取り組み
重要サプライヤーの特定
SHIONOGI グループは、「調達ポリシー」に基づき、地政学リスクや取引先業界・原材料特有のリスクを考慮した上で、サプライヤーを選定しています。
当社国内グループのサプライヤーは世界で 4,000 社以上存在しますが、「SHIONOGI グループの製品・サービスを市場に安定的に提供するために必要なサプライヤー」を重要サプライヤーと定め、右図の流れに沿って特定し、毎年更新を行っています。
なお、現状国内グループを対象に取り組みを進めており、今後海外グループへの展開を検討しています。
サプライヤーのリスク評価
SHIONOGIグループは、「ビジネスパートナーに求める行動規範」の制定、ESG要素に関する調査や監査を通じたリスク評価および課題の抽出、サプライヤーとのコミュニケーションを通じた改善計画立案などPDCAサイクルの構築によって、持続可能な調達の実現を進めています。
*1 サプライヤーの環境、労働慣行と人権、倫理、持続可能な資材調達の影響を含む、財務以外の幅広い管理システムをスコアカードで評価するプラットフォーム
SHIONOGI グループの製造・研究事業所では、原材料の購入~廃棄に至るまで、各々の作業について環境影響評価を行い、リスクの高い社内業務に限らず、委託業務や廃棄物業者などへも注意喚起を行うとともに、緊急時の連絡体制を構築しています。
サプライヤーの管理については、リスク区分と管理手順を定めた「ビジネスパートナーの ESG マネジメントガイダンス」を設定し、ビジネスパートナーの管理レベルごとに実施項目を定めています。重要な開発品よび医薬品原料のサプライヤーには、PSCI が提供する SAQ(セルフアセスメント質問票)を用いて、各項目におけるリスクを確認するとともに、現地監査を行っています。現地監査では、製造プロセスの安全性評価や現地で適用される法規制の評価等、サプライヤー個別のリスク確認も併せて実施しています。
重要サプライヤーについては、より公平かつ客観的に企業の社会的責任と持続可能な調達を評価するための格付けプラットフォームであるEcoVadis を活用し、優先順位の高い取引先から順次評価を実施しています。
ビジネスパートナーの管理レベルと実施項目
No. | 取扱区分(品目) | 管理レベル | 実施項目 | ||
---|---|---|---|---|---|
確認書 | アンケート | 現地監査 | |||
1 | PV[*2]製造以降の開発品の原薬・中間体・製剤(GMP[*3]工程)のビジネスパートナー | 高 | ◯ | ◯ | ◯ |
2 | 重要品目*4の原薬・中間体・製剤・包装工程(GMP工程)のビジネスパートナー 重要品目の原材料に関する代替先のないビジネスパートナー |
中 | ◯ | ◯ | |
3 | 上記以外のビジネスパートナー (汎用原料メーカー、商社など) |
低 | ◯ |
*2 PV(プロセスバリデーション):工業化研究の結果や類似製品に対する過去の製造実績等に基づき、あらかじめ特定した製品品質に影響を及ぼす変動要因(原料及び資材の物性、操作条件等)を考慮した上で設定した許容条件の下で稼動する工程が、目的とする品質に適合する製品を恒常的に製造するために妥当であることを確認し、文書化すること。
*3 GMP(Good Manufacturing Practice):医薬品の製造と品質管理に関する国際基準。医薬品製造においては医薬品等の原材料の入荷、検品から製造、製品の包装、出荷管理、製品保管、回収処理などに係る業務についてGMP省令を遵守することが定められている。
*4 重要品目:AMR(薬剤耐性)関連品目およびBCP(事業継続計画)品目
サプライヤーとの協働
SHIONOGI グループは、サプライヤーの皆さまとの協働により、事業活動を通じた持続可能で健全な社会の実現に貢献します。
協働を進めるにあたり、「調達ポリシー」に則った評価・選定を行うとともに、サプライヤーの皆さまと協力して取り組んでいくことを確かなものにするため、取引開始にあたっては「ビジネスパートナーに求める行動規範」に賛同いただく旨を盛り込んだ契約書等の必要書類を取り交わしています。目標として、全てのサプライヤーの皆さまに賛同いただくよう取り組みを進めています。
また、SHIONOGIグループはサプライヤーとのエンゲージメントを高めるための取り組みを行っています。
重要サプライヤーに対して、EcoVadis プラットフォームを利用したリスクアセスメントの実施や是正措置依頼を行い、説明会や面談を通じてESG課題への取り組みを支援するための働きかけを実施しています。
具体的な取り組みの詳細については、以下をご覧ください。
目標と実績
サプライヤーのリスク管理・サプライヤーとの協働についての各年度の目標と実績は以下の通りです。
サプライチェーン全体の状況を踏まえ適切な目標を立て、継続して取り組みを拡大していくとともに、進捗を開示していきます。
持続可能な調達実現に向けた取り組みの目標と実績 | 2022年度 | 2023年度 | 2024年度目標 | |||
---|---|---|---|---|---|---|
目標 | 実績 | 目標 | 実績 | 目標 | ||
ビジネスパートナーに求める 行動規範への同意率(%) |
新規契約:100% | 新規契約:100% | 新規および継続契約:100% | 新規契約:100% 継続契約:2024年度にかけて実施 |
新規契約:100% 継続契約:100% |
|
ESGリスク評価と是正活動を実施したサプライヤーの総数 | 51社 | 100社 (累計:117社) |
70社 | 77社 (累計*5137社) |
69社 | |
内訳 (同一社の別サイト含む) |
現地調査 (委託含む) |
3社 | 0社 | 9社 | 10社 | 9社 |
デスクトップ調査 (PSCI SAQ、EcoVadis) |
49社 | 100社 | 61社 | 68社 | 41社 | |
是正活動の実施 | ー | ー | ー | ー | 19社 | |
サステイナビリティ課題に関する 直接的エンゲージメント活動を実施した サプライヤーの総数 |
35社 | 29社 | 29社 | 28社 | 24社 | |
内訳 | 人権関連 | 14社 | 14社 | 14社 | 14社 | 14社 |
気候変動関連 | 21社 | 15社 | 15社 | 14社 | 10社 |
*5 累計:該当年度の重要サプライヤー中、評価を実施している企業数
調達業務に携わる従業員に対する教育
SHIONOGI グループでは持続可能な調達の実現を目的として、調達業務に携わる従業員が、理解・遵守すべき人権・労働や環境といった社会課題に関連する事項を SOP(Standard Operating Procedures)に定め、浸透のための教育を行っています。2022 年度は調達業務に携わる従業員 74 人について、SOP 教育を実施しました。
2021 年度に、調達業務に関わる人員を含む国内グループ全従業員対象に、「調達ポリシー」および「ビジネスパートナーに求める行動規範」についての E-learning 教育を実施しました。(受講率 84%)
共同配送の取り組み
塩野義製薬株式会社は、2023 年 1 月より小野薬品工業株式会社、田辺三菱製薬株式会社、株式会社エス・ディ・コラボと共同で、製薬業界で初めて医薬品の適正流通(GDP:Good Distribution Practice)ガイドラインに準拠した共同輸送を開始しました。 この共同配送により以下のような効果を目指しています。
- 1GDP遵守:全ての温度帯で温度管理をした輸送をおこない、品質担保の向上を図ります。
- 22024年問題対策:輸送の積載効率を上げ、運行台数を削減することにより、ドライバー不足を軽減して安定供給を図ります。
- 3環境対策:運行台数の削減によりCO2排出削減を目指します。