- HIV治療薬である持効性注射剤Cabenuvaの臨床・実臨床エビデンスをさらに拡充
- CLARITY試験における6ヶ月後のフォローアップにより、カボテグラビル注射剤の良好な受容性を確認
- 実臨床データにおいて、カボテグラビル注射剤の高いアドヒアランスと、経口PrEP(Pre-Exposure Prophylaxis:曝露前予防)経験者において本剤が好まれる傾向を確認
- 年3回投与のPrEP実現に向けたカボテグラビル注射剤の開発が順調に進展
塩野義製薬株式会社(本社:大阪市北区、代表取締役会長兼社長 CEO:手代木 功、以下「塩野義製薬」)は、GlaxoSmithKline plc.とともに当社が資本参加しているViiV Healthcare Ltd.(以下「ViiV社」)が、ブラジル・リオデジャネイロで開催された第26回国際エイズ会議(AIDS 2026)において、長時間作用型注射製剤に関する新たなデータを発表しましたので、お知らせいたします。
1. 実臨床において、Cabenuva(カボテグラビル+リルピビリン)が、毎日服用の経口薬による治療と同等の有効性を示すことを確認
OPERA研究は、ウイルス学的抑制が得られている約6,800人のHIVとともに生きる人々を対象に、米国で実施されている実臨床コホート試験です。Cabenuvaの2ヵ月に1回の投与で、毎日服用が必要な経口3剤療法であるBIC/FTC/TAF(ビクテグラビル/エムトリシタビン/テノホビル アラフェナミド)と同等のウイルス抑制効果を維持することが示されました。詳細は以下の通りです。
・ウイルス量50 copies/mL未満の抑制状態を維持した割合は、Cabenuva群では89%(3,655/4,095人)、BIC/FTC/TAF群では83%(2,239/2,699人)でした。(追跡期間中央値はそれぞれ15ヵ月、22ヵ月)。
・ウイルス学的失敗のリスクは両群ともに低く、Cabenuva群で1%(46人)、BIC/FTC/TAF群で2%(46人)でした。
2. HIVの予防に関連する3つの試験(CLARITY試験、CAPTIVATE試験、PrEPFACTS試験)結果から、CAB-LA(カボテグラビル注射剤)が長期的なHIV予防における重要な選択肢となることを示唆
CLARITY試験の結果
CLARITY試験1は、HIV-1陰性の成人63名を対象に、CAB-LA(筋肉注射)とLEN(レナカパビル注射剤、皮下注射)を直接比較した第1相臨床試験です。2025年10月に発表した投与22日時点の結果1に加え、6ヵ月後のフォローアップで実施された注射部位反応(ISR:Injection-Site Reaction)の評価から、CAB-LAの筋肉注射はISRの持続時間が短く、日常生活への影響も少ないことが示されました。詳細は以下の通りです。
・投与から6ヵ月後も硬結の報告があった被験者の割合は、CAB-LA群では20%(12人)、LEN群では90%(54/60人)でした。
・硬結の重症例については、CAB-LA群で報告なし、LEN群では20%(11/54例)が重症と報告されました。
・投与90日後時点でのISRの評価を行った結果、「ISRは気にならない」と回答した被験者の割合は、CAB-LA群では92%(56/61人)、LEN群では58%(36/62人)でした。
・ISRについて「かなり気になる」または「非常に気になる」と回答した被験者の割合は、LEN群で12%(7/60人)でした。
CAPTIVATE試験の結果
CAPTIVATE試験は、米国18施設におけるCAB-LAの使用者(241名)および医療従事者(36名)を対象に、実臨床でのCAB-LAの使用経験を評価した観察研究です。本試験の結果から、医療従事者および経口PrEP経験者におけるCAB-LAに対する肯定的な反応が確認され、利便性に加えて、自身の健康管理に主体的にかかわりたいと考える人々にとって、CAB-LAがより好ましいHIVの予防選択肢になることが示されました。詳細は以下の通りです。
・経口PrEP使用経験者の97%(185/190人)が、毎日服用する経口PrEP(2%)よりもCAB-LAを選好しました。
・CAB-LAを使用した被験者の99%(239/241人)が「HIVから守られていると感じる」と回答し、99%(238人)が「HIV感染への不安が軽減した」と回答しました。また、91%(219人)が「自身の人生をよりコントロールできていると感じる」と回答しました。
・医療従事者の89%(16/18施設)が、PrEPとしてのCAB-LAの導入に肯定的な評価を示しました。
・処方医は、注射剤投与のために定期的な来院が必要になることから、アドヒアランスの確認(89%)、性感染症検査の機会増加(72%)、その他の健康課題への対応機会(61%)といったメリットをあげました。
PrEPFACTS試験
PrEPFACTS試験は、米国の大規模実臨床データベースを用いて、CAB-LAによるPrEPの使用実態とアドヒアランスを評価した後ろ向きコホート研究です。CAB-LAのPrEP使用者2,913名を対象に、アドヒアランス、投与スケジュールなどを評価しています。本試験の結果から、CAB-LAの高いアドヒアランスが確認されました。高いアドヒアランスを維持することはHIVの予防において重要な要素であり、このたびの結果はCAB-LAの実臨床での有用性を強化するエビデンスです。詳細は以下の通りです。
・全体としてアドヒアランスは高く、PDC(Proportion of Days Covered)の中央値は1.00(IQR: 0.96–1.00)でした。
・89%(2,588人)が観察期間の90%以上をPrEPでカバーされていました。
・CAB-LAの再投与の間隔は85%(9,798/11,476回)が推奨期間である67日以内に実施され、96%(11,009/11,476回)は90日以内に実施されました。
3. EXTEND 4M試験では、実臨床におけるPrEP対象者を反映した多様な被験者集団を登録
EXTEND 4M試験は、現在のCAB-LA(年6回投与のHIV予防薬)を年3回投与とすることを目的とした、CAB-LAの新製剤を用いた第2b相試験です。本試験では薬物動態(PK)、安全性および忍容性を評価します。
・被験者の45%は出生時の性別が女性でした。32%が黒人またはアフリカ系アメリカ人、37%がヒスパニック/ラテン系であり、多様な被験者に対し本試験が実施されていることが確認されました。
・被験者のうち、28%が経口PrEP使用経験者でした。
以 上
参考:
Cabenuva(カボテグラビルおよびリルピビリン)について
Cabenuva(日本での製品名:ボカブリア水懸筋注およびリカムビス®水懸筋注)は、HIV治療における世界初の持効性注射剤であり、欧米、中国および日本を中心に、2ヵ月に1回の投与で治療を可能とするHIV治療薬として承認されています。VOLITION、COMBINE-2、CARLOS、BEYOND、OPERAなどViiV社が主導する複数の実臨床研究において、高い有効性・忍容性・アドヒアランスの向上が確認されており、幅広い患者層において治療満足度の向上が示されています。
Apretude(カボテグラビル)について
Apretudeは、HIV-1感染リスクの高い体重35kg以上の成人および青少年を対象に、HIV感染予防(PrEP:曝露前予防)に使用される薬剤です。有効成分としてカボテグラビルを含有しています。
カボテグラビルについて
塩野義製薬が創製したカボテグラビルはインテグラーゼ阻害剤であり、HIVのDNAがヒト免疫細胞(T細胞)の遺伝物質に組み込まれるのを阻害することによって、HIVの複製を阻害します。このステップは、HIV複製サイクルにおいて必須であり、慢性感染の確立に関与します。
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