2026/09/09

再生誘導医薬®開発品レダセムチドの栄養障害型表皮水疱症患者および急性期脳梗塞患者を対象とした 臨床試験の結果について(速報)

  • 栄養障害型表皮水疱症対象追加第2相試験¹:主要評価項目である難治性潰瘍の閉鎖を4例中3例で達成し、一部症例で全身症状の改善も確認
  • 急性期脳梗塞対象グローバル後期第2相試験²:主要評価項目(90日時点mRS)でプラセボ群に対する有意差を示さず、主要評価項目未達
  • 安全性:両試験ともレダセムチドの安全性上の懸念は認められず、良好な忍容性を確認

 塩野義製薬株式会社(本社:大阪市北区、代表取締役会長兼社長CEO:手代木 功、以下「当社」)は、株式会社ステムリム(本社:大阪府茨木市、代表取締役社長CEO:岡島 正恒、以下「ステムリム社」)から導入した再生誘導医薬®開発品レダセムチド(HMGB11)より創製したペプチド医薬、開発コード:S-005151)について、栄養障害型表皮水疱症患者を対象とした追加第2相臨床試験、および急性期脳梗塞患者を対象としたグローバル後期第2相臨床試験の結果をお知らせいたします。

 

 栄養障害型表皮水疱症患者を対象とした追加第2相臨床試験では、主要評価項目である難治性潰瘍の閉鎖を4例中3例で達成しました。また、一部の症例では、全身の潰瘍面積を含む臨床症状についても良好な結果が認められました。レダセムチドに新たな安全性上の懸念は認められず、良好な忍容性が確認されました。

 

 急性期脳梗塞患者を対象としたグローバル後期第2相臨床試験では、発症から25時間以内の急性期脳梗塞患者を対象として、レダセムチドもしくはプラセボを投与した際の有効性および安全性を評価しました。血管内再開通療法2)未実施コホートにおいて、社会復帰に向けた予後の程度を示す治験薬投与開始90日後のmodified Rankin Scale : mRS3)を主要評価項目として評価した結果、レダセムチド群はプラセボ群に対して統計学的に有意な改善を示さず、本試験は主要評価項目を達成しませんでした。一方で、前相の国内第2相試験と同様にレダセムチド群におけるmRSの改善傾向が認められました。さらに、探索的サブグループ解析では、血管内再開通療法未実施コホートにおいて、発症時の重症度が高い患者集団でレダセムチド群におけるmRSの改善傾向が示唆されました。また、有害事象の発現率はレダセムチド群とプラセボ群で同程度であり、本試験においても新たな安全性上の懸念は認められず、良好な忍容性が確認されました。

 

 栄養障害型表皮水疱症は、有効な治療選択肢が限られる重篤な希少疾患です。当社は、本試験で得られた結果を踏まえ、本剤を必要とする患者さまに一日でも早くお届けできるよう、ステムリム社ならびに関係各所との協議を進めるとともに、今後の開発方針について検討してまいります。
急性期脳梗塞を対象とした開発については、本試験で得られた結果を詳細に解析した上で、今後の方針を検討してまいります。

 

以 上

 

1) HMGB1(High Mobility Group Box 1):体内の間葉系幹細胞を患部に誘導する細胞の核内タンパク質の1つ

2) 血管内再開通療法:血栓溶解療法及び機械的血栓回収療法の総称。血栓溶解療法は血栓溶解薬 (t-PA)を静脈内投与することによって血栓を溶かして血流を再開させる治療法で、発症から4.5時間以内に選択される治療法。機械的血栓回収療法は、カテーテル・血栓回収デバイスを用いて血栓を回収する治療法で、発症後8時間以内(種々の条件が揃う場合は24時間以内)に選択される治療法。

3) modified Rankin Scale:脳卒中または神経障害の他の原因に苦しんでいる人々の日常活動における障害または依存の程度を測定するために一般的に使用されるスケール

 

【レダセムチドについて】

 レダセムチドは、怪我や病気で損傷した組織を生きた細胞を用いることなく薬の投与により再生させる再生誘導医薬®の開発品です。再生誘導医薬®の特性を活かし、より多くの患者さまにヘルスケアソリューションを提供するために、栄養障害型表皮水疱症、急性期脳梗塞に加えて、慢性肝疾患、変形性関節症、心筋症における開発を進めています。

 

【栄養障害型表皮水疱症について】

 皮膚は、表皮と真皮および皮下組織の3層から成り立っています。表皮と真皮の間には、接着に必要なタンパク質が存在し、皮膚に外力が加わっても簡単には解離しない構造になっています。しかし、表皮水疱症の場合、その皮膚の構造成分であるタンパク遺伝子に変異があるため、日常生活におけるわずかな刺激でも皮膚や粘膜にびらんや水疱が生じ、日常生活に大きな支障をきたします。表皮水疱症は原因となるタンパク遺伝子の種類によって分類され、栄養障害型表皮水疱症は全体の約5割と最も多い病型ですが、重症の場合、指趾の癒着、食道狭窄、鉄欠乏性貧血、瘢痕癌の発症リスクも高まります。国内の表皮水疱症患者数は約500~1,000名と予想されますが、現時点で根本的な治療法はありません。

参考:

公益社団法人 日本皮膚科学会

公益財団法人 難病医学研究財団/難病情報センター

 

【急性期脳梗塞について】

 急性期脳梗塞は、脳血管の閉塞または狭窄によって脳血流が低下することで発症します。脳梗塞に対する治療法としては、組織プラスミノーゲン活性化因子(tPA)による静脈内血栓溶解療法、動脈内血栓溶解療法、血栓回収療法などの血管内再開通療法が行われていますが、適応となる患者さまは限られており,また適応された場合でも効果が限定的である患者さまがおられます。そのため、急性期脳梗塞に対する新たな治療法の開発が期待されています。

 

【ステムリム社について】

 ステムリム社は、大阪大学発の“創薬研究開発型”バイオテック企業です。2006年に大阪大学大学院医学系研究科の玉井克人教授らが同定した骨髄多能性幹細胞動員因子を医薬品として開発することを目的に設立されました。以来、大阪大学との共同研究を通じて、怪我や病気により損傷し機能を失った生体組織の機能的再生・治癒を促進する再生誘導医薬®の実現を目指した研究開発に取り組んでおり、「再生誘導で難治性疾患を克服する」ことを企業使命に、世界をリードするバイオベンチャーになるべく、挑戦を続けています。詳細はステムリム社のホームページをご覧ください。

 

参考:

1.       臨床研究等提出・公開システム (jRCT2031220378)

2.       臨床研究等提出・公開システム (jRCT2031230083)

 

[お問合せ先]

塩野義製薬ウェブサイト お問い合わせフォーム:

https://www.shionogi.com/jp/ja/quest.html#3.