- ニーマン・ピック病C型に伴う神経学的症状の治療薬として、米国および欧州で承認を取得しているAQNEURSA®を獲得
- AQNEURSA®は、毛細血管拡張性運動失調症に対する世界初かつ唯一の治療薬として、米国で適応追加承認を取得
- 米国でのRADICAVA®(エダラボン)事業の基盤を活用し、希少神経疾患での事業拡大を加速
- IntraBio社の持つ専門性を取り込むことで、希少疾患の事業基盤をさらに強化
塩野義製薬株式会社(本社:大阪市北区、代表取締役会長兼社長 CEO:手代木 功、以下「塩野義製薬」または「当社」)は、2026年10月5日に開催された取締役会において、当社の米国グループ会社Shionogi Inc.(本社:米国ニュー・ジャージー州)が、IntraBio Inc.(本社:米国テキサス州、以下「IntraBio社」)と買収契約を締結すること(以下、「本取引」)を決議しましたのでお知らせいたします。なお、買収契約における合意内容に基づき、IntraBio社はShionogi Inc.の完全子会社となる予定です。
1.本取引の背景と目的
塩野義製薬は、「常に人々の健康を守るために必要な最もよい薬(ヘルスケアソリューション)を提供する」を基本方針(SHIONOGI Group Heritage)として掲げ、感染症領域を中心に医療用医薬品に加え、一般用医薬品や診断薬の研究開発、製造販売活動に取り組んでいます。また当社は、顧客・社会に新たな価値を創出するために取り組むべきマテリアリティ(重要課題)の一つとして、「健やかで豊かな人生への貢献」を特定し、将来のアンメットニーズが大きいと想定される疾患に対するソリューションの提供に向けた取り組みを推進しています。この方針のもと、当社は感染症以外の重点領域として希少疾患の強化・確立に取り組んでおり、2026年4月より筋萎縮性側索硬化症(ALS)治療薬エダラボン(米国での製品名「RADICAVA®」、日本での製品名「ラジカット」)のグローバル販売を開始し、事業基盤の構築を進めています。本取引は、希少疾患における新たな製品と希少疾患に対する専門性の獲得を通じて、将来の事業拡大を実現するための戦略的な事業投資です。
IntraBio社は、希少な神経変性疾患および遺伝性神経疾患を対象とした医薬品の研究・開発・販売に特化したバイオ医薬品企業です。リソソーム機能や細胞内カルシウムシグナリングの調節に着目した低分子医薬品の開発を強みとし、有効な治療選択肢が限られる希少疾患においてアンメットメディカルニーズへの対応を目指しています。これらの強みを背景に、AQNEURSA®(一般名:レバセチルロイシン)を複数の希少疾患に対する治療薬として開発しています。
本取引により、当社はAQNEURSAおよびその関連化合物の知的財産および販売権を含むグローバルでの全権利を取得します。AQNEURSAは、ニーマン・ピック病C型(NPC)に伴う神経学的症状の治療薬として欧米で承認されており、米国で販売が開始されています1, 2。加えて、2026年9月18日には、世界で初めて毛細血管拡張性運動失調症(Ataxia-Telangiectasia:A-T)に対する治療薬として、米国FDAによる承認を取得しています3。なお、欧州においてもAQNEURSAは、A-Tに対する治療薬として適応追加の申請が実施されています。
当社は米国において、ALS治療薬RADICAVA®の事業展開を進めており、希少疾患における知見および事業基盤を有しています。AQNEURSAは希少神経疾患を対象とする治療薬であり、本取引完了後、当社はRADICAVAで築いた事業基盤を活用することで、AQNEURSAを必要とされる患者さまに、早期かつ確実に提供してまいります。
さらに、IntraBio社から希少疾患に精通した人材とノウハウを獲得することで、希少疾患に対する専門性を強化します。これにより、当社が開発を進めている脆弱X症候群やJordan症候群、ポンペ病など希少疾患に対する開発品ならびに研究初期段階の開発候補品など、多くのアセットの研究開発を加速し、新たな治療選択肢の早期提供に取り組んでまいります。
塩野義製薬は、本取引を通して、新たな治療薬の提供および適応拡大等により希少疾患に苦しむ患者さまとそのご家族への貢献を拡大するとともに、持続的な事業拡大を実現し、希少疾患を将来にわたる当社の注力事業として確立してまいります。
2.本取引の概要
Shionogi Inc.がIntraBio社の発行株式の全てを取得し、IntraBio社の株主に対して、2,000百万米ドルを支払う予定です。
3.異動する子会社の概要
(1) | 名称 | IntraBio Inc. | |||
(2) | 所在地 | 201 W 5th Street, Suite 1100, Austin, TX 78701, United States of America | |||
(3) | 代表者の役職・氏名 | Mallory Factor、President and CEO | |||
(4) | 事業内容 | 医薬品の研究開発、販売 | |||
(5) | 資本金(注) | 316米ドル | |||
(6) | 設立年 | 2015年 | |||
(7) | 株主構成 | 当該会社の意向により非公表とさせて頂きます。 | |||
(8) | 上場会社と | 資本関係 | 該当事項はありません。 | ||
人的関係 | 該当事項はありません。 | ||||
取引関係 | 該当事項はありません。 | ||||
(9) | 当該会社の最近3年間の経営成績及び財政状況(注) | ||||
| 決算期 | 2023年12月期 | 2024年12月期 | 2025年12月期 | |
| 連結純資産 | 35,411千米ドル | 135,344千米ドル | 144,549千米ドル | |
| 連結総資産 | 42,787千米ドル | 168,507千米ドル | 173,701千米ドル | |
| 連結売上高 | 0 | 3,535千米ドル | 67,867千米ドル | |
| 連結営業利益 | △22,434千米ドル | △56,215千米ドル | △35,292千米ドル | |
| 連結当期純利益 | △26,827千米ドル | 78,283千米ドル | △35,371千米ドル | |
(注)上記財務数値は米国会計基準(US GAAP)に基づいて作成されています。
4.株式取得の相手先の概要
当該株式は、当該会社の既存株主(個人及び信託、法人等)から取得するものであり、個人情報保護の観点及び先方の要請により非開示とさせていただきます。上場会社と当該個人の関係は、該当ありません。
5.取得株式数、取得価額及び取得前後の所有株式の状況
(1) | 異動前の所有株式数 | 0株(議決権所有割合:0.0%) |
(2) | 取得株式数 | 発行済株式のすべて |
(3) | 取得価額 | 2,000百万米ドル(315,560百万円*) |
(4) | 異動後の所有株式数 | 発行済株式のすべて(議決権所有割合:100.0%) |
*1米ドル=157.78円で換算
6.日程
(1) | 取締役会決議日 | 2026年10月5日 |
(2) | 契約締結日 | 2026年10月5日 |
(3) | 本件取引実行日 | 2026年11月~2026年12月(予定) |
なお、本取引は、各国競争法に関する全ての適用される待機期間の満了並びに、該当する規制当局の承認及びクリアランスの取得を含む、取引実行のための前提条件が満たされることを条件としております。
7.今後の見通し
2027年3月期の当社連結業績への影響については、現在精査中です。今後、開示すべき事項が発生した場合には速やかにお知らせいたします。
以 上
[お問合せ先]
塩野義製薬ウェブサイト お問い合わせフォーム:
https://www.shionogi.com/jp/ja/quest.html#3
【AQNEURSA®について】
AQNEURSA®は、米国において、ニーマン・ピック病C型(NPC)の神経学的症状の治療薬として、成人および体重15kg以上の小児患者を対象に承認されています1。欧州においても、成人および体重20kg以上の6歳以上の小児患者を対象に、NPCの神経学的症状の治療薬として承認されており、ミグルスタットとの併用療法、またはミグルスタットが使用できない患者における単剤療法として使用が承認されています2。さらに、毛細血管拡張性運動失調症(Ataxia-Telangiectasia:A-T)に対する適応追加がFDAに承認されており、AQNEURSAはA-Tに対してFDAによる承認を受けた初めての治療薬となります3。
【ニーマン・ピック病C型について】
ニーマン・ピック病C型(NPC)は、遺伝性の進行性神経変性を伴うライソゾーム病であり、約10万人に1人の割合で発症する希少疾患です4。NPC患者では、歩行障害・ふらつき、認知機能の低下、嚥下機能の低下や発話障害がみられることが多く、進行すると転倒リスクのため車いすが必要となり、着替えや入浴などにも介護が必要となるなど、日常生活における機能に大きな影響を及ぼします。
【毛細血管拡張性運動失調症(Ataxia-Telangiectasia)について】
毛細血管拡張性運動失調症(Ataxia-Telangiectasia:A-T)は、遺伝性の進行性神経変性疾患であり、通常は幼児期に発症し、およそ4万人~10万人に1人の割合で発症するとされる希少疾患です5。小脳の変性を特徴としており、運動協調の障害が進行し、言語障害や眼球運動の異常が現れ、進行すると車いすが必要となる状態となります。また、多くの患者で毛細血管拡張(目に見える血管の変化)が認められるほか、免疫機能不全により重篤な感染症を起こしやすくなり、肺疾患の発症や、がんの発症リスクが著しく増加することが知られています。現在のところ、AQNEURSA®以外にA-Tに対して承認された治療薬は存在していません。
【塩野義製薬の希少疾患に対する取り組み】
当社は、アンメットメディカルニーズの高い疾患に対し、革新的な医薬品の創出と提供に取り組むグローバル製薬企業です。感染症領域におけるリーダーシップを基盤に、患者さまにとって、十分な、あるいは全く治療選択肢がない希少疾患を含む、深刻な疾患への取り組みを拡大しています。イノベーションと医療従事者、患者さま、そのご家族との連携を通じて、世界中で治療アウトカムの向上と公平な医療アクセスの推進を目指しています。希少疾患においては、ALSに対する治療薬に加え、Fragile X症候群、Jordan症候群、Pompe病を対象とした開発プログラムを含むフランチャイズの強化に取り組んでいます。
【アドバイザーについて】
本件に関する塩野義製薬の法務アドバイザーは Cleary Gottlieb Steen & Hamilton LLP が務めました。また、Goldman Sachs & Co. LLC が塩野義製薬に対して財務アドバイスを提供しました。IntraBio社の財務アドバイザーは Centerview Partners LLC および Morgan Stanley & Co. LLC が務め、法務アドバイザーは Kirkland & Ellis LLP および DLA Piper LLP が務めました。
参考:
1. IntraBio社プレスリリース:IntraBio Announces U.S. FDA Approval of AQNEURSA for the Treatment of Niemann-Pick Disease Type C
2. IntraBio社プレスリリース:IntraBio Receives European Commission Approval of AQNEURSA® for the Treatment of Niemann-Pick Type C Disease
4. Christopher A. Wassif, et al. High incidence of unrecognized visceral/neurological late-onset Niemann-Pick disease, type C1, predicted by analysis of massively parallel sequencing data sets
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S1098360021042921?via%3Dihub
5. Rothblum-Oviatt C, et al. Ataxia telangiectasia: a review. Orphanet Journal of Rare Diseases. 2016; 11:159.https://ojrd.biomedcentral.com/articles/10.1186/s13023-016-0543-7