2021/01/15

抗インフルエンザウイルス薬「紓伏效®(ゾフルーザ®)」の 台湾におけるインフルエンザウイルス感染症予防に関する適応追加について

塩野義製薬株式会社(本社:大阪市中央区、代表取締役社長:手代木 功、以下「塩野義製薬」または「当社」)は、抗インフルエンザウイルス薬「紓伏效®(ゾフルーザ®)」について、2021年1月4日に「成人および12歳以上の小児におけるインフルエンザウイルス感染者との濃厚接触後予防」を追加適応として、台湾食物管理局(TFDA)より承認を取得したことをお知らせいたします。

 

このたびの追加適応の承認は、日本国内第III相臨床試験(BLOCKSTONE1)の結果をもとに判断されました。台湾では、当社の台湾子会社である台湾塩野義製薬股份有限公司(台湾塩野義)が「成人および12歳以上の小児の急性A型、B型インフルエンザウイルス感染症治療」を適応症としてゾフルーザを販売しています2。抗インフルエンザウイルス薬の予防投与にゾフルーザの1回経口投与が新たな選択肢として加わることで、本薬が台湾においても、インフルエンザウイルス感染症の治療だけでなく、予防においても貢献することが期待されます。

 

塩野義製薬は、取り組むべきマテリアリティ(重要課題)として「感染症の脅威からの解放」を特定し、治療薬の研究・開発だけにとどまらず、啓発・予防・診断ならびに重症化抑制といった感染症のトータルケアに対する取り組みを進めております。引き続き本薬の有効性、安全性に関するデータの収集と解析に鋭意取り組み、適正使用に向けた情報提供活動に努めてまいります。

 

以 上

【BLOCKSTONE試験1について】

BLOCKSTONE試験は、インフルエンザウイルス感染症患者(初発患者)の同居家族または共同生活者を対象に実施した、多施設共同、無作為化、プラセボ対照二重盲検比較の第III相臨床試験です。本試験は750例を対象に、日本で塩野義製薬が実施いたしました。被験者はゾフルーザ®の1回投与群、またはプラセボ投与群に無作為に割り当てられました。ゾフルーザの投与量は、12歳以上では体重に応じて40mgまたは80mgを1回投与、12歳未満では体重に基づき投与量が設定されました。本試験の主要評価項目は投与後10日間における、インフルエンザウイルスに感染し、発熱かつ呼吸器症状を有する被験者の割合です。ゾフルーザの1回経口投与によるインフルエンザウイルス感染症の発症抑制効果が認められ、インフルエンザウイルスに感染し、発熱かつ呼吸器症状を発現した被験者の割合は、ゾフルーザ投与群で1.9%、プラセボ投与群で13.6%でした(p<0.0001)。また、ゾフルーザ投与群において重篤な有害事象の発現は認められませんでした。BLOCKSTONE試験の結果は、New England Journal of Medicineに掲載されております1

 

【ゾフルーザ®について】

塩野義製薬が創製したゾフルーザ®は、キャップ依存性エンドヌクレアーゼ阻害作用によりインフルエンザウイルスの増殖を抑制します。本薬は1回の経口投与で治療が完結します。ゾフルーザは非臨床試験において、オセルタミビルに耐性を示すウイルスおよび、鳥インフルエンザウイルス(H7N9, H5N1)を含むインフルエンザウイルスに抗ウイルス効果を示しました3, 4

本薬の開発および販売は、Rocheグループとの提携下で進めており、日本と台湾における販売は塩野義製薬が、それ以外の国ではRocheグループが行っており、日米を含め複数の国でインフルエンザウイルス感染症治療薬として承認されています。また、インフルエンザウイルス感染症の予防適応としては、2020年11月27日に日本において、効能・効果の追加が承認されており、米国においても「12歳以上のインフルエンザウイルス感染曝露後予防」を適応として、2020年11月23日にFDAから追加適応承認を取得しています5, 6

Rocheグループは、1歳未満の小児を対象としたグローバル第III相臨床試験(miniSTONE-1試験)、さらに本薬のインフルエンザウイルス伝播抑制効果について検証するためのグローバル第III相臨床試験(CENTERSTONE試験)を実施中です。

 

【台湾塩野義製薬股份有限公司について】

台湾塩野義製薬股份有限公司は、塩野義製薬の子会社として1963年に設立された、医療用医薬品の研究開発・販売を行う台湾法人です。「患者救命」という経営理念のもと、病に苦しむ患者さまに医薬品をお届けし、一人でも多くの命を救うとともにQOL向上に貢献できるよう取り組んでいます。既存の主力製品である抗生物質「フルマリン®」や「フィニバックス®」、抗インフルエンザウイルス薬「ラピアクタ®」の販売拡大に加え、台湾への新薬投入にも注力し、当社グループの中長期的な成長に貢献することを目指しています。

 

 

 

参考:

1.      Hideyuki Ikematsu, MD et al. Baloxavir Marboxil for Prophylaxis against Influenza in Household Contacts. N Engl J Med Jul 23; 383:309-320

2.      プレスリリース: 2019年11月25日
抗インフルエンザウイルス薬「紓伏效®(ゾフルーザ®)錠20mg」の台湾における新発売について

3.      T. Noshi et al. In vitro Characterization of Baloxavir Acid, a First-in-Class Cap-dependent Endonuclease Inhibitor of the Influenza Virus Polymerase PA Subunit. Antiviral Research 2018;160:109-117

4.      K. Taniguchi et al. Inhibition of avian-origin influenza A(H7N9) virus by the novel cap-dependent endonuclease inhibitor baloxavir marboxil. Scientific Reports volume 9, Article number: 3466 (2019)

5.      プレスリリース: 2020年11月27日
抗インフルエンザウイルス薬ゾフルーザ®の日本におけるインフルエンザウイルス感染症予防に関する効能・効果追加承認について

6.      プレスリリース: 2020年11月24日
抗インフルエンザウイルス薬XOFLUZA®の米国にのける適応追加承認について-12歳以上のインフルエンザウイルス感染曝露後予防を適応として-