2021/10/01

HIV感染予防における長時間作用型注射剤カボテグラビルの 優先審査指定に関するViiV社の発表について
- FDAは審査終了目標日(PUDUFA date)を2022年1月24日に設定-

塩野義製薬株式会社(本社:大阪市中央区、代表取締役社長:手代木 功、以下「塩野義製薬」)は、塩野義製薬がGlaxoSmithKline plc.およびPfizer Inc.とともに資本参加しているViiV Healthcare Ltd.(以下「ViiV社」)が、HIV感染予防における長時間作用型注射剤カボテグラビルが、米国食品医薬品局(FDA)より優先審査指定されたことを発表しましたので、お知らせいたします。 

 

カボテグラビルは、HPTN 083試験の良好な結果をもとに2020年11月にFDAよりブレイクスルーセラピーの指定を受けており、すでに新薬承認申請が実施されています。今回の優先審査指定によって、FDAの審査終了までの目標期間が標準の10カ月から6カ月に変更になるため、承認までの期間の短縮が期待されます。承認された場合、カボテグラビルはHIV感染予防のための初の長時間作用型注射剤となります。FDAは審査終了目標日を2022年1月24日に設定しています。 

 

今回の優先審査指定はこの薬剤の重要性を示しており、カボテグラビルの予防効果が既存の予防薬であるFTC/TDFの1日1回経口投与時と比較してより優れたことを示したHPTN試験の結果にも裏付けられています。米国では現在、予防投与の恩恵を受ける可能性がある方のうちFTC / TDFを服用しているのは25%以下で、新たなHIV予防の選択肢が求められています。カボテグラビルがHIVに対する取り組みにおいて、重要な役割を果たすと確信しています。 

 

塩野義製薬は、取り組むべきマテリアリティ(重要課題)として「感染症の脅威からの解放」を特定し、HIV感染症をはじめとする三大感染症への取り組みを推進しております。当社は今後もViiV社の経営に参画することで、HIV感染症治療や予防におけるドルテグラビルおよびカボテグラビルに加えS-365598の価値最大化に貢献してまいります。 

 

なお、本件が2022年3月期の連結業績予想に与える影響は軽微です。 

以 上 

 

【ご参考】 

HPTN 083試験(NCT02720094)について 

HPTN 083試験は、HIV感染予防において、エムトリシタビン/テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩(FTC/TDF)錠(200mg/300mg)の1日1回経口投与と比較して、2か月毎に投与する長時間作用型注射剤カボテグラビルの安全性と有効性を評価するためにデザインされた第IIb/III 相二重盲検試験です。カボテグラビル群は、対照薬のFTC/TDF群を66%(95%信頼区間:38-82%)上回る有意なHIV感染予防効果を示しました。HPTN 083試験は、アルゼンチン、ブラジル、ペルー、米国、南アフリカ、タイ、ベトナムの施設で、男性と性行為を行う男性またはトランスジェンダーの女性、4,566 名を対象に実施されました。 

試験デザインの詳細は、https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT02720094 を、試験結果の詳細は、2020年7月10日 プレスリリースをご覧ください。 

 

HPTN 084試験(NCT03164564)について 

HPTN 084試験は、HIV感染予防に対する有効性と安全性を、HIV感染リスクが高い女性3,200 名を対象に、2か月毎に投与する長期作用型注射剤カボテグラビルとFTC/TDF(200mg/300mg)の1日1回経口投与と比較評価するためにデザインされた第III 相二重盲検比較試験です。カボテグラビル群は、対照薬のFTC/TDF群を89%(95%信頼区間:68-96%)上回る有意なHIV感染予防効果を示しました。HPTN 084 は、2017 年11 月に登録開始され、計3,223名が登録されました。ボツワナ、ケニア、マラウイ、南アフリカ、エスワティニ、ウガンダ、ジンバブエの7か国20施設で実施されています。これらのサハラ以南の地域では女性のHIV感染率が高いことが知られています。 

試験デザインの詳細はhttps://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT03164564 を、試験結果の詳細は、2020年11月11日のプレスリリースご覧ください。