• 水に対する考え方

     水は大気、土壌、海洋・河川と地球上を循環して相互に作用しながら多様な生態系を育む生命の源であるとともに、人々の生活や経済活動に欠かせない重要な資源でもあります。世界的な人口増加、経済発展、水質汚濁、気候変動による水不足や洪水リスクの高まりなどが社会問題となっており、生態系や人々の生活、経済活動に対する深刻な影響が懸念されています。

     SHIONOGIグループ(以下、SHIONOGI)においても、水は事業遂行のために欠かすことのできない重要な資源であり、適切に保全・管理していく必要があります。SHIONOGIでは、「水」を環境マテリアリティとして特定し、水ストレス*1 ・洪水などの水リスクが事業に与えるインパクトや、事業活動が水環境に与える影響を評価し、それらの適切な管理に向けた取り組みを推進しています。

     

    *1  水需給が逼迫している状態

目標と実績

水資源投入量の削減、水資源投入量と生産性
水資源投入量と水源ごとの投入量内訳、排水量と排出先内訳

水に対する取り組み

正確な排水量の把握による水資源管理の高度化

 SHIONOGIでは、2023年度に「SHIONOGIグループEHS行動目標」の見直しを行い、水資源に関する新たな目標として、「2035年度における水資源還元率を85%以上とする」ことを掲げました。水資源還元率*2とは、事業所が位置する流域(川や湖などの水系が集まる地域)において、取水した水をどれだけ同じ流域に戻せたかを示す指標です。

 この指標を正確に把握するためには、排水量の正確な計測が必要であるため、2024年度に排水量を正しく把握するための計測機器等の設置計画を立案しました。各事業所の設備構造に応じた対応を推進し、正確な排水量の把握と水資源管理の高度化を目指します。

 

*2 水資源還元率(%)=(排水量÷取水量)×100

排水中の医薬品の環境影響評価(Pharmaceuticals in the Environment)

 OECD (経済協力開発機構)では「Pharmaceuticals in the Environment(PiE)」に関する文書*3が発行されるなど、環境中に放出される医薬品への注目が高まっています。SHIONOGIでは、医薬品の製造過程における水の適正な取り扱いや、工場排水中への医薬品の混入を適正に管理することを重視しています。新製品の製造工程を稼働させる際には、排水中における薬物濃度が自然環境に影響を与えないレベルに設計されていることを確認しています。

 特に、感染症治療薬を取り扱う企業としての責任を果たすため、SHIONOGIでは抗菌薬を製造する各工場において、建屋ごとに排水中の抗菌薬を不活化する処理を実施しています。そのうえで、自然環境に影響のないレベルであることを確認した後、工場内の排水処理施設を経由して排出しています。このような取り組みを徹底することで、工場からの抗菌薬の排出を抑制し、SHIONOGIの製造施設が薬剤耐性(AMR)の発生源とならないように努めています。抗菌薬の環境排出管理に関する詳細はAMRのページをご覧ください。

*3 OECD「Pharmaceutical Residues in Freshwater」(外部リンク)

CDP 「水セキュリティ 2024」 6年連続リーダーシップ企業に選定

 国際的な非営利団体CDP*4が実施する「水セキュリティ2024」において、SHIONOGIは2019年の初回回答以来、継続して最高評価である「リーダーシップ評価」を獲得しています。

image

*4 CDP

CDPは、環境問題に高い関心を持つ世界の機関投資家や主要購買企業の要請に基づき、企業や自治体に、気候変動対策、水資源保護、森林保全などの環境問題対策に関して情報開示を求め、また、それを通じてその対策を促すことを主たる活動としている非営利組織です。CDP は現在、環境問題に関して世界で最も有益な情報を提供する情報開示プラットフォームの1つとなっています。