ウイルス性胃腸炎
-ノロウイルス感染症-
感染力が強く、激しい下痢や嘔吐などの症状があらわれるウイルス感染症で、
こどもだけでなく、成人にも多くみられます。
1年を通じてみられますが、特に秋から冬にかけて流行します。
症状
- 主な症状は激しい嘔吐、下痢であり、腹痛、頭痛、軽度の発熱、寒け、筋肉痛、のどの痛み、体のだるさ、脱水などを伴うこともあります。
- 通常治療を行わずに1~2日で回復し、後遺症もありません。
- 感染しても症状が出ない場合や軽いかぜのような症状が出る場合もあります。
- こどもや高齢者などでは重症化する場合があり、吐いた物を気道に詰まらせて窒息死することがあります。
-
吐いた物を誤嚥(ごえん)(食べ物やだ液が気道に入ること)することに
より、誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)を引き起こすことがあります。
感染経路
- 主な感染経路は経口感染ですが、飛沫感染や接触感染することもあります。
-
ノロウイルスで汚染された食品(特にカキなどの二枚貝の生食)や水、
ウイルスが付着した手を介して、ウイルスが口に入ることで感染します。 - ウイルスに感染している調理者を介して食品が汚染されたことによる食中毒が多く起きています。
-
感染者の吐いた物や便には大量のウイルスが含まれていますが、100個以下の
ごくわずかなウイルス量でも感染します。 -
感染者の吐いた物が乾燥して、ウイルスが空気中に舞い上がり、それを吸い
込んで感染することもあります。 - 汚物処理が不十分な場合、容易に集団感染を引き起こします。
- 症状が改善した後も3~7日間ほどウイルスが便中に排出されるため、二次感染に注意が必要です。
- 再感染もまれではありません。
予防
-
こまめな手洗いなどの一般的な予防法を実施することが大切です。
流水による手洗いができない場合には、手指消毒用エタノールなどを利用しましょう。 - 嘔吐や下痢などの症状があらわれた場合は、早めに申し出て、食品を扱わないようにしましょう。
- 爪は短く切りましょう。
- トイレを衛生的に保ちましょう。
- 汚染された衣類は丁寧に洗い、高温で乾燥させましょう。
-
調理器具などがウイルスに汚染されたときは、洗剤などを使用し十分に洗った後、次亜塩素酸ナトリウムや亜塩素酸水で浸すように拭いたり、熱湯で1分以上
加熱するようにしましょう(ノロウイルスはアルコールに抵抗性があり
ます)。 - 加熱が必要な食品は中心部までしっかり加熱しましょう。
-
加熱せずに食べるものは他の食品と調理器具や容器を分けて調理や保存を
行いましょう。
治療
- 症状を和らげる対症療法が中心
-
特に、乳幼児(0~6歳頃)、高齢者は、脱水、体力消耗を防ぐために水分と
栄養の補給が行われます。
脱水症状がひどい場合には、輸液などが行われます。 -
下痢止め薬は、病気の回復を遅らせることがあるので使用しないことが望ま
しいです。
病原体
ノロウイルス
潜伏期間
12~48時間
- 文献
- こども家庭庁: 保育所における感染症対策ガイドライン(2018年改訂版)2023(令和5)年5月一部改訂<2023(令和5)年10月一部修正>.
- 厚生労働省: ノロウイルスに関するQ&A.
- 厚生労働省検疫所 FORTH: ノロウイルス感染症.
- 国立感染症研究所: ノロウイルス感染症とは.
-
国立感染症研究所:
令和元年台風第19号関連・地域の感染症発生状況と感染症対策について
(2019年10月18日現在). - などを参考にして作成