2020/11/11

長期作用型注射剤カボテグラビルの良好なHIV感染予防効果に関するViiV社の発表について

HIV感染リスクの高い女性を対象にしたHPTN 084試験の中間解析において良好な予防効果が

確認され、データ安全性モニタリング委員会(DSMB)は試験の早期終了を勧告

2か月毎投与により、対照となる1日1回投与の経口薬を89%上回る予防効果

塩野義製薬株式会社(本社:大阪市中央区、代表取締役社長:手代木 功、以下「塩野義製薬」または「当社」)は、当社がGlaxoSmithKline plc.およびPfizer Inc.とともに資本参加しているViiV Healthcare Ltd.(本社:英国ロンドン、Chief Executive Officer:Deborah Waterhouse、以下「ViiV社」)が、長期作用型注射剤カボテグラビルのHIV感染予防効果を検証する第III相臨床試験(HPTN 084試験、以下「本試験」)の中間解析において、本剤の良好な予防効果を確認したことを発表しましたので、お知らせいたします。

 

本試験は、HIV感染リスクが高い女性を対象に、長期作用型注射用カボテグラビル2か月毎投与時のHIV感染予防に対する有効性と安全性を、既存の予防薬であるエムトリシタビン/テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩(FTC/TDF)の1日1回経口投与時と比較した第III 相臨床試験です。

 

中間解析の結果、主要評価項目である試験中にHIVに感染した被験者の割合は、カボテグラビル群の0.21%(95%信頼区間:0.06-0.54%)に対し、対照薬のFTC/TDF群では1.79%(95%信頼区間:1.24-2.51%)であり、カボテグラビル群は対照薬群に対し感染リスクを89%(95%信頼区間:68-96%)軽減し、カボテグラビルの予防効果は対照薬に対し優越性を示しました。

安全性に関しては、注射部位反応についてカボテグラビル群は対照薬群と比較して発現頻度が高かったものの(カボテグラビル群:32%、プラセボが注射される対照薬群:9%)、注射部位反応あるいは注射による不耐性による中止例は両群で見られず、カボテグラビルは忍容性が高く安全性に特段の問題は見られませんでした。

本中間解析の良好な結果を受けて、データを評価したデータ安全性モニタリング委員会(DSMB)は本試験の早期終了を勧告しました。ViiV社は今後、本試験で得られたデータの詳細を関連学会にて発表するとともに、本試験およびHPTN083試験のデータを当局への承認申請に使用する予定です。

 

塩野義製薬は、取り組むべきマテリアリティ(重要課題)として「感染症の脅威からの解放」を特定し、HIV感染症をはじめとする三大感染症への取り組みを推進しております。当社はViiV社の株主として、世界中の皆さまにより良いHIV感染症の治療および予防の選択肢が提供されることを期待するとともに、今後も同社の経営に参画することで、HIV感染症治療や予防におけるドルテグラビルおよびカボテグラビルの価値最大化に貢献してまいります。

 

なお、本件が2021年3月期の業績に与える影響は軽微です。

 

以 上

ご参考:ViiV社リリース  

 

 

【HPTN 084(NCT03164564)について】

HPTN 084試験は、HIV感染予防に対する有効性と安全性を、HIV感染リスクが高い女性3,200 名を対象に、2か月毎に投与する長期作用型注射用カボテグラビルとFTC/TDF 錠(200mg/300mg)の1日1回経口投与と比較評価するためにデザインされた第III 相二重盲検比較試験です。HPTN 084 は、2017 年11 月に登録開始され、計3,223名が登録されました。ボツワナ、ケニア、マラウイ、南アフリカ、エスワティニ、ウガンダ、ジンバブエの7か国20施設で実施されています。これらのサハラ以南の地域では女性のHIV感染率が高いことが知られています。

詳細はhttps://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT03164564 をご覧ください。

 

【HIV予防試験ネットワーク(HPTN)について】

HIV Prevention Trials Network(HPTN)は、HIV感染と感染拡大を予防するためにデザインされた臨床試験の安全性と有効性を評価、検証するための、研究者、倫理学者、コミュニティメンバーおよび他のパートナーによる世界的な共同臨床試験ネットワークです。National Institutes of Health (NIH)、National Institute of Mental Health (NIMH)、およびNational Institute on Drug Abuse (NIDA)は、HPTNに共同出資しています。HPTNは、19 カ国85 以上の臨床研究施設と協力し、新たなHIV感染予防の戦略を評価しています。HPTNの研究課題は、登録および評価された参加者161,000名以上を対象とした進行中または完了した50 件を超える試験における、主に抗レトロウイルス薬(抗レトロウイルス療法および曝露前予防)の使用、および薬物乱用、特に注射薬物使用に対する介入、行動リスク低減への介入および構造的介入を含む統合的戦略に焦点を当てています。

詳細は、hptn.org をご覧ください。

 

【HPTN 083(NCT02720094)について】

HPTN 083試験は、HIV感染予防において、FTC/TDF 錠(200mg/300mg)の1日1回経口投与と比較して、2か月毎に投与する長期作用型注射剤カボテグラビルの安全性と有効性を評価するためにデザインされた第IIb/III 相二重盲検試験です。HPTN 083試験は、アルゼンチン、ブラジル、ペルー、米国、南アフリカ、タイ、ベトナムの施設で、男性と性行為を行う男性またはトランスジェンダーの女性、4,570 名を対象に実施されました。

試験デザインの詳細は、https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT02720094 を、試験結果の詳細は、2020年7月10日 プレスリリースをご覧ください。