2022/04/22

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチンS-268019の 国内第2/3相臨床試験結果に関する学会発表について

 塩野義製薬株式会社(本社:大阪市中央区、代表取締役社長:手代木 功、以下「塩野義製薬」)は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対する予防ワクチン(開発番号:S-268019)につきまして、国内第2/3相臨床試験結果を、第96回日本感染症学会総会・学術講演会(2022年4月22日~23日開催)にて発表しましたので、お知らせいたします。

 

 本臨床試験は、S-268019の安全性、忍容性ならびに免疫原性の評価を目的とする日本人の成人(Naïve*1、ワクチン既接種者*2、既感染者*3)および高齢者を含む3,000例以上を対象としたオープンラベル試験です。評価期間は2回目接種から28日間(Day57まで)、観察期間は2回目接種から1年間です。要約は以下の通りです。

*1 SARS-CoV-2感染歴およびSARS-CoV-2ワクチンの接種歴がない被験者

*2 SARS-CoV-2感染歴の有無によらずSARS-CoV-2ワクチン接種歴がある被験者

*3 SARS-CoV-2感染歴がありSARS-CoV-2ワクチン接種歴がない被験者

 

【安全性】

・中間解析時点(全例Day57時点の観察完了)で、接種後の特定副反応注1は多くの被験者で認められたが、安全性の重大な懸念は認められず、忍容性を確認した

→成人Naïve(2,952例)、ワクチン既接種者(76例)、既感染者(68例)において、特定副反応の発現率に大きな差は認められなかった

→高齢者Naïve(118例)では、成人Naïveと比較して特定副反応の発現率は低い傾向にあった

注1 接種日から接種7 日後までの期間に発現した以下の副反応:全身性副反応(発熱、悪心/嘔吐、下痢、頭痛、倦怠感、筋肉痛)、局所性副反応(注射部位の疼痛、紅斑/発赤、硬結、腫脹)

 

【免疫原性】

・成人(Naïve 304例、 ワクチン既接種者76例、既感染者68例)および高齢者Naïve 115例において、S-268019接種後の免疫原性を確認した

→成人Naïveにおいて、S-268019の2回目接種14日後から新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)中和抗体価のGMT(幾何平均抗体価)は回復者血清におけるGMTを上回る大幅な増加が確認された

→高齢者Naïveにおいても、S-268019の2回目接種14日後からSARS-CoV-2中和抗体価のGMTの増加が確認された

→ワクチン既接種者、既感染者では、S-268019の1回目接種からSARS-CoV-2中和抗体価のGMTの増加が確認された

→SARS-CoV-2中和抗体価の陽転率注2は、2回目接種から28日後時点で、成人Naïve:95.9%、既ワクチン接種者:100%、既感染者:97.0%、高齢者Naïve:85.5%だった

注2 接種後SARS-CoV-2中和抗体価がベースラインに比べて4倍以上となった被験者の割合

 

 当社では、現在、本臨床試験を含む最終段階の5つの臨床試験を実施中です。国内の承認申請に向けて、2022年2月より独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)との事前評価相談を開始しており、現在実施中の臨床試験の進捗ならびに結果に基づき、厚生労働省やPMDA等と協議を進めてまいります。

 

 塩野義製薬は、取り組むべきマテリアリティ(重要課題)として「感染症の脅威からの解放」を特定し、感染症のトータルケアの実現に向けた取り組みを進めております。COVID-19が世界的な脅威として人々の生活に大きな影響を与える中、当社はパンデミックの早期終息による社会の安心・安全の回復に貢献するために、国産ワクチンの早期開発・供給に引き続き注力し、企業としての社会的責任を果してまいります。

 

 なお、本件が2023年3月期の連結業績予想に与える影響については現時点では未定ですが、今後の状況の変化により、業績に与える影響を認識した時点で速やかに公表いたします。

以 上

 

【国内第1/2相臨床試験1について】

 国内第1/2相臨床試験は、S-268019の2回接種後の安全性、忍容性ならびに免疫原性の評価を目的とする成人60例を対象とした無作為化プラセボ対照二重盲検比較試験です。試験の詳細は、jRCT2031210269をご参照ください。本試験の被験者登録は完了しており、2回接種28日後までの評価において、S-268019の忍容性と安全性が確認され、免疫原性については回復期患者血清と同程度の中和抗体価の上昇を確認しました。

 

【国内第2/3相臨床試験2について】

 国内第2/3相臨床試験は、S-268019の安全性、忍容性ならびに免疫原性の評価を目的とする成人および高齢者3,100例を対象としたオープンラベル試験です。試験の詳細は、jRCT2031210383をご参照ください。本試験の被験者登録は完了しています。

 

【国内第2/3相追加免疫試験3について】

 国内第2/3相追加免疫試験は、コミナティ筋注を2回接種後6ヶ月以上経過した成人200例を対象としS-268019あるいはコミナティ筋注の追加接種後の免疫原性を指標として、S-268019のコミナティ筋注に対する非劣性検証および安全性評価を目的とする無作為化実薬対照二重盲検比較試験です。試験の詳細は、jRCT2031210470をご参照ください。本試験の被験者登録は完了しています。

 

【国内第3相追加免疫試験について】

 国内第3相追加免疫試験は、スパイクバックスTM筋注を2回接種した20歳以上64歳以下の成人およびコミナティ筋注またはスパイクバックスTM筋注を2回接種した65歳以上の高齢者150例を対象に、S-268019の追加接種後の安全性評価を目的とするオープンラベル試験です。試験の詳細は、jRCT2031210613をご参照ください。本試験の被験者登録は完了しています。

 

【中和抗体価比較試験4について】

 中和抗体価比較試験は、2回接種後の免疫原性を指標として、S-268019と既承認ワクチン(バキスゼブリア筋注)の比較検証を目的とする成人および高齢者1,000例を対象とした無作為化実薬対照二重盲検比較試験です。試験の詳細は、jRCT2051210151をご参照ください。

 

【発症予防試験5について】

 発症予防試験は、S-268019の2回接種後のCOVID-19発症予防効果の検証を目的に、成人および高齢者約50,000例を対象とした無作為化プラセボ対照二重盲検比較試験です。実薬:プラセボは2:1の割り付けであり、クロスオーバー法により被験者全例が実薬接種の機会を得ることが出来ます。現在、臨床試験実施許可が得られた最初の試験実施国であるベトナムでの被験者登録を進めています。

 

 

なお、いずれの臨床試験におきましても、被験者は希望すれば試験期間中いつでも試験参加を辞退することが可能です。

 

国内第1/2相臨床試験については、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(Japan Agency for Medical Research and Development: AMED)の支援を受けております。

 

COVID-19に対する当社の取り組みは、当社ホームページでも随時更新しております。また、各機関から発信されているCOVID-19に関する情報も同ページにまとめておりますので、ご参考までにご確認ください(塩野義製薬ウェブサイト)。

 

[お問合せ先]

塩野義製薬ウェブサイト お問い合わせフォーム:

https://www.shionogi.com/jp/ja/quest.html#3.

 

参考:

1.       プレスリリース:2021年12月7日
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチンS-268019の第1/2相臨床試験結果に関する学会発表について

2.       プレスリリース:2021年10月21日
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチンS-268019の第2/3相臨床試験開始のお知らせ

3.       プレスリリース:2021年12月3日
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチンS-268019の国内追加免疫試験開始のお知らせ

4.       プレスリリース:2022年1月17日
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチンS-268019の中和抗体価比較試験の開始について

5.       プレスリリース:2021年12月27日
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチンS-268019のグローバル第3相臨床試験開始のお知らせ