2026/04/08

BARDAの「Project BioShield」を通じた米国政府との契約締結について

―薬剤耐性菌の脅威に対する米国の国家的備えを強化―

 

 塩野義製薬株式会社(本社:大阪市中央区、代表取締役会長兼社長CEO:手代木 功、以下「塩野義製薬」または「当社」)は、当社の米国グループ会社であるShionogi Inc.(ニュージャージー州)が米国保健福祉省の一部門である生物医学先端研究開発局(BARDA)の「Project BioShield*1」を通じて、米国政府とセフィデロコルに関する契約*2を締結したことをお知らせいたします。本契約にもとづき、当社グループは、米国政府より、初期段階で119百万ドルの資金拠出を受けます。さらに、複数年にわたるオプションを含めると、資金拠出総額は最大482百万ドルに達する可能性があります。

 

*1 BARDAの「Project BioShield」は、化学・生物・放射線・核(CBRN)脅威に対する有効な医療対策の研究開発・調達・供給を加速することを目的としています。

 

*2 本プロジェクトは、米国保健福祉省・戦略的準備対応局・BARDAより、契約番号75A50126C00004のもと、連邦資金により一部または全額が提供されています。

 

 セフィデロコルは、米国において米国食品医薬品局(FDA)より、グラム陰性菌による院内肺炎(HABP)、人工呼吸器関連肺炎(VABP)、および複雑性尿路感染症の治療薬として承認されています。米国政府は、本契約にもとづく当社グループへの資金拠出を通じて、難治性グラム陰性菌感染症および国家的脅威となり得る病原菌に対する重要な医療対策の強化、セフィデロコルの米国内での製造能力・供給体制の強化を図ります。


 本契約にもとづき、塩野義製薬は以下の取り組みを推進します。

 

·   セフィデロコルの米国内製剤製造設備の立ち上げ(サプライチェーン体制強化への貢献)

·   セフィデロコルの調達支援

·   Burkholderia pseudomallei, Yersinia pestisを含む優先度の高い国家的脅威となり得る病原菌に対するセフィデロコルの開発を推進

·   FDAへの追加新薬承認申請を通じ、小児のHABP/VABP治療に対するセフィデロコルの適応拡大を推進

 

これらの取り組みにより、当社が米国政府の支援を受けている既存の研究プログラムや、米国での事業拡大がさらに強化されることが期待されます。

 

 塩野義製薬は、取り組むべきマテリアリティ(重要課題)の一つとして「感染症の脅威からの解放」を特定し、感染症のトータルケアの実現に向けた取り組みを進めております。当社は、グローバルの課題である薬剤耐性(AMR:Antimicrobial resistance)の対策のために、2023年にQpex Biopharma, Inc.を買収、2025年に抗菌薬研究開発を推進するために、新研究施設を米国に設立するなど、セフィデロコル上市以降も継続的なコミットメントを行ってまいりました。人々の健康を守るために必要な感染症治療薬を、世界中の患者さまのもとにいち早くお届けできるよう、引き続き努力してまいります。

 

                                                                 以 上

 

【セフィデロコルについて】

 セフィデロコルは、多剤耐性菌を含むグラム陰性菌の外膜を効果的に通過して抗菌活性を発揮する、新規のシデロフォアセファロスポリン系抗菌薬です。セフィデロコルは、細菌のカルバペネムへの耐性獲得に関連する3つの主な機序(βラクタマーゼによる抗菌薬の不活化、ポーリンチャネルの変異による膜透過性低下、排出ポンプの過剰産生による薬剤の細菌細胞外への排出)による影響を受けにくい特徴を有します。鉄と結合する独自の構造を有することにより、細菌が養分である鉄を取り込むために利用する鉄トランスポーターを介し細菌内に能動的に運ばれることで、細菌の細胞壁合成を阻害します。塩野義製薬は、多くの低中所得国、高中所得国で本新規抗菌薬を必要とする患者へのセフィデロコルのアクセスを改善するために、The Global Antibiotic Research and Development Partnership(GARDP)およびClinton Health Access Initiative(CHAI)との3者連携契約を通じた準備も進めています1

 

【薬剤耐性(AMR)について】

 薬剤耐性(AMR:Antimicrobial resistance)は、抗菌薬に対する細菌の耐性獲得により抗菌薬が効きにくくなることです。AMRは「サイレントパンデミック」と呼ばれ、人類が直面する世界的な公衆衛生上の脅威のひとつであり、緊急に対処が必要な世界規模の重要課題です2。2019年には、AMRにより世界中で127万人が死亡したと推定されています3。また、国際的な連携により対策を講じなければ、2050年までに年間1,000万人以上が命を落とす問題に発展し、世界経済に与えるインパクトは累積で100兆米ドルに及ぶとの予測がなされています4当社のAMRに対する取り組みついては、こちらをご覧ください。

 

1.       プレスリリース(2022/6/15)塩野義製薬、GARDP、CHAIによる細菌感染症治療薬セフィデロコルに関するライセンス契約ならびに提携契約の締結について -135ヵ国でセフィデロコルへのアクセスを拡大-

2.       Antimicrobial resistance (who.int) WHO. Antimicrobial resistance. Who.int. Published October 13, 2020.

3.       Antimicrobial Resistance Collaborators. Global burden of bacterial antimicrobial resistance in 2019: a systematic analysis. Lancet 2022; 399: 629–55

4.       160525_Final paper_with cover.pdf (amr-review.org) O’Neill J. ‘Tackling Drug-Resistant Infections Globally: Final Report and Recommendations’. Review on Antimicrobial Resistance. May 2016.