新型コロナウイルス感染症(COVID-19)治療薬S-217622の
塩野義製薬株式会社(本社:大阪市中央区、代表取締役社長:手代木 功、以下「塩野義製薬」または「当社」)は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)治療薬として開発中の経口投与型の抗ウイルス薬(開発番号:S-217622、以下「本治療薬」)につきまして、国内第2/3相臨床試験を9月27日に開始しましたのでお知らせいたします。本治療薬は、2021年7月より国内第1相臨床試験を開始し、現時点で、安全性上の大きな問題は認められておらず、薬物動態についても、目標とする血中薬物濃度を上回る良好な結果が確認されております。
本臨床試験では、軽症のCOVID-19患者または無症候の新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染者を対象に、プラセボ投与群を対照として、本治療薬を1日1回、5日間経口投与した際の有効性および安全性を評価します。昨今の医療体制下においては、軽症のCOVID-19患者または無症候の感染者は、自宅療養または宿泊療養が中心となっていることから、本臨床試験では、治験実施医療機関の協力のもと、医療機関での実施に加えて、医師や看護師の派遣による宿泊療養者なども対象とした治験を実施します。
COVID-19は感染初期に軽症や無症候であっても、後に急速に症状が進行することが報告されています。また、本臨床試験ではプラセボ投与群も設けられますが、通常の臨床試験と同様に被験者の皆さまに対しては、試験期間中、医師や看護師による十分な医療サポート下で診察や検査が行われます。
現在、国内では軽症のCOVID-19患者の治療法として、抗体医薬が承認されていますが、現状は、重症化リスク因子を有している患者が対象であることや、点滴と患者の観察に一定の医療リソースが必要となることから、広く使用される状況には至っておりません。医療体制が逼迫している状況下では、現在の治療法だけでは医療側の負担も大きいため、感染の初期段階から体内のウイルス量を低下させ、かつ簡便に使用できる経口投与の抗ウイルス薬が必要とされています。本治療薬は経口薬であり、その利便性の高さから患者さまの早期治療ならびに医療体制の維持および安定化に貢献することが期待されます。
塩野義製薬は、取り組むべきマテリアリティ(重要課題)として「感染症の脅威からの解放」を特定し、感染症のトータルケアの実現に向けた取り組みを進めております。COVID-19が世界的な脅威として人々の生活に大きな影響を与える中、当社はパンデミックの早期終息による社会の安心・安全の回復に貢献するために、本治療薬の開発に引き続き注力してまいります。今後も状況に変化があり次第、皆さまにお知らせし、企業としての社会的責任を果してまいります。
なお、本件が2022年3月期の連結業績予想に与える影響に関しては、今後、状況に応じて精査いたします。
以 上
【S-217622について】
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)治療薬であるS-217622は、北海道大学と塩野義製薬の共同研究から創製された3CLプロテアーゼ阻害薬です。新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)は3CLプロテアーゼというウイルスの増殖に必須の酵素を有しており、S-217622は3CLプロテアーゼを選択的に阻害することで、SARS-CoV-2の増殖を抑制します。SARS-CoV-2感染動物を用いた非臨床試験において、ウイルス量を速やかかつ有意に低下させることが確認されております。日本において、2021年7月から第1相臨床試験を開始1しており、現在、軽症のCOVID-19患者または無症候のSARS-CoV-2感染者を対象とした第2/3相臨床試験を実施中です。
参考:
1. プレスリリース:2021年7月26日
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)治療薬S-217622の臨床試験開始について‐経口抗ウイルス薬の国内第1相臨床試験開始‐
COVID-19に対する当社の取り組みは、当社ホームページでも随時更新しております。また、各機関から発信されているCOVID-19に関する情報も同ページにまとめておりますので、ご参考までにご確認ください(塩野義製薬ウェブサイト)。