生物多様性
生物多様性に対する取り組み
事業活動と自然との関係性
*2 昆明・モントリオール生物多様性枠組:COP10で採択された2020年までの世界目標「愛知生物多様性目標」を引き継いだ2030年までに達成すべき生物多様性に関する世界目標。
*3 TNFD:自然資本への依存度と生態系への影響を評価し、これらの情報を企業や金融機関が投資家や他の利害関係者に提供するための枠組み。
すべての産業は自然に依存しており、医薬品産業も例外ではありません。例えば、医薬品の研究・開発・製造を担う研究所や工場では、化学物質の取り扱いや使用済みの廃棄物・排水が発生します。それら化学物質や廃棄物・未処理の排水が誤って事業所周辺の環境に漏洩すると、自然や生物多様性に負の影響が及ぶ可能性があります。またSHIONOGIは、抗菌薬を主力製品として取り扱っていますが、研究開発、製造、流通、販売などすべてのバリューチェーンの活動において抗菌薬の不適切な取扱いが生じると、周辺環境にAMRが発生するリスクが高まります。このように、SHIONOGIの事業活動の多方面で自然との関係性があります。
また、医薬品の研究・開発・生産活動を中心としたSHIONOGIの事業活動が、大気・淡水・海洋などの自然の各領域に与える影響、およびそれら自然への負の影響を低減するための取り組み・指標を以下の図にまとめています。
ガバナンス
SHIONOGIとして生物多様性への取り組みは、気候変動と同様に重要な課題と認識しており、これらの対策を共通のガバナンス体制で推進しています。環境および安全衛生(Environment, Health and Safety、以下「EHS」)に関連する諸活動を統括してマネジメントする統括EHS管理機能を整備し、生物多様性リスクへの具体的な対応策の進捗を管理しています。
統括EHS管理機能および全社リスクマネジメント体制との関わりについては、TCFD提言に基づく情報開示のページをご覧ください。
生物多様性リスク評価の実施
*4 Biotechnology and Pharmaceuticalsセクターガイダンス:TNFDが公表しているLEAPアプローチを医薬品・バイオテクノロジー業界に適用するためのガイダンス
*5 WWF Biodiversity Risk Filter:世界自然保護基金が提供する生物多様性リスクを評価するツール
Biodiversity Risk Filter | World Wildlife Fund (riskfilter.org) (外部リンク)
水リスク評価
上質な水は医薬品の研究開発や工場での生産に欠かすことのできない資源です。工場が立地する地域での水源の枯渇や洪水が発生すると、事業の継続に大きな影響を及ぼすことから、工場や研究所が所在する地域の水ストレスや洪水の発生確率などの「水リスク」を、WRI(世界資源研究所)が提供する世界的な評価ツール「Aqueduct*6」を活用して分析しています。評価結果は、リスクの低減や予防策の検討に利用しています。
経年の評価結果や過去からの知見・経験をもとに検討した結果、SHIONOGIの各事業所における物理的な水リスクは、これまでのところ許容できる水準の範囲内と判断しています。しかし、近年では気候変動の影響などにより、世界各地で記録的な豪雨や洪水が頻発しており、今後はより多角的な視点で水リスクを評価する必要性があると認識しています。今後、専門家との協議を通じ、災害の激甚化など、各事業所が所在する流域特有の洪水リスクの再評価を行うなど、さらなる課題の抽出と対策の検討を進めていきます。
また、調達におけるリスク管理の一環として、サプライヤー選定時などにおいても、Aqueduct等のツールを用いた潜在的な水リスクの評価を行っています。
Table 1:WRI Aqueductによる評価(Water Stress)
| 国名(事業所所在地) | 事業所数 | リスクレベル/事業所数 | 将来の水ストレスの変化 | ||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 高 | 高~中 | 中 | 中~低 | 低 | |||
日本 (岩手、秋田、神奈川、滋賀、大阪、兵庫、徳島) |
10 | - | 2 | - | 8 | 0 | 2050年までに低~高レベルに変化 |
中国 (江蘇省) |
1 | - | - | - | - | 1 | 2050年まで大きな変化なし |
Table 2:WRI Aqueductによる評価(Water Depletion)
| 国名(事業所所在地) | 事業所数 | リスクレベル/事業所数 | ||||
|---|---|---|---|---|---|---|
| 高 | 高~中 | 中 | 中~低 | 低 | ||
日本 (岩手、秋田、神奈川、滋賀、大阪、兵庫、徳島) |
8 | - | - | - | 8 | 2 |
中国 (江蘇省) |
1 | - | - | - | - | 1 |
汚染リスク評価
事業活動によって生じる有害な物質を含む廃棄物や排ガス・排水などは、環境を汚染し、人体や生態系に大きな影響を与える可能性があります。ひとたび地域の環境や生物多様性に深刻な影響を及ぼしてしまうと、元の状態に回復するまでには多大な時間と費用が必要となることから、SHIONOGIは、グループ全体で大気汚染、水質汚濁、土壌汚染などに関連する法令遵守の徹底を通じた汚染の防止に取り組んでいます。大気汚染、水質汚濁、土壌汚染の防止あるいは関連法規制の遵守については、こちらのページをご覧ください。
またSHIONOGIは、半世紀以上にわたって抗菌薬を社会に提供している企業の責任として、サプライチェーン全体で製造過程からの抗菌薬の環境排出管理を行うことで、薬剤耐性菌(AMR)の発生予防に取り組んでいます。AMR に対する取り組みの詳細については、こちらのページをご覧ください。
これらリスク低減に向けた対応策の立案・実行により、製造や研究を行う各事業所における「汚染リスク」は適切にマネジメントできていると判断しています。
環境負荷の低減に向けたSHIONOGIの取り組み
SHIONOGIは、事業活動に伴う天然資源の消費や大気・水への排出、廃棄物の発生等が地球環境に及ぼす影響を認識し、環境負荷の低減に努めることは重要な課題との考えのもと、以下の取り組みを行っています。
Table 3:SHIONOGIグループの生物多様性への取り組み
主な項目 |
概要 |
関連URL |
|---|---|---|
法令にもとづく周辺環境への影響の低減 |
・コンプライアンスの推進 (大気汚染防止法、水質汚濁防止法、下水道法、土壌汚染対策法など) |
・活動詳細は、こちらのページをご覧ください |
・化学物質の適正管理 |
・活動詳細は、こちらのページをご覧ください |
|
・遺伝子組換え生物の適正管理 |
・活動詳細は、こちらのページをご覧ください |
|
2050年カーボンニュートラルを目指した気候変動対策 |
・温室効果ガス排出削減に向けた取り組みの推進 ・再生可能エネルギー由来電力の導入 |
・活動詳細は、こちらのページをご覧ください |
・気候変動に対するSHIONOGIの事業リスク・機会の評価、および情報開示 |
・活動詳細は、こちらのページをご覧ください |
|
水資源の効率的な利用 |
・水資源の使用量削減 |
・活動詳細は、こちらのページをご覧ください |
AMRへの取り組み |
・抗菌薬の製造工場における排水管理 |
・活動詳細は、こちらのページをご覧ください |
・抗菌薬の適正使用に向けた啓発活動や情報提供 |
・活動詳細は、こちらのページをご覧ください |
|
省資源・資源循環への取り組み |
・廃棄物の発生抑制、再使用、再利用の推進 |
・活動詳細は、こちらのページをご覧ください |
持続可能な調達の推進 |
・調達ポリシーに基づく、持続可能な調達活動の推進 |
・活動詳細は、こちらのページをご覧ください |
海洋資源の保全活動 |
・ガゴメ昆布の天然から養殖への切り替え |
・活動詳細は、こちらのページをご覧ください |
事業所周辺の自然保護活動、社会貢献 |
・希少鳥種の保全に向けた取り組み ・油日植物園の取り組み ・事業所における活動 |
・活動詳細は、こちらのページをご覧ください |
遺伝子組換え生物の適正管理
イニシアチブへの参画
SHIONOGIは、「経団連生物多様性宣言・行動指針(改訂版)」に賛同し、「経団連生物多様性宣言イニシアチブ」にて、将来に向けた取り組み方針および具体的取り組み事例を公表しています。
経団連:経団連生物多様性宣言イニシアチブ (外部リンク)
また、2023年9月には、「2030年までに地球上の陸と海の少なくとも30%を保全することを目指した国際的な目標である30by30目標の達成に向けた取り組みを促進する」という発足趣旨に賛同し、有志企業・自治体・団体によるイニシアチブ「生物多様性のための30by30アライアンス」に参画しました。2030年までに生物多様性の損失を食い止め、回復へと転じる「ネイチャーポジティブ」を実現するという国際的なゴールに向け、今後も生物多様性の保全に向けた活動を強化していきます。
環境省:生物多様性のための30by30アライアンス (外部リンク)
SHIONOGIの自然保護活動、社会貢献
希少鳥種の保全に向けた取り組み
近年、高病原性鳥インフルエンザ(Highly Pathogenic Avian Influenza: HPAI)が猛威を振るい、ニワトリやアヒルなど人間の生活に利用するために飼育している家禽だけでなく野生の鳥類や哺乳類が大量に死亡するという事例が報告されており、絶滅が危惧されている希少な鳥種にとってもHPAIは大きな脅威となっています。
2023年、SHIONOGIはインフルエンザ治療薬の適正使用により、希少な鳥種をHPAIから守るためのプロジェクトを立ち上げました。北海道大学のOne Health リサーチセンターや猛禽類医学研究所、NPO法人どうぶつたちの病院 沖縄とも連携し、「生物多様性を脅かす感染症に対して、治療薬の適正使用体制を確立すること」を目指し、日々活動を進めています。人々だけでなく動物や生態系の健康、それらに影響を与える環境問題などを含めた地球全体の健康に配慮する「One Health」の考え方のもと、生物多様性の減少に歯止めをかけることに貢献したいと考えています。
油日植物園の取り組み
絶滅危惧種保全への貢献
滋賀県および甲賀市のレッドリストで「絶滅危惧種」のガガブタ
甲賀市のレッドリストで絶滅危惧種のユキワリイチゲ
Table 4:カテゴリー別絶滅危惧種保全状況
環境省カテゴリー (絶滅危惧ⅠA類,絶滅危惧ⅠB類,絶滅危惧Ⅱ類,準絶滅危惧) |
70種 |
滋賀県カテゴリー (絶滅危惧種,絶滅危機増大種,希少種,要注目種,分布上重要種,その他重要種) |
75種 |
甲賀市カテゴリー (絶滅種,絶滅危惧種,絶滅危機増大種,要注目種,地域種) |
46種 |
環境DNAモニタリングによる生物多様性の見える化への取り組み
ステークホルダーへの環境教育
油日植物園を通じた地域への社会貢献活動として、京都薬科大学の先生と連携し、近隣の小学生を対象に次世代を担う子どもたちの教育支援の取り組みを行っています。また、高校生、大学生、シニア大学に在籍する方やSHIONOGIの新入社員などを対象に、植物園見学を実施することで学びの機会として活用しています。
Table 5:活動実績
|
|
2021年度 |
2022年度 |
2023年度 |
2024年度 |
2025年度 |
|---|---|---|---|---|---|---|
植物園見学 |
回数(回) |
4 |
13 |
20 |
19 |
15 |
延べ参加者(人) |
84 |
153 |
335 |
311 |
265 | |
延べ参加従業員(人) |
13 |
64 |
64 |
73 |
63 | |
出前授業 |
回数(回) |
4 |
4 |
4 |
4 |
6 |
| 延べ参加者(人) | 125 | 121 | 129 | 108 | 218 | |
延べ参加従業員(人) |
12 |
20 |
18 |
17 |
28 |
環境省 自然共生サイトに認定
*7 自然共生サイト
「地域における生物の多様性の増進のための活動の促進等に関する法律」に基づき、企業や地方公共団体等が作成する、里地里山の保全、外来生物の防除、希少種の保護といった生物多様性の維持・回復・創出に資する「増進活動実施計画」又は「連携増進活動実施計画」が認定された計画の実施区域
「しが生物多様性取組認証」3つ星を取得
植物園が取り組んでいる上記の地域・社会貢献活動が、生物多様性の保全や自然資源の持続的な利用に取り組んでいるとして評価され、令和7年度 「しが生物多様性取組認証」において、最上級認定である3つ星を取得しました。
海洋資源の保全活動
一般用医薬品を取り扱うグループ会社シオノギヘルスケアでは、ガゴメ昆布から抽出される成分「フコイダン」を配合した健康食品を製造販売しています。しかし、近年の海藻を餌とするウニやアワビなどの増加による海中の需給バランスの乱れや、ガゴメ昆布ブームによって引き起こされた乱獲など複合的な理由により、北海道函館近海に生息する天然のガゴメ昆布が産地消滅の危機に直面しています。
シオノギヘルスケアでは、ガゴメ昆布を使用した製品を扱う企業として安定供給体制を整えるため、2019年度より、製品原料として養殖ガゴメ昆布の品質評価・使用を開始し、2024年度末には主力製品である「フコイダンPROTECTシリーズ」において、養殖ガゴメ昆布への切り替えを完了しました。
地域の清掃活動
医薬研究センター、CMCイノベーションセンター、シオノギスマイルハート、シオノギファーマ金ケ崎工場・摂津工場・徳島工場・伊丹工場・秋田工場・尼崎事業所において、事業所周辺の清掃を実施しています。シオノギファーマ金ケ崎工場においては、冬季に従業員が除雪作業のボランティアに参加しています。この活動は、一人暮らしの高齢者が元気に過ごされているか確認するための見守りの役目も果たしています。
また、大阪府主催のアドプト・ロード・プログラムや、一般財団法人 日本財団スポGOMI連盟主催のスポGOMIなど様々なプログラムに参加し、地域の環境保全に貢献しています。
Table 6:清掃活動実績
|
2021年度 |
2022年度 |
2023年度 |
2024年度 |
2025年度 |
|---|---|---|---|---|---|
回数(回) |
21 |
75 |
94 |
108 |
206 |
延べ参加従業員(人) |
381 |
721 |
882 |
757 |
1015 |
その他の活動
グループ会社であるシオノギスマイルハートでは、花卉や観葉植物の栽培、事業所への設置、メンテナンスに取り組んでいます。これらの活動は事業所環境の改善に加え、従業員の環境への意識を高めることにも役立っています。また、シオノギスマイルハートは障がい者雇用を行う特例子会社でもあり、本活動を通じてグループ従業員の障がい者雇用への理解にも繋がり、DE&I(ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン)推進にも役立っています。
さらに、グループ会社であるシオノギファーマおよびシオノギテクノアドバンスリサーチでは、環境保護活動、生物多様性の保持に寄与する取り組みの一つとして、サントリービバレッジソリューション株式会社と協働して全拠点にオリジナルの自動販売機を展開しています。油日植物園の「絶滅危惧種や薬用植物などの保全管理」の取り組みを自動販売機にデザインすることにより、日常の瞬間に環境保全を考えるきっかけを提供することで、従業員の意識向上を図っています。また自動販売機の売り上げの一部を関連する外部環境保護団体へ寄付し、社会課題解決への貢献を図っています。