細菌性食中毒
-ブドウ球菌食中毒-
黄色ブドウ球菌が食品中で産生するエンテロトキシン(毒素)を摂取することにより、激しい嘔吐などの急性胃腸炎症状があらわれる毒素型食中毒です。
1年を通じてみられますが、5~10月にかけて発生することが多いです。
症状
- 激しい吐き気や嘔吐、差し込むような鋭い腹痛、下痢などの急性胃腸炎症状が急激にあらわれます。
- まれに発熱がみられることもあります。
- 通常1~2日で回復します。
- 脱水症状や血圧低下などを伴ったショック症状を起こすなど重症化することがまれにあります。
感染経路
- 接触感染、経口感染
- 黄色ブドウ球菌が食品中で増殖するときに産生されるエンテロトキシン
(毒素)を食品とともに摂取することにより発症します。 - 手指などの傷口で化膿している(うみが出ている)部分には黄色ブドウ球菌が多量に存在しているため、手を介して食品が汚染されることによって感染
します。 - 食品原材料の汚染によって感染することもあります。
- 原因食品は、素手でつくったおにぎりや寿司、肉、卵、牛乳などの乳製品、
菓子など多岐にわたっています。
予防
- こまめな手洗いなどの一般的な予防法を実施することが大切です。
- 調理から時間を空けずに肉などの食品を食べきるよう心掛けましょう。
- 手指に傷のある人は食品に直接ふれたり、調理をしないようにしましょう。
- 食品は低温で保存しましょう。
- エンテロトキシン(毒素)は熱に強いため、通常の加熱調理では予防できま
せん。
治療
- 脱水を防ぐための補液や症状を和らげる対症療法が中心
- 下痢止め薬は使用しません。
病原体
- 黄色ブドウ球菌
- 健康な人の鼻の中、のど、腸管などにも生息していることがあります。
潜伏期間
30分~6時間(平均3時間)
- 文献
- 国立感染症研究所: ブドウ菌食中毒とは.
- 食品安全委員会: ブドウ球菌食中毒(ファクトシート).
- などを参考にして作成