気候変動に対する考え方

 2020年10月、日本においても2050年にカーボンニュートラルを目指すことが宣言され、脱炭素の動きが加速しています。企業が気候変動のリスク・機会を認識して対策に取り組むことは、ESG投融資を行う機関投資家・金融機関からも重要視されており、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の提言においても、その重要性に言及されています。このように、企業が経営戦略に気候変動を始めとする環境要素を織り込み、脱炭素化を目指すことは、企業がSDGsの達成に貢献し、社会とともに成長し続けるために不可欠な課題となっています。気候関連リスクと脱炭素経済への移行は、ほぼ全ての産業に影響を及ぼすものであり、シオノギにおいてもリスクを評価しその低減に取り組んでいます。

 気候変動の影響を評価し対応するとともに、関連する情報開示に対する社会からの要求にこたえるために、TCFDのフレームワークを参考に、気候変動関連情報開示の拡充を進めています。

ガバナンス

 環境に関連したポリシーや中長期目標、実績レビューや環境課題の抽出、環境リスク評価など重要事項の審議承認機関として「シオノギグループ中央EHS委員会」を設置しています。また、気候変動、省エネに特化した事項に関してはより専門的な「省エネ委員会」を設置しています。気候変動のリスクと機会については、経営会議で審議し、取締役会で決議しています。

戦略

 シオノギでは、地球温暖化をはじめとする気候変動問題を取り組むべき経営課題と認識し、気候変動に関するリスクと機会を経営戦略策定に反映しています。また、IPCC *1 第5次評価報告書、RCP2.6、8.5シナリオ *2 を参考に、気候変動に関する財務影響を考慮し、シオノギのレジリエンスについて評価しています。

*1 IPCC(Intergovernmental Panel on Climate Change):国際気候変動に関する政府間パネル

*2 RCP(Representative Concentration Pathways)シナリオ:代表濃度経路シナリオ

気候変動リスクと機会の評価概要

 

内容

財務影響

確率

備考

移行リスク(法規制強化)

省エネ費用の追加投資

(設備投資)

SBT*3基準に法規制が強化された場合を想定

物理的リスク(異常気象)

工場の被災による操業停止

(操業停止)

平成30年7月豪雨と同等の異常気象に工場が被災した場合を想定

物理的リスク( 異常気象 )

サプライチェーンの被災による操業停止

(操業停止)

アジア地域での異常気象増加によるサプライチェーンリスクを想定

機会

( 外部評価向上 )

投資家からの投資増加

(投資機会)

統合/環境報告書での情報開示推進によるESG評価向上を想定

機会(エネルギーコスト削減 )

さらなる省エネ推進による電力および燃料の削減

(運用コスト低減)

SBT基準達成時の電力および燃料使用量を想定

機会

( 新市場への参入 )

気候変動関連の新薬創出による収益増加

(収益)

熱帯感染症(マラリア)の市場変化を想定

*3 SBT(Science Based Targets):科学的根拠に基づいた排出削減目標

リスク管理

 気候変動リスクは「シオノギグループ中央EHS委員会」、「省エネ委員会」にて発生時期や確率、財務的影響などを評価し、優先順位に応じた対応策を策定・実施しています。各委員会の審議事項(気候変動問題に関する目標設定、進捗確認、法規制の遵守状況評価など)より抽出されたリスクは、全社リスク管理システムに統合し、経営会議で審議のうえ、取締役会で決議する体制を構築しています。

指標と目標

実績
中長期目標

 日本政府が示した「2050年温室効果ガス排出量実質ゼロ」および世界的な温室効果ガス排出量削減への取り組みに対応するため、シオノギも中長期的な温室効果ガス(CO2)排出量削減計画を策定しています。

 また、2030年度目標としてSBTを設定し、2021年6月にSBTイニシアチブからの承認を取得しました。今後は、SBT達成に向けてCO2排出量削減への取り組みを進めていきます。

 また、環境省のサプライチェーン全体の温室効果ガス排出削減目標の達成に向けた支援事業「令和3年度サプライチェーンの脱炭素化推進モデル事業」へ参加しています。

【温室効果ガス(CO2)の排出量の中長期目標】
* SBTイニシアティブの認定を取得した目標

気候変動イニシアティブ(JCI )への加盟とJCIメッセージへの賛同

 2021年4月、気候変動イニシアティブ(JCI: Japan Climate Initiative)に加盟するとともに、「JCIメッセージ」に賛同しました。

 JCIは、日本において気候変動対策に積極的に取り組む企業や自治体、NGOなどの情報発信や意見交換を強化して脱炭素社会の実現を目指すネットワークです。JCIメッセージでは、日本の2030年CO2削減目標を45%以上(2013年比)にすること、また、これを可能にするよう2030 年度の再生可能エネルギー電力の導入目標を、現在の22~24%から欧米諸国に近い水準である40~50%にまで引き上げることを日本政府に提案しています。

 現在、このJCIメッセージに基づき、日本は2030年CO2削減目標を46%(2013年比)にする新目標が発表されており、シオノギもこの新目標を上回るSBT目標を掲げ、CO2排出量削減に取り組んでいきます。

気候変動アクション日本サミット (Japan Climate Action Summit: JCAS)2021への登壇

 2021年10月、JCI(Japan Climate Initiative)が主催する気候変動アクション日本サミットにおいて、サステイナビリティ推進部長がパネルセッション2「気候危機への新たな挑戦」に登壇しました。

   気候変動の適応策として、シオノギのマテリアリティ「感染症の脅威からの解放」への取り組みである、感染症のリーディングカンパニーとして次のパンデミックに備えることについて紹介しました。また気候変動の緩和策として、温室効果ガス排出量削減の中長期目標、およびその SBTからの承認取得について説明しました。

 

「気候変動アクション日本サミット2021」 | 気候変動イニシアティブ – Japan Climate Initiative – JCI (外部リンク)

気候変動アクション日本サミットに登壇するサステイナビリティ推進部長の写真です

気候変動の影響で拡大が懸念される薬剤耐性(AMR)に対する取り組み

 シオノギの薬剤耐性(AMR: Antimicrobial Resistance)への取り組みが、国立研究開発法人国立環境研究所が管理・運営するWebサイト「気候変動適応情報プラットフォーム」(A-PLAT: Climate Change Adaptation Information Platform)に掲載されました。

カーボンプライシング

 中長期的なCO2排出量削減計画には、インターナル・カーボン・プライシングを導入し、投資判断基準として運用していきます。

表彰

~令和2年度 岩手県環境保全活動知事表彰を受賞~ 

 

 2020年11月、令和2年度いわて水と緑の交流フォーラムにおいて、金ケ崎工場が地球温暖化防止部門で岩手県環境保全活動知事表彰を受賞しました。

 金ケ崎工場は、2014年度にガスタービンコジェネレーション設備を本格稼働させたことにより、年間11,000トンの大幅なCO2排出削減を果たしています。また照明のLED化、高効率モーターや冷凍機の導入などの設備の高効率化更新を行い、廃棄物再資源化等も含め、温室効果ガスの排出の抑制、省エネの推進に取り組んでいることが評価されました。

表彰状

フロン

 フロン排出抑制法に基づき、冷凍設備、空調設備などの対象設備の把握、簡易・定期点検、記録の作成、漏洩量の算定などを実施しています。2020年度のフロン類算定漏洩量は444トン-CO2でした。またモントリオール議定書のキガリ改正*4を鑑み、更新時にノンフロンや低GWP*5 機器の導入を進めます。

*4  ウィーン条約に基づいた「モントリオール議定書」において、オゾン層を破壊するおそれのある物質(クロロフルオロカーボン(CFC)、ハイドロクロロフルオロ  カーボン(HCFC))が規制されています。キガリ改正にて、オゾン層を破壊しないが温室効果の高い代替フロン(ハイドロフルオロカーボン(HFC))について、生産及び消費量の削減が定められています。

*5  GWP(Global Warming Potential):地球温暖化係数

営業車両

 燃費向上によるCO2および排ガスの排出量削減のため、医薬情報担当者(MR)貸与自動車にハイブリッド車の導入を進めています。降雪地・豪雪地を除く地域ではすべてハイブリッド車を導入しました。2020年から順次、降雪地・豪雪地でもハイブリッド車を導入し、2024 年にはすべての地域でハイブリッド車を導入する予定です。

 2020年度はCOVID-19感染拡大に伴い、対面での医薬情報提供活動を抑え、リモートにシフトした影響により、燃料使用量が減少しました。

営業車両の燃料使用量とCO2排出量

CO2排出量

 シオノギグループでは地球温暖化対策として、CO2排出量の削減に取り組んでいます。

 日薬連(日本製薬団体連合会)では、低炭素社会実行計画として「2020年度の製薬企業のCO2排出量を、2005年度を基準に23%削減する(フェーズⅠ)、2030年度の製薬企業のCO2排出量を、2013年度を基準に25%削減する(フェーズⅡ)」ことを掲げています。シオノギグループも同水準以上の目標を設定し、またエネルギー効率の改善として原単位を年1% 改善、エネルギーの高効率設備の導入も目標としています。高効率設備の導入によるエネルギー使用量削減のほか、継続して運転方法の見直しを行っています。さらには再生可能エネルギー由来の電力の導入を進め、CO2排出量削減への取り組みを進めていきます。

CO2排出量および生産性(売上高/CO2排出量) CO2排出量および生産性(売上高/CO2排出量)

エネルギー使用量

総エネルギーと生産性(売上高/総エネルギー) エネルギー別使用量

Scope3( サプライチェーンを通じた温室効果ガス排出量)

 事業活動は購入や販売を通じたサプライチェーンで繋がっており、自社のCO2排出量の把握だけでなく、サプライチェーンにおけるCO2排出量の把握が重要となってきています。

 シオノギグループでは「調達-生産-物流-販売」というサプライチェーンによる温室効果ガス排出量の把握を「サプライチェーンを通じた温室効果ガス排出量算定に関するガイドライン(環境省、経済産業省)」に準じて進めました。

Scope3( サプライチェーンを通じた温室効果ガス排出量)
Scope3( サプライチェーンを通じた温室効果ガス排出量)