細菌性食中毒
-ボツリヌス食中毒-
真空パックなどの密封された食品中でボツリヌス菌が産生する毒素を摂取する
ことにより、体のさまざまな部位に神経まひの症状があらわれる毒素型食中毒
です。
症状
- 吐き気、嘔吐、下痢などの消化器症状が最初にあらわれた後、すぐに便秘に
なるのが特徴です。 - その後、特有の神経まひ症状がみられるようになり、めまい、頭痛、
視力低下、ものが二重に見えたりかすんで見えたりする、まぶたが垂れ下がるなどの眼症状が出ます。
また、これらと前後して口の中が乾燥する、ろれつが回らなくなる、ものが
飲み込みにくくなるなど、のど部分のまひが認められます。 - さらに病状が進行すると、お腹のはり、尿閉(尿がほとんど出ない)、
脱力感、手足・首・肩のまひがみられ、次第に呼吸困難を起こして短時間で
亡くなることがあります。 - 軽症で済んで病気にかかったことに気づかないこともあります。
- 通常数時間~数日で回復しますが、症状が1か月以上続き、回復に1年以上
かかることもあります。
感染経路
- 経口感染
- ボツリヌス菌が食品中で増殖するときに産生されるボツリヌス毒素を食品と
ともに摂取することにより発症します。
予防
- ボツリヌス菌は増殖するときに、大変くさいにおいを放ち、ガスを出すため、食品のパックがふくらんでいたり、食品から異臭があったりしたら、絶対に
食べてはいけません。 - レトルトパウチ食品では120度で4分以上加熱加圧処理がなされているため、
室温保存ができますが、そのような処理が加えられていない真空パックなどの密封された食品では、冷蔵保存(10度以下)する必要があります。 - 85度で5分の加熱によりボツリヌス毒素は壊すことができますが、
電子レンジでの加熱は有効ではありません。
治療
症状を和らげる対症療法が中心
病原体
- ボツリヌス菌
- 酸素を嫌い、真空パック、缶づめ、ビンづめ、発酵食品内などの酸素が極めて少ない密封状態で増殖します。
- 土や水などに広く分布するため、果物、野菜、肉、魚などに混入することが
あります。
潜伏期間
18~48時間
- 文献
- 厚生労働省: 真空パック詰食品(容器包装詰低酸性食品)のボツリヌス食中毒対策.
- 国立感染症研究所: ボツリヌス症とは.
- 食品安全委員会: ボツリヌス症(ファクトシート).
- などを参考にして作成