薬生産工程に使用するジクロロメタン、酢酸エチル、メタノールなどの有機溶媒を社内で回収し再利用することにより、資源の有効利用、廃棄物の抑制に努めています。
■ ラベル台紙の水平リサイクル
シオノギファーマ株式会社は、2023年3月に循環型のラベル台紙*2の水平リサイクル*3スキームをアンプル注射剤用のラベルに商用生産で初めて適用し、使用済みラベル台紙の回収を開始しました。
詳しくはトピックスのページをご覧ください。
*2 ラベルの糊面を保護するための裏紙(剥離紙、セパレーター)。ラベルの糊と接着しないように樹脂素材のコーティングを施すため、一般にリサイクルが困難
*3 使用済みの製品を原材料として、同一製品を製造するリサイクル
紙資源の削減
SHIONOGIグループのオフィス系事業所をはじめ、シオノギビジネスパートナー株式会社や、塩野義製薬労働組合において、紙資源の節約を実施しています。
また、製品においては、薬機法*4改正(添付文書電子化)に伴い、製品に同梱している紙の添付文書を廃止しました(170全製品中164製品の対応が完了)。さらに、リンデロン軟膏(3製品)では、個装箱からシュリンク包装*5へ変更したことにより、2022年度実績として従来品と比較して0.47トンのCO2排出量の削減に貢献しました。
*4 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律
*5 熱を加えると縮むフィルムの性質を利用して、容器の形に沿って収縮させる包装