知識だけでは足りない。「文化」と「仕組み」を連動させる

生成AIの時代において、ツールを導入し、使い方を教えるだけでは、組織は本当の意味では変わりません。大切なのは、社員一人ひとりが「AIを使って自分の仕事をどう良くするか」を自ら考え、実践し、周囲に広げていく——そうした文化そのものを育てることです。

SHIONOGIは、生成AI活用を単発の研修で終わらせず、全社DXの目標「生成AI利用率100%」に向けて、教育と風土醸成を一体で推進しています。その取り組みは、大きく「土台となる人材育成プログラム」「裾野を広げる一斉型教育」「深く根づかせる組織主体の活動」という多層構造で展開しています。

土台:レイヤーと習熟度に応じたDX人材育成「AGEHA」

生成AI教育は、独立した取り組みではなく、SHIONOGIが全社で進めるDX人材育成プロジェクト「AGEHA」の一環として位置づけられています。(参照:DX人材育成| 塩野義製薬)

AGEHAでは、DX人材の成長を3つのステップで定義しています。

この3ステップに沿って、全従業員向けの「DX学習ガイド」やeラーニングから、牽引層を育てる「ビジネスアーキテクト研修」、リーダー層のスキルを可視化する「デジタルスキル標準アセスメント」まで、レイヤーと習熟度に応じた施策を体系的に用意しています。生成AI教育は、この人材育成体系の中で「全社員の底上げ」と「変革人材の育成」の両方をつなぐ役割を担っています。

裾野を広げる:多様な一斉型・参加型プログラム

生成AI活用の第一歩は、「触れてみること」から始まります。SHIONOGIでは、全社員が気軽に参加できる多様な教育機会を継続的に提供してきました。
こうした自由参加・応募制のプログラムは、今後も止めることなく組み合わせて展開していきます。一方で、活動を重ねる中で見えてきたのが、次の課題でした。

深く根づかせる:中央発信の限界と、組織主体への進化

DX推進本部が中央から一律に発信する教育は、リテラシーの底上げには大きな効果がありました。しかし、内容が一般化されるほど、各現場の具体的な業務像にまで届きにくくなります。生成AIが「個人の便利ツール」で止まり、組織の業務変革のスケールにまで至りきらない——この壁を越えるには、中央発信とは別のアプローチが必要でした。

そこでSHIONOGIが確立を進めているのが、組織を主体とした「AIエヴァンジェリスト制」です。これは従来の一斉教育とは根本的に異なる考え方に立っています。

多層で、そして横断的に広げていく

この取り組みは現在、研究本部を起点に始まったばかりです。ここから、次のステップへと着実に展開していきます。
エヴァンジェリストは「AIを使う人」ではなく、「AIで業務変革を起こす人」。現場をリードし、課題を発見し、周囲を巻き込みながら、次の技術変革(AIエージェントの活用など)にもいち早くキャッチアップしていく。そんな推進役です。

文化として根づかせ、変革へ

生成AIの教育・風土醸成において、SHIONOGIが目指しているのは、単なる利用率の向上ではありません。全社員がAIを日常的に使いこなし、組織の内側から自律的に業務を変えていく——そんな文化を、レイヤーを越え、組織を越えて根づかせることです。

一斉型教育で裾野を広げ、組織主体のエヴァンジェリスト活動で深く根づかせ、AGEHAの人材育成体系がそれを支える。この重層的なアプローチによって、SHIONOGIは「AIを学ぶ組織」から「AIで変わり続ける組織」へと、確実に歩みを進めています。