配慮が必要な方の避難所生活
配慮が必要な方は一般の人に比べると感染症の重症化リスクが高いので、健康
状態の変化や衛生管理などに特に注意が必要です。
高齢者や赤ちゃん、妊産婦、基礎疾患や障がいのある方などの配慮が必要と
される方には、専用ゾーンか別室が設けられることがあります。
高齢者
高齢者は抵抗力が弱いため、さまざまな感染症にかかりやすい
傾向があり、重症化リスクも高いとされています。
避難所で心がけたい生活ルールの実施に加えて、以下の点にも
気をつけましょう。
お口の清潔は重要です
-
避難所では口の中や入れ歯の清掃がおろそかになったり、水分不足やストレス、体力低下なども重なって、誤嚥性肺炎などの呼吸器感染症を引き起こし
やすくなったりします。
できるだけ歯みがきを行うようにし、できない場合も少量の水でできる
うがいをしましょう。
(→高齢者感染症ナビ「口腔ケア」へ)塩野義製薬関連サイトへ
着替えや入浴はできていますか?
-
特に高齢者は、着替えたり入浴をしたりするのがおっくうになります。
ずっと着替えや入浴をしないでいると、体が不衛生になります。
まわりの方が高齢者の衛生状態を確認し、着替えや入浴ができていなければ、するように促しましょう。
入浴が難しいようなら、温かいおしぼりやタオルなどを使用して、体を拭いたりするとよいでしょう。
脱水に気をつけましょう
- 高齢者は水分不足による脱水に気がつきにくく、尿路感染症や心筋梗塞、エコノミークラス症候群などの原因にもなりうるので、しっかりと水分をとるようにしましょう。
体を動かすようにしましょう
-
特に高齢者は避難所で体を動かす機会が減りますと、だんだんと「動けなく」なってしまうことがあります。
(→厚生労働省「生活不活発病」に注意しましょう」へ)外部サイトへ
- 内閣府
- 新型コロナウイルス感染症対策に配慮した避難所運営ポイント(第2版). p4.
- 厚生労働省
- 被災地での健康を守るために. p1, 5.
- 厚生労働省
- 避難所生活を過ごされる方々の健康管理に関するガイドライン. p5, 14.
- などを参考にして作成
赤ちゃん
避難所での授乳 どうする?
-
感染症予防の観点から、母乳が勧められます。
吸わせることでお母さんとのスキンシップがとれて、ストレス
軽減に効果があるとされます。
授乳前にお母さんは乳房を清浄綿で拭くなどして、清潔にしま
しょう。 -
哺乳瓶がないときの代替手段として、清潔な紙コップやカップ、スプーンなどが使用できます。
紙コップで飲ませる場合は、少しずつ、時間をかけて飲ませましょう。 - 哺乳瓶やカップを煮沸消毒や薬液消毒できないときは、衛生的な水でよく洗ってから使用しましょう。
- 水などが不自由な時には、液体ミルクがよいとされます。
おむつかぶれ対策を
-
赤ちゃんのお尻は、おむつをこまめに交換できなかったりするために清潔が
保ちにくく、おむつかぶれを起こしやすくなります。
短時間おむつを外してお尻を乾燥させたり、お尻だけをお湯で洗うように
しましょう。 -
ペットボトルに入れたお湯(なければ人肌に温めた水)で、おしりを洗うと
いう方法もよいでしょう。 -
入浴できない場合は、温かいおしぼりやウェットティッシュ、清浄綿などで
赤ちゃんの体を拭きます。
皮膚の弱い赤ちゃんは、ウェットティッシュのアルコール成分でかぶれることがあるので、注意しましょう。
- 厚生労働省
- 避難生活で母子に生じる健康問題を予防するための栄養・食生活について. p2, 3
- 厚生労働省
- 避難所等で生活している妊産婦、乳幼児の支援のポイント. p2.
- 厚生労働省
- 避難所生活を過ごされる方々の健康管理に関するガイドライン. p12.
- 東京都福祉保健局
- 災害時に備えて 知っていますか?乳児用液体ミルク.
- 公益社団法人日本新生児成育医学会災害対策委員会
- 被災地の避難所等で生活をする赤ちゃんのためのQ&A.
- などを参考にして作成
妊産婦
衛生状態が悪くなると、産婦は乳腺炎や膀胱炎などの感染症に
かかりやすくなり、妊婦は流産や早産のリスクが高くなります。
避難所で心がけたい生活ルールの実施に加えて、以下の点にも
気をつけましょう。
妊婦
-
おりものが増加することがあるので、ウェットティッシュや生理用品などを
使用して、陰部の清潔を保つようにしましょう。
授乳婦
-
母乳育児をしている場合、ストレスなどで一時的に母乳分泌が低下すること
もあります。
その場合も不足分を粉ミルクなどで補いつつ、おっぱいを吸わせられるよう、
安心して授乳ができるプライベート空間を確保できるとよいでしょう。
短時間であっても、赤ちゃんへの話しかけやスキンシップを図ることも大切
です。 -
おりものが増加した場合や授乳があるお母さんは、清浄綿やウェットティッ
シュ、母乳パッドや生理用品などを使用して、乳房と陰部の清潔を保つようにしましょう。
- 内閣府・男女共同参画局
- 災害対応力を強化する女性の視点~男女共同参画の視点からの防災・復興ガイドライン~. p41, 56.
- 厚生労働省
- 避難生活で母子に生じる健康問題を予防するための栄養・食生活について. p2.
- 厚生労働省
- 避難所等で生活している妊産婦、乳幼児の支援のポイント. p2.
- 厚生労働省
- 避難所生活を過ごされる方々の健康管理に関するガイドライン. p12.
- などを参考にして作成
基礎疾患のある方
新型コロナウイルス感染症と診断された人のうち、基礎疾患の
ある方は重症化しやすいとされています。
災害発生時でも治療や服薬の継続が必須である疾患もあります
ので、その場合は早急に医療機関を受診する必要があります。
-
人工透析を必要とする慢性腎不全、インスリンを必要とする糖尿病等の方は、治療の継続が必須となります。
早急に医療機関を受診するようにしましょう。 -
高血圧、喘息、てんかん等の慢性疾患の方は、治療を中断すると病気が悪化
するおそれがあります。
医師・保健師・看護師等に相談しましょう。 -
アレルギーのある方は、それまでとは違う環境で生活していると症状が出やすくなったり、発作が起こりやすくなったりすることがあります。
症状があらわれたときにどうするかをかかりつけ医等に相談し、日頃から備えておくようにしましょう。
-
食物アレルギーを持つ被災者は、アナフィラキシーショックを起こすおそれがあります。
提供される食品の原材料にアレルギー食品が含まれていないか、
注意するようにしましょう。 -
慢性疾患の中には、継続的な服薬と日々の食事の管理が必要な
病気があります。
家族と離ればなれになった場合に備えて、処方薬と栄養管理の
内容が書かれたメモなどを携帯するのもよいでしょう。
- 厚生労働省
- 新型コロナウイルスに関するQ&A(一般の方向け).
- 厚生労働省
- 避難所生活を過ごされる方々の健康管理に関するガイドライン. p7, 11, 12, 15.
- 厚生労働省
- 最新の知見に基づいた大規模災害時の栄養・食生活支援活動の体制について.
- などを参考にして作成
障がいのある方への援助
障がいのある方は、災害発生時に情報収集や避難するのに困難なことがあります。
適切な行動をとったり命を守ったりするためには、まわりの方々の支援が必要
です。
ヘルプマークを身に付けている方がいたら、「お困りですか?」と声を
かけましょう。
ヘルプマーク
障がいのある方などが災害時や日常生活の中で困ったときに、
周囲に自己の障がいへの理解や支援を求めるためのものです。
付属シールに緊急連絡先や必要な支援内容などを記載する
ことができます。
杖や車いすを使用している方
- どのような支援が必要か、本人に聞きましょう。
- 車いすで進入できる入口(幅90㎝以上)を確保します。
目や耳に障がいがある方
-
耳マーク腕章
ケーションの方法に配慮しましょう。 - 本人のそばに行き、周囲の状況、現在の状況を伝えましょう。
-
耳の不自由な方は音声の情報が入らないため、的確な判断や避難行動に結び
つきません。
筆談などで震災状況に関する情報を伝えてください。
精神障がいがある方
-
環境変化のストレスや服薬中断により、病状悪化のリスクがあります。
病状や服薬情報をていねいに聞き取り、医療機関、保健所等へつなげるなどの支援をしましょう。 - 動揺しているかもしれませんので、ゆっくりと簡潔に話しましょう。
- 急に体をさわられたり、手を引かれたりすることを嫌う人もいますので、相手から腕や肩をつかんでもらうことも有効です。
知的障がいがある方
- 動揺しているかもしれませんので、ゆっくりと簡潔に話しましょう。
- 急に体をさわられたり、手を引かれたりすることを嫌う人もいますので、相手から腕や肩をつかんでもらうことも有効です。
- 東京都福祉保健局
- ヘルプマーク.
- 東京都福祉保健局
- ヘルプカード.
- 東京都福祉保健局
- もっと知りたいヘルプマークヘルプカード.
- 一般社団法人全日本難聴者・中途失聴者団体連合会
- 耳マーク腕章.
- 八王子市
- 災害時障害者サポートマニュアル.
- 厚生労働省
- 災害緊急時等の障害のある方への支援について.
- 東京都
- 耳の不自由な方のための災害時初動行動マニュアル.
- 厚生労働省
- 避難所等で生活する障害児者への配慮事項等について.
- などを参考にして作成