• 化学物質管理に対する考え方

     医薬品の研究開発ならびに生産の過程では様々な化学物質を使用します。その中には人の健康や生態系、地球環境に影響を与える可能性のある化学物質も含まれています。化学物質に関しては、PRTR(Pollutant Release and Transfer Register)制度をはじめとした様々な法規制がありますが、化学物質を適正に管理して大気・排水への排出を抑制することは、化学物質を取り扱う企業として責任をもって対応すべき事項であると認識しています。SHIONOGIグループ(以下、SHIONOGI)は関連法令の遵守に加え、法規制値よりもさらに厳格な自主管理値を設定して化学物質の環境への排出の抑制に取り組んでいます。

化学物質管理に対する取り組み

PRTR

 化学物質の環境への排出状況を把握・集計して公表するPRTR制度に基づき、指定化学物質の管理を行っています。使用した指定化学物質について、大気や河川への排出量、廃棄やリサイクル処理した量などを把握し、必要な届出を行っています。2026年5月、伊丹工場において、PRTR制度において2023年に新たに対象物質として追加された化学物質(1種類)について、2023年度と2024年度の届出が未実施であったことが判明しました。発覚後、直ちに兵庫県への報告を行うとともに、県の指示に従い必要な届出および是正対応を完了しました。これを受けて生産子会社であるシオノギファーマ株式会社では、再発防止に向けて全社的な法規制チェック体制の強化を進めています。

 なお、廃棄物として処理した指定化学物質については、PRTR制度に基づき移動量として集計しています。また、揮発性有機化合物(VOC)についても取扱量・排出量・移動量を管理し、排出抑制に取り組んでいます。

PRTR法第1種指定化学物質
PRTR法に基づく届出物質(単位:kg)
名称*1 使用量 排出量 移動量
大気 公共用水域 土壌 事業所外 下水道
N-メチル-2-ピロリドン 68,248 36 0 0 66,774 0
クロロホルム 6,873 211 0 0 6,662 0
ジクロロメタン(別名塩化メチレン) 187,454 90,843 4 0 74,106 0
テトラヒドロフラン 193,962 2,794 0 0 90,912 0
トルエン 1,393 14 0 0 1,379 0
ヘキサン 7,353 439 0 0 6,914 0
N,N-ジメチルホルムアミド 16,202 55 0 0 4,606 0
トリブチルアミン 4,983 0 0 0 0 0
ピリジン 9,134 0 0 0 7,167 0
4-メチル-2-ペンタノン(別名メチルイソブチルケトン) 146,678 208 0 0 26,989 0
N,N-ジメチルアセトアミド 14,720 6 0 0 5,220 0
シクロヘキサン 4,044 40 0 0 4,004 0
総計 661,044 94,646 4 0 294,735 0
*1  PRTR制度における名称
 PRTR制度の届出対象物質以外の揮発性有機化合物取扱量は、2024年度から2025年度にかけての製造品目の変動により減少しました。今後も継続して、環境負荷の低減を図るため、化学物質の取扱量・排出量・移動量を適正に管理し、大気・排水への排出を抑制していきます。
揮発性有機化合物(VOC)取扱量・大気放出量
 なお、PRTR制度対象物質(第一種指定化学物質)のグラフは、2026年5月に判明した2023年度および2024年度の届出漏れを踏まえ、修正しています。

PCB

 PCB(ポリ塩化ビフェニル/Poly Chlorinated Biphenyl)は人工的に作られた、主に油状の化学物質であり、生物の体内に蓄積すると様々な症状を引き起こすことが報告されています。環境中で分解されにくく、脂肪に溶けやすいという性質で、食物連鎖によって生物体内に蓄積されることから、環境中に排出されたPCBによる地球規模での環境汚染が危惧されています。PCBは、過去にコンデンサ、変圧器類、蛍光灯安定器などに使用されており、PCBを含有する廃棄物や使用中の機器に関しては厳正な管理が必要です。

 SHIONOGIでは、組織や事業所ごとに管理者を定めてPCB含有機器を適正に管理するとともに、ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法(PCB特措法)に基づいて、順次、適正処理を進め、2022年度をもって所有する建屋や敷地にあったすべての高濃度PCB含有機器の処分を完了しました。引き続き、低濃度PCB含有機器についてもPCB特措法の期日である2027年3月31日までに処分を完了するべく、対応を進めています。

フロン

 フロン排出抑制法に基づき、冷凍冷蔵設備、空調設備などの対象設備の把握、簡易・定期点検、記録の作成、漏洩量の算定などを実施しています。2025年度のフロン類算定漏洩量は487トン-CO2でした。またモントリオール議定書のキガリ改正*2 を踏まえ、更新時のノンフロンや低GWP*3 機器の導入を進めています。

*2 ウィーン条約に基づいた「モントリオール議定書」において、オゾン層を破壊するおそれのある物質(クロロフルオロカーボン(CFC)、ハイドロクロロフルオロカーボン(HCFC))が規制されています。キガリ改正にて、オゾン層を破壊しないが温室効果の高い代替フロン(ハイドロフルオロカーボン(HFC))について、生産および消費量の削減が定められています。

*3 GWP(Global Warming Potential):地球温暖化係数

化学プロセスにおける安全の確保と環境への配慮

 医薬品の製造法の開発、設備の設計段階において、化学物質の安全性、反応や混触による危険性などを事前評価しています。また、自社開発品については、開発段階から、将来の商用製造を見据え、原材料や水の使用量の最適化を行い、商用製造の廃棄物の発生量や水の使用量の削減を図っています。