生成AI活用の「現在地」を可視化する ~全社統合ダッシュボードによるデータドリブンな推進~
「活用率100%」を、感覚ではなくデータで追いかける
SHIONOGIは全社DXの目標として「生成AI活用率100%」を掲げ、Copilotの全社導入や部門ごとの教育プログラムなど、さまざまな施策を展開してきました。しかし取り組みを進める中で、ひとつの根本的な問いに突き当たりました。
「そもそも、いま全社の活用率は何%なのか。誰が、どのツールを、どのくらい使っているのか」
この基礎的な現状把握ができていなければ、施策の優先順位づけも効果測定もできません。「みんな使っています」「便利です」といった声はあっても、それは定量的な事実ではない。SHIONOGIは、真の課題解決には「現在地の可視化」こそが不可欠だと考え、生成AIの活用状況を一元的に把握できる可視化基盤を自ら構築しました。
課題は、活用ログの「サイロ化」
生成AIの活用が広がるにつれ、社内で使われるツールは多様化していきました。内製アプリ群から、Microsoft Copilot のような一般的なSaaSまで、さまざまな形で生成AIが日常業務に溶け込んでいます。
一方で、ログの取得はアプリごとにバラバラでした。取得の実装有無すら統一されておらず、取得できている場合もアプリごとに分断(サイロ化)されて保存されている状態。これでは「全社でどのくらい使われているのか」を横断的に語ることができません。可視化なき改善は困難である。この認識が、基盤構築の出発点となりました。
「アプリごと」ではなく「中央集中」で取得する
SHIONOGIのアプローチの核心は、各アプリのログを個別に集計するのではなく、内製アプリ群とSaaSを横断して、生成AIの活用ログを中央集中的に取得・統合する点にあります。
多様化するツールから発生するログを共通のログ基盤へ集約し、ETL(データ加工)機構を通じて指標化に適した形へ整えたうえで、ダッシュボードとして可視化する。これにより、ツールの垣根を越えて「生成AI全体としての利用実態」を、ひとつの統合された数値で捉えられるようになりました。今後アプリやログ量が増え続けても対応できるよう、スケーラビリティと継続運用を重視した基盤として設計している点も特徴です。
「使っている/使いこなしている」を3段階で捉える
全社・組織・機能で多面的に「見える化」
可視化がもたらす、戦略的なアプローチ
この基盤によって初めて、全社の活用状況が定量的に明らかになりました。そして可視化は、それ自体が目的ではなく、次の一手につながってこそ意味を持ちます。
高頻度で活用している部門からは成功要因を分析してTIPSとして横展開し、活用が伸び悩むエリアには教育投資を重点的に配分する。似た業務を持つ部門の活用パターンを参考に、「この機能はあの部門でも役立つはず」といった仮説を立てて働きかける。限られたリソースを、感覚ではなくデータに基づいて最適配分できるようになりました。可視化が、データドリブンな施策展開のエンジンになっているのです。
その先へ
生成AI活用の「現在地」を可視化する取り組みは、組織全体の生産性向上と価値創出に向けたPDCAサイクルの基盤です。活用状況を測り、要因を分析し、施策を打ち、その効果をまた測る。この循環を回し続けることで、SHIONOGIは全社員が生成AIを当たり前に使いこなす組織へと着実に歩みを進めています。
見えなかったものが見えるようになったとき、次に取るべき一手が明確になる。SHIONOGIの生成AI活用は、データに導かれながら、これからも前進していきます。