百日咳
特徴的な連続性・発作性の激しい咳が長期に続く細菌感染症です。
小さな赤ちゃんでは特徴的な咳はなく、呼吸ができなくなる無呼吸発作を起こし死に至ることもあります。
こどもだけではなく、成人がかかることも多いです。
症状
1) カタル期(約2週間持続)
かぜ症状で始まり、次第に咳の回数が増えて激しくなっていきます。
2)痙咳期(けいがいき)(約2~3週間持続)
- 次第に特徴的な連続性・発作性の咳となります(コンコンとせきこんだ後、息を吸うときにヒューという笛を吹くような音が出る。このような発作を
繰り返す)。 - 夜間の発作が多く、眠れないほどの咳が出たり、咳とともに吐くこともあります。
- 発熱することは少なく、あっても微熱程度です。
3)回復期(約2、3週~)
- 激しい咳は次第におさまりますが、その後も時折、発作性の咳が出ます。
- 全経過約2~3か月で回復します。
● 乳児
- 特徴的な咳はなく、無呼吸発作から全身が青紫色になるチアノーゼ、
けいれん、呼吸停止と進展することがあります。 - 特に生後6か月未満の乳児では亡くなってしまうこともあります。
- 重症化するリスクが高く、肺炎、脳症、中耳炎などの合併症の頻度も
高いです。
● 年長児以降・成人
- 年長児以降では、咳の長引くかぜと思われることも少なくありません。
- 近年、小学校高学年以上の患者が増えています。
- 思春期・成人になってから発症することも多いです。
- 成人では咳は長期間続きますが、軽症で気づきにくいため、ワクチン
未接種の乳児などの感染源になることがあり、注意が必要です。
感染経路
主に飛沫感染、接触感染
予防
- 百日せき含有ワクチンの接種が有効な予防手段です。
- こまめな手洗い、マスク着用、咳エチケットなどの一般的な予防法を実施することが大切です。
- 咳が長期に続く場合は、早めに申し出て、乳児と接触しないようにしま
しょう。
治療
抗菌薬
菌の排出は抑えられても、咳は長期間続くことが多いです。
病原体
百日咳菌
潜伏期間
7~10日
- 文献
- こども家庭庁: 保育所における感染症対策ガイドライン(2018年改訂版)2023(令和5)年5月一部改訂<2023(令和5)年10月一部修正>.
- 厚生労働省: 百日せき.
- 国立感染症研究所: 百日咳とは.
- などを参考にして作成