化学物質
化学物質管理に対する考え方
医薬品の研究開発、生産には多種の化学物質を使用します。その中には人の健康や生態系、地球環境へ影響を与える可能性のある化学物質も含まれています。また化学物質に関連する法規制として、PRTR(Pollutant Release and Transfer Register)法をはじめとした様々な法律があります。これらの法令を順守することはもちろん、化学物質を適正に管理し、法規制値より厳しい自主管理値を設定して大気・排水への排出を抑制することは、化学物質を取り扱う企業の責任として最も優先するべき事項であると考えています。
PRTR

PRTR法に基づく届出物質(単位:kg)
名称 | 使用量 | 排出量 | 移動量 | |||
---|---|---|---|---|---|---|
大気 | 公共用水域 | 土壌 | 事業所外 | 下水道 | ||
N,N-ジメチルアセトアミド | 17,384 | 18 | 0 | 0 | 17,366 | 0 |
N,N-ジメチルホルムアミド | 12,865 | 67 | 0 | 0 | 6,475 | 0 |
アセトニトリル | 307,298 | 1,818 | 0 | 0 | 305,480 | 0 |
クロロホルム | 8,968 | 374 | 0 | 0 | 8,594 | 0 |
ジクロロメタン(別名塩化メチレン) | 193,568 | 32,933 | 1 | 0 | 146,628 | 0 |
トリブチルアミン | 4,128 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
トルエン | 5,844 | 40 | 0 | 0 | 5,805 | 0 |
ノルマル-ヘキサン | 5,918 | 521 | 0 | 0 | 5,397 | 0 |
ピリジン | 4,484 | 0 | 0 | 0 | 1,931 | 0 |

揮発性有機化合物取扱量は2020年度に発生したジクロロメタンの漏洩により一過性に増加しました。2021年度は再び減少に転じたものの、工場生産量に伴い2018年度・2019年度と比較すると増加しています。一方で大気中への排出量は管理を適切に実施することで、2019年度を下回る水準となりました。今後も継続して、環境負荷の低減を図るため、化学物質の取扱量・排出量・移動量を適正に管理し、大気・排水への排出を抑制していきます。
PCB
PCB(ポリ塩化ビフェニル/Poly Chlorinated Biphenyl)は人工的に作られた、 主に油状の化学物質で、生物の体内に蓄積すると様々な症状を引き起こすことが報告されています。環境中で分解されにくく、脂肪に溶けやすいという性質から、食物連鎖によって生物体内に蓄積されるため、環境中に排出されたPCBによる地球規模での環境汚染が危惧されています。PCBは、過去にコンデンサ、トランス類、蛍光灯安定器などに使用されており、PCB含有廃棄物および使用中機器は厳正な管理が必要です。
SHIONOGIグループでは、管理者を定めてこれらを適正に管理するとともに、順次、適正処理を進めています。2021年度は所有する建屋や敷地を全て確認し、関西以西の建屋や敷地内に設置されていた高濃度PCB含有機器は全て処分いたしました。なお関東エリア等の処分期日は2022年度末となっていることから、2022年度中には処分を完了する予定です。
化学プロセスにおける環境と安全への配慮
医薬品や開発候補品の製造法・試験法の開発、設備の設計段階において、化学物質の安全性、反応や混触による危険性などを事前評価しています。また、製造段階における廃棄物の抑制、省エネ等の効率の良い生産工程についても検討しています。
抗菌薬の環境排出管理に関する詳細はAMRのページをご覧ください。