2026/06/18

新規抗真菌薬オロロフィムのグローバル第3相臨床試験(OASIS試験)における 良好な結果について(速報)

・治療開始後42日時点での全死因死亡率において、オロロフィムは対照群に対する非劣性を示し、OASIS試験における主要評価項目を達成

・オロロフィムに安全性上の新たな懸念は認められず、薬剤関連性の有害事象の発現率は、オロロフィム投与群で35.8%、AmBisome®治療群で63.9%

 塩野義製薬株式会社(本社:大阪市北区、代表取締役会長兼社長 CEO:手代木 功、以下「塩野義製薬」または「当社」)は、F2G Ltd(本社:イギリス マンチェスター、CEO:Francesco Maria Lavino、以下「F2G社」)と共同開発を進めている新規抗真菌薬オロロフィムについて、侵襲性アスペルギルス症患者を対象とするグローバル第3相臨床試験(以下「OASIS試験」または「本試験」)において、本日、主要評価項目を達成したことをお知らせいたします。

 

 オロロフィムは、真菌の生育に必須であるピリミジン合成経路を阻害することで抗真菌活性を示す、新規作用機序を有する経口の抗真菌薬1,2です。このたび良好な結果を取得したOASIS試験は、アゾール系抗真菌薬に抵抗性を示す、またはその使用が困難な侵襲性アスペルギルス症患者を対象に、AmBisome®治療群(AmBisomeを少なくとも10日間投与後標準治療を実施した群)に対するオロロフィムの非劣性を検証することを目的に実施されました。主要評価項目である「治療開始後42日時点での全死因死亡率」において、オロロフィムは、AmBisome治療群に対する非劣性を示しました(オロロフィム投与群23.8%、AmBisome治療群24.3%、群間差は-0.5%(95%信頼区間:-13.1%~10.8%))。また、安全性上の新たな懸念は認められず、治験担当医が薬剤と関連があると判断した有害事象の発現率は、オロロフィム投与群で35.8%、AmBisome治療群で63.9%でした。対照薬の副作用として知られる腎機能関連の有害事象についても、オロロフィム投与群は低い傾向を示しました。

 侵襲性アスペルギルス症は、主に免疫不全状態の患者さまに発症する重篤な真菌感染症であり、高い死亡リスクを伴います3。現在、治療の第一選択としてアゾール系抗真菌薬が用いられていますが、これらの治療が困難な患者さまにおいては、有効な治療選択肢が限られています。また、アゾール系抗真菌薬の代替治療として用いられる既存薬でも、安全性や忍容性、腎機能への影響が治療の選択や継続上の課題となっており、高いアンメットメディカルニーズが存在している感染症です。OASIS試験の結果は、オロロフィムが侵襲性アスペルギルス症に対する新たな治療選択肢となる可能性を示唆するものです。

 なお、本試験結果の詳細については、今後、国際学会等での発表を予定しています。

 

 塩野義製薬は、F2G社との契約に基づきオロロフィムの共同開発を進めるとともに、欧州およびアジアでの開発および独占的販売権を有しています4。本試験結果を踏まえ、当社は欧州およびアジアでの承認申請を予定しており、F2G社は米国食品医薬品局(FDA)への新薬承認申請を計画しています。

 

 本試験の治験責任医師であるベルギー・ルーベン大学病院 血液学教授 Johan Maertens博士は、次のように述べています。
「侵襲性真菌感染症は依然として治療が困難であり、特に免疫不全患者においては生命を脅かす疾患です。本試験の結果は、治療選択肢が限られる患者集団において、オロロフィムの治療的有用性を支持する一連のエビデンスに新たな知見を加えるものです。アスペルギルス感染症に対する新たな治療選択肢となる可能性が期待されます。」

 

 当社、取締役 上席執行役員 R&D管掌 John Kellerは、次のように述べています。
「抗真菌領域では20年以上にわたり十分な治療選択肢が提供されていない状況が続いています。OASIS試験の結果は、この領域における重要な進展を示すものと考えています。当社は感染症領域に注力する企業として、F2G社とのパートナーシップを通じて、新規作用機序を有する抗真菌薬の開発を推進し、アンメットメディカルニーズの高い疾患領域におけるイノベーションの創出に引き続き取り組んでまいります。」

 

 また、F2G社、Chief Executive OfficerのFrancesco Maria Lavinoは、次のように述べています。
「OASIS試験の結果は、F2G社および塩野義製薬との協働における重要なマイルストーンと位置付けています。これらの結果は、侵襲性アスペルギルス症を含む治療が困難な侵襲性真菌症の患者さまに対し、オロロフィムが新たな選択肢となり得る可能性を示しています。本試験にご参加いただいた患者さま、治験責任医師の先生方、ならびにパートナーである塩野義製薬に深く感謝申し上げます。今後、詳細データを学会にて報告できることを楽しみにしています。」

 

なお、本件が2027年3月期の連結業績に与える影響は軽微です。

 

以 上

 

■ OASIS試験について

第3相臨床試験OASIS試験(Olorofim Aspergillus Infection Study、NCT05101187)は、アゾール系抗真菌薬に対して抵抗性のある、またはその使用が困難な侵襲性アスペルギルス症患者を対象に、オロロフィムとAmBisome投与後の標準治療を対照としてその有効性および安全性を評価するグローバル無作為化比較試験です。本試験の主要評価項目は投与開始後42日時点の全死因死亡率であり、副次評価項目として臨床的有効性、安全性および生活の質(QOL)等を評価しています。

 

■ オロロフィムについて

オロロフィムは、F2G社が創出したオロトマイド系抗真菌薬のリード化合物であり、グローバル第3相臨床試験(OASIS試験)を完了しています。オロロフィムは、米国食品医薬品局(FDA)より、コクシジオイデス症、スケドスポリウム症および侵襲性アスペルギルス症を対象としたオーファンドラッグ指定を取得しています5。また、侵襲性アスペルギルス症、侵襲性スケドスポリウム症、侵襲性ロメントスポリウム症、コクシジオイデス症、Scopulariopsis属による侵襲性感染症および侵襲性フサリウム症を対象として、Qualified Infectious Disease Product(QIDP)指定を取得しています。さらに、欧州医薬品庁(EMA)からも、侵襲性アスペルギルス症、スケドスポリウム症および侵襲性Scopulariopsis感染症を対象としたオーファン指定を取得しています。なお、オロロフィムは現在開発中の化合物であり、いずれの国・地域においても承認されていません。

 

■ F2G社について

F2G社は、生命を脅かす侵襲性真菌感染症を治療するための新しい治療法の発見と開発に焦点を当てた、英国、米国、オーストリアを拠点とするバイオテクノロジー企業です。同社は、ピリミジン生合成経路における重要酵素を選択的に標的とする新規作用機序を有する抗真菌薬クラス「オロトマイド」を創出しました。この作用機序は既存の抗真菌薬とは異なり、希少かつ薬剤耐性を有する真菌感染症に対して殺真菌作用を示す可能性があります。詳細はF2G社のウェブサイト(www.f2g.com)をご覧ください。

 

参考:

1.       Oliver et al. (2016). F901318 represents a novel class of antifungal drug that inhibits dihydroorotate dehydrogenase. PNAS, 113(45), 12809–12814.

2.       Vanbiervliet, Y., Van Nieuwenhuyse, T., Aerts, R. et al. Review of the novel antifungal drug olorofim (F901318). BMC Infect Dis 24, 1256 (2024).

3.       Centers for Disease Control and Prevention. Data and statistics on aspergillosis. https://www.cdc.gov/aspergillosis/statistics/index.html (Accessed June 2026)

4.       プレスリリース:2022年5月16日

新規抗真菌薬olorofimに関するF2G社との欧州・アジア地域における開発・販売権のライセンス契約締結について

5.       US Food & Drug Administration. Orphan drug designations and approvals for olorofim. Available at:

https://www.accessdata.fda.gov/scripts/opdlisting/oopd/listResult.cfm (Accessed June 2026)

 

[お問合せ先]

塩野義製薬ウェブサイト お問い合わせフォーム:

https://www.shionogi.com/jp/ja/quest.html#3.