2020/10/30

溶出試験用新規アクセサリ「IVIVC Enhancer」新発売のお知らせ

 日本バリデーション・テクノロジーズ株式会社(本社:埼玉県越谷市、代表取締役:田辺 熱、以下「日本バリデーション・テクノロジーズ」)および塩野義製薬株式会社(本社:大阪市中央区、代表取締役社長:手代木 功、以下「塩野義製薬」)は、共同で開発を行ってきた溶出試験用新規アクセサリ「IVIVC Enhancer」(以下、「本製品」)を、11月2日、新発売することをお知らせいたします。本製品は塩野義製薬が発明し、実用化したもので、現在特許出願中です。日本バリデーション・テクノロジーズが製造および国内・海外に販売を行います。

 溶出試験は、日本薬局方で定められた試験法として、医薬品の開発時や市販後の製品の品質検査のほか、後発医薬品の申請に求められる生物学的同等性評価などにも国際的に用いられています。また近年では、溶出試験結果を基に経口製剤の消化管からの吸収性を予測するIVIVC1研究が盛んに行われています。経口製剤の吸収性を予測する溶出試験では、機器を用いて試験液を撹拌させる過程で、実際の消化管の撹拌力を再現するために低速度で撹拌すると不溶物質などが沈殿してマウント(崩壊物が円錐状に堆積する現象)を形成し、薬剤の溶出にばらつきが発生する等、正確なデータが得られにくいことが課題となっておりました。

 本製品は、塩野義製薬のCMC2研究本部が、マウント形成の課題を解決するアクセサリとして試験研究者の実際の視点で考案したものであり、汎用されている既存の溶出試験装置に簡便に装着できることから、多くの研究機関でご利用いただくことが可能です。本製品を使用することにより、消化管内の環境に近い試験条件下で、より正確な薬剤の溶出データ取得が可能となると考えられ、薬物の吸収性に対する予測精度の向上、ならびに経口製剤の研究・開発の時間とコストの削減が期待できます。

 日本バリデーション・テクノロジーズは、2002年に溶出試験器とその関連機器のバリデーション・技術サービスプロバイダーとして業務を開始しました。現在では、USP(米国薬局方)やEP(欧州薬局方)の分析用標準品の指定代理店に加え、バリデーション・キャリブレーションの技術サービスをベースに、創薬、製剤開発から品質試験の各部門のサポートを行っております。

 特に薬物の吸収性予測や注射薬の皮下吸収性予測装置等、IVIVC研究を加速させる世界の最先端の機器の販売・技術サポートは製薬会社各社から高い評価を得ています。

 塩野義製薬は2030年ビジョン「新たなプラットフォームでヘルスケアの未来を作り出す」を達成するために、従来の医療用医薬品を中心に提供する「創薬型製薬企業」から、ヘルスケアサービスを提供する「ヘルスケアプロバイダー」へと自らを変革し、社会に対して新たな価値を提供し続けていくことで、患者さまや社会の抱える困り事をより包括的に解決したいと考えております。

 日本バリデーション・テクノロジーズの持つIVIVCに対する高い技術力と、塩野義製薬のCMCを含めた研究開発力の強みを持ちより、薬効最大化及び副作用軽減による医薬品の価値最大化を目指す経口製剤の開発を支援し、患者さまの治療とQOL向上により一層寄り添ってまいります。

以上

注1)            IVIVC:In-vitro in-vivo correlation 生体外(in-vitro)と生体内(in-vivo)のプロファイルの相関性

注2)            CMC:Chemistry, Manufacturing and Control 製剤の開発、製造法研究、品質規格の設定、試験の開発など、非臨床・臨床試験から承認取得、商用生産まで幅広い領域に関わる研究

【製品の概要】

販売名:

IVIVC Enhancer

材質:

ステンレス(SUS304)、PTFE

発売日:

2020年11月2日

製品写真

【未使用】

未使用
低撹拌条件下ではマウントが形成される。

【使用】

使用

本製品を使用することで、低撹拌条件下でもマウントが生じにくい。