2026/04/08

グラム陰性菌感染症治療薬セフィデロコルの良好な臨床効果を示す リアルワールド試験結果等をESCMID Global 2026で発表

  • スペインで実施されたCIRCE試験では、世界保健機関(WHO)の最優先リストに記載されているカルバペネム耐性腸内細菌目細菌に分類されるMBL産生腸内細菌目細菌に感染した患者に対する良好な臨床効果を確認
  • 多くの薬剤に対する自然耐性を有し、高リスク患者で治療選択肢が限られる日和見グラム陰性菌であるステノトロフォモナス・マルトフィリアに対するセフィデロコルのグローバルでの有効性を示すデータを確認

  塩野義製薬株式会社(本社:大阪市北区、代表取締役会長兼社長CEO:手代木 功、以下「塩野義製薬」または「当社」)は、グラム陰性菌感染症治療薬セフィデロコル(製品名:日本「フェトロージャ®」、米国・台湾「Fetroja®」、欧州「Fetcroja®」)のリアルワールド試験結果等を、2026年4月17日からドイツのミュンヘンで開催される第36回欧州臨床微生物学感染症学会(ESCMID Global 2026)において発表することをお知らせします。

 

CIRCE試験について

  CIRCE試験1は、スペインで実施された多施設共同のカルテレビュー研究です。メタロβ-ラクタマーゼ(MBL)産生の腸内細菌目細菌*1による感染症を有する成人患者232例を対象に、実臨床下におけるセフィデロコルの有効性および安全性を確認することを目的として実施されました。

 

*1 MBL産生腸内細菌目細菌は、重症または高リスクの感染症に対して使用されることの多いカルバペネム系抗菌薬を含む、ほぼすべてのβ-ラクタム系抗菌薬を不活化します。そのため、利用可能な治療選択肢は大きく制限されることが多いとされています1,2,3

 

  本研究の結果は以下の通りです。

・     投与14日目において、セフィデロコルを投与された患者の68%が臨床的治癒*2を達成、82%が臨床的反応*3を認めた

 

*2臨床的治癒とは、原因病原体による感染症状が消失し、追加の抗菌薬投与を必要としない状態、かつセフィデロコル投与開始後96時間から14日目までに治療を補完する目的で他のグラム陰性菌に対する抗菌薬が追加投与されていない場合と定義されます。

*3臨床的反応とは、感染症の兆候および症状が完全に消失、または完全消失には至らないものの、臨床的改善が認められた状態、かつセフィデロコル投与開始後96時間から14日目までに、他のグラム陰性菌に対する抗菌薬が追加投与されていない場合と定義されます。

 

・     本集団における14日目および28日目の全生存率は、それぞれ90%および83%

・     ベースライン時点では、患者の29%が免疫抑制状態、27%が集中治療室(ICU)に入室、13%が敗血症性ショックを呈していた

・     追跡培養結果が得られた患者の微生物学的除菌率は、血流感染症で85%、尿路感染症(UTI)で82%

・     本試験において、薬剤に関連すると考えられる有害事象について新たな懸念は認められず

 なお、当試験で最も多く同定された病原菌は、カルバペネム耐性肺炎桿菌およびエンテロバクター属であり、これらはいずれも現在利用可能な治療法に対する高度な耐性を有することから、世界保健機関(WHO)により「最優先(critical priority)病原体」に分類されています4。本試験の結果から、治療選択肢が限られていることが臨床上の課題とされている1,2,3 MBL産生腸内細菌目細菌による感染症に対し、実臨床下で治療選択肢を検討する上で、セフィデロコルの臨床的有効性および安全性を支持するエビデンスが示されました。

 

ステノトロフォモナス・マルトフィリアに対する追加のデータについて

 ステノトロフォモナス・マルトフィリアは、複数の抗菌薬クラスに対して自然耐性を有する日和見病原菌であり、高リスク患者において治療選択肢が制限されることが多く、対策が重要な病原菌とされています5

1.       国際的なサーベイランスプログラムSIDERO‑WT、SENTRYについて

 多国間で実施されたサーベイランスプログラムであるSIDERO‑WT(2014~2019年)および SENTRY(2020~2024年)の追加データの発表も予定されています5。このデータは、セフィデロコルの in vitro(試験管内)抗菌活性を評価したもので、4,000株を超えるステノトロフォモナス・マルトフィリア*4の臨床分離株を対象に実施されました。サーベイランスが行われた10年間にわたって、セフィデロコルは一貫して高い抗菌活性を示し、セフィデロコルの販売開始前後において感受性に有意な変化は認められませんでした。

 

2.       PROVE試験におけるサブグループ解析について

 多国間で実施されたカルテレビュー研究であるPROVE試験における、119例を対象としたサブグループ解析⁶では、ステノトロフォモナス・マルトフィリアに感染した患者の約3分の2が臨床的治癒に至りました。これらの患者の多くは重症であり、セフィデロコル投与開始時に集中治療室(ICU)で治療を受けていました。本解析により、治療選択肢が限られる重症患者を含む実臨床下において、ステノトロフォモナス・マルトフィリア感染症に対するセフィデロコルの有効性が改めて示されました。

 

 塩野義製薬は、取り組むべきマテリアリティ(重要課題)の一つとして「感染症の脅威からの解放」を特定し、感染症のトータルケアの実現に向けた取り組みを進めております。当社は、グローバルの課題である薬剤耐性(AMR:Antimicrobial resistance)の対策の成功に向けさらなるエビデンスの集積に努めるとともに、人々の健康を守るために必要な感染症治療薬を世界中の患者さまのもとにいち早くお届けできるよう、引き続き努力してまいります。

以 上

 

【セフィデロコルについて】

セフィデロコルは、多剤耐性菌を含むグラム陰性菌の外膜を効果的に通過して抗菌活性を発揮する、新規のシデロフォアセファロスポリン系抗菌薬です。セフィデロコルは、細菌のカルバペネムへの耐性獲得に関連する3つの主な機序(βラクタマーゼによる抗菌薬の不活化、ポーリンチャネルの変異による膜透過性低下、排出ポンプの過剰産生による薬剤の細菌細胞外への排出)による影響を受けにくい特徴を有します。鉄と結合する独自の構造を有することにより、細菌が養分である鉄を取り込むために利用する鉄トランスポーターを介し細菌内に能動的に運ばれることで、細菌の細胞壁合成を阻害します。セフィデロコルは、多くの低中所得国、高中所得国で本新規抗菌薬を必要とする患者へのアクセスを改善するために、The Global Antibiotic Research and Development Partnership(GARDP)およびClinton Health Access Initiative(CHAI)との3者連携契約を通じた準備も進めています7

 

【薬剤耐性(AMR)について】

薬剤耐性(AMR:Antimicrobial resistance)は、抗菌薬に対する細菌の耐性獲得により抗菌薬が効きにくくなることです。AMRは「サイレントパンデミック」と呼ばれ、人類が直面する世界的な公衆衛生上の脅威のひとつであり、緊急に対処が必要な世界規模の重要課題です8。2021年には、AMRにより世界中で114万人が死亡したと推定されています9。また、国際的な連携により対策を講じなければ、今後25年間で3,900万人以上が命を落とす問題に発展するとの予測がなされています10。当社のAMRに対する取り組みについては、こちらをご覧ください。

 

参考

1. Garcia et al. Real-world efficacy of cefiderocol for treatment of infections caused by metallo-beta-lactamase-producing Enterobacterales in Spain. Poster. ESCMID 2026

2. Vázquez-Ucha, J.C. et al. (2023) ‘Activity of aztreonam in combination with novel β-lactamase inhibitors against metallo-β-lactamase-producing Enterobacterales’, Journal of Global Antimicrobial Resistance. Available at: https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0924857923000262 Accessed March 2026.

3. Paudel R, et al. Carbapenemase producing Gram negative bacteria. Journal of Infection and Public Health. 2024. Available at: https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0732889324001998 Accessed March 2026.

4. World Health Organization. WHO Bacterial Priority Pathogens List, 2024. Available at: https://iris.who.int/server/api/core/bitstreams/1a41ef7e-dd24-4ce6-a9a6-1573562e7f37/content. Accessed: March 2026.

5. Yamano et al. Activity of cefiderocol against Stenotrophomonas maltophilia clinical isolates collected in multinational antimicrobial surveillance studies SIDERO-WT (2014–2019) and SENTRY (2020–2024). Abstract. ESCMID 2026

6. Timsit et al. Real-world cefiderocol outcomes in the treatment of Stenotrophomonas spp. infections: data from the PROVE study. Poster. ESCMID 2026

7. プレスリリース:2022年6月15日

塩野義製薬、GARDP、CHAIによる細菌感染症治療薬セフィデロコルに関するライセンス契約ならびに提携契約の締結について -135ヵ国でセフィデロコルへのアクセスを拡大-

8. Antimicrobial Resistance Collaborators. Global burden of bacterial antimicrobial resistance in 2019: a systematic analysis. Lancet 2022; 399: 629–55.

9. Antimicrobial resistance (who.int) WHO. Antimicrobial resistance. Who.int. Published October 13, 2020. https://www.who.int/news-room/fact-sheets/detail/antimicrobial-resistance

10. GBD 2021 Antimicrobial Resistance Collaborators. Global burden of bacterial antimicrobial resistance 1990-2021: a systematic analysis with forecasts to 2050. Lancet. 2024 Sep 28;404(10459):1199-1226. doi: 10.1016/S0140-6736(24)01867-1. Epub 2024 Sep 16. PMID: 39299261.

 

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