塩野義製薬株式会社(本社:大阪市中央区、代表取締役社長:手代木 功、以下「塩野義製薬」または「当社」)は、当社がGlaxoSmithKline plc.およびPfizer Inc.とともに資本参加しているViiV Healthcare Ltd.(本社:英国ロンドン、Chief Executive Officer:Deborah Waterhouse、以下「ViiV社」)が、世界初の長期作用型注射剤レジメンであるApretude(カボテグラビル)について、HIV-1検査陰性でHIV感染リスクの高い、体重35kg以上の成人および青年を対象としたHIV感染予防の適応で米国食品医薬品局(FDA)より承認を取得したことを発表しましたので、お知らせいたします。
Apretudeの承認申請には、安全性と有効性を評価した2つの国際第IIb / III相臨床試験であるHPTN083試験とHPTN084試験の良好な結果が主なデータとして提出されました。カボテグラビルはそれぞれの試験で、FTC/TDFと比べて高い予防効果を示し、良好な結果を受けてデータ安全性モニタリング委員会から早期終了勧告を受けていました。
米国では現在、予防投与の恩恵を受ける可能性がある方のうち既存の経口予防オプションを服用しているのは25%以下で、新たなHIV予防の選択肢が求められています。Apretude は年間にわずか6回の投与で毎日服薬が必要なFTC/TDFと比べて高い予防効果を示すことから、HIV予防の重要な選択肢になることが期待されます。
Apretudeは2022年初旬に米国で出荷を開始します。投与方法は、医療従事者が月1回の単回注射を2回実施し、以降は2カ月に1回の注射を行うというものです。また、忍容性を確認するためにリードインとしてVocabria(カボテグラビル経口剤)経口投与することもできます。さらに、ViiV社は、本剤の米国以外での予防適応の承認を取得するため、他の規制当局への承認申請を開始しています。
塩野義製薬は、取り組むべきマテリアリティ(重要課題)として「感染症の脅威からの解放」を特定し、HIV感染症をはじめとする三大感染症への取り組みを推進しております。当社は今後もViiV社の経営に参画することで、HIV感染症治療や予防におけるドルテグラビルおよびカボテグラビルに加えS-365598の価値最大化に貢献してまいります。
なお、本件が2022年3月期の連結業績予想に与える影響に関しては、今後、状況に応じて精査いたします。
以 上
ご参考:
HPTN 083試験(NCT02720094)について
HPTN 083試験は、HIV感染予防において、エムトリシタビン/テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩(FTC/TDF)錠(200mg/300mg)の1日1回経口投与と比較して、2か月毎に投与する長時間作用型注射剤カボテグラビルの安全性と有効性を評価するためにデザインされた第IIb/III 相二重盲検試験です。カボテグラビル群は、対照薬のFTC/TDF群を66%(95%信頼区間:38-82%)上回る有意なHIV感染予防効果を示しました。HPTN 083試験は、アルゼンチン、ブラジル、ペルー、米国、南アフリカ、タイ、ベトナムの施設で、男性と性行為を行う男性またはトランスジェンダーの女性、4,566 名を対象に実施されました。
試験デザインの詳細は、https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT02720094 を、試験結果の詳細は、2020年7月10日 プレスリリースをご覧ください。
HPTN 084試験(NCT03164564)について
HPTN 084試験は、HIV感染予防に対する有効性と安全性を、HIV感染リスクが高い女性3,200 名を対象に、2か月毎に投与する長期作用型注射剤カボテグラビルとFTC/TDF(200mg/300mg)の1日1回経口投与と比較評価するためにデザインされた第III 相二重盲検比較試験です。カボテグラビル群は、対照薬のFTC/TDF群を89%(95%信頼区間:68-96%)上回る有意なHIV感染予防効果を示しました。HPTN 084 は、2017 年11 月に登録開始され、計3,223名が登録されました。ボツワナ、ケニア、マラウイ、南アフリカ、エスワティニ、ウガンダ、ジンバブエの7か国20施設で実施されています。これらのサハラ以南の地域では女性のHIV感染率が高いことが知られています。
試験デザインの詳細はhttps://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT03164564 を、試験結果の詳細は、2020年11月11日のプレスリリースご覧ください。
長期作用型注射剤カボテグラビルのHIV感染予防におけるFDAからのブレイクスルーセラピー指定に関するViiV社の発表について
長期作用型注射剤カボテグラビルのHIV感染予防におけるFDAのローリング・サブミッションの開始に関するViiV社の発表について
HIV感染予防における長時間作用型注射剤カボテグラビルの 優先審査指定に関するViiV社の発表について
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