2023/12/20

グラム陰性菌感染症治療薬「フェトロージャ点滴静注用1g」の国内における発売および薬剤感受性検査用試薬の販売について

 塩野義製薬株式会社(本社:大阪市中央区、代表取締役会長兼社長CEO:手代木 功、以下「塩野義製薬」または「当社」)は、新規シデロフォアセファロスポリン系抗生物質製剤「フェトロージャ点滴静注用1g」(一般名:注射用セフィデロコルトシル酸塩硫酸塩水和物、以下「フェトロージャ」、または「本薬」)について、2023年12月20日に発売しましたことをお知らせいたします。また、本薬に対する感受性を測定するための検査用試薬の販売も本年の12月22日から開始いたします。

 フェトロージャは塩野義製薬が創製した新規のグラム陰性菌感染症治療薬です。2023年11月30日付にて厚生労働省より「セフィデロコルに感性の大腸菌、シトロバクター属、肺炎桿菌、クレブシエラ属、エンテロバクター属、セラチア・マルセスセンス、プロテウス属、モルガネラ・モルガニー、緑膿菌、バークホルデリア属、ステノトロホモナス・マルトフィリア、アシネトバクター属のうち、カルバペネム系抗菌薬に耐性を示す菌株を適応菌種とする各種感染症」の適応で製造販売承認を取得しております1

 また、当社では抗菌薬適正使用推進の一環として、フェトロージャ発売後からすみやかに本薬に対する細菌の感受性検査を行えるよう薬剤感受性試験用試薬の開発と提供に向けた取り組みを進めてまいりました。フェトロージャの発売と同時に薬剤感受性検査が実施できる体制が整うことで、本薬が、薬剤耐性菌による感染症で苦しむ適切な患者さまに対する新たな治療選択肢となることが期待されます。

 塩野義製薬は、取り組むべきマテリアリティ(重要課題)として「感染症の脅威からの解放」を特定し、感染症のトータルケアの実現に向けた取り組みを進めております。当社は、グローバルの課題であるCOVID-19や薬剤耐性(AMR:Antimicrobial resistance)の対策の成功に向け、人々の健康を守るために必要な感染症治療薬を、世界中の患者さまのもとにいち早くお届けできるよう、引き続き努力してまいります。

なお、本件が2024年3月期連結業績に与える影響は軽微です。

以 上

当社のAMR問題に対する取り組みについては、こちらをご覧ください。

【フェトロージャの製品概要】

製品名

フェトロージャ点滴静注用1g

一般名

注射用セフィデロコルトシル酸塩硫酸塩水和物

 

 

効能・効果

セフィデロコルに感性の大腸菌、シトロバクター属、肺炎桿菌、クレブシエラ属、エンテロバクター属、セラチア・マルセスセンス、プロテウス属、モルガネラ・モルガニー、緑膿菌、バークホルデリア属、ステノトロホモナス・マルトフィリア、アシネトバクター属のうち、カルバペネム系抗菌薬に耐性を示す菌株を適応菌種とする各種感染症

用法・用量

 

通常、成人には、セフィデロコルとして1回2gを8時間ごとに3時間かけて点滴静注する。なお、腎機能に応じて適宜増減する。

製造販売承認日

2023年11月30日

薬価基準収載日

2023年12月20日

発売日

2023年12月20日

薬価

フェトロージャ点滴静注用1g 1バイアル 20,203円

製造販売元

塩野義製薬株式会社

【薬剤感受性試験用試薬(研究用試薬)の製品概要】

※    本試薬は研究用試薬であり、体外診断用医薬品として承認されたものではありません。また、臨床的診断を下す目的では使用できません。

製品名

塩野義製薬 一般細菌MICドライプレート

使用目的

セフィデロコルに対する感受性を測定することを目的とした液体培地希釈法を用いたキット

発売予定日

2023年12月22日

販売元

塩野義製薬株式会社

【フェトロージャ(セフィデロコル)について】

フェトロージャは、多剤耐性菌を含むグラム陰性菌の外膜を効果的に通過して抗菌活性を発揮する新規のシデロフォアセファロスポリン系抗菌薬です。セフィデロコルは細菌のカルバペネムへの耐性獲得に関連する3つの主な機序(βラクタマーゼによる抗菌薬の不活化、ポーリンチャネルの変異による膜透過性低下、排出ポンプの過剰産生による薬剤の細菌細胞外への排出)による影響を受けにくく、抗菌力を発揮します。鉄と結合する独自の構造を有することにより、細菌が養分である鉄を取り込むために利用する鉄トランスポーターを介し、細菌内に能動的に運ばれます。その結果、セフィデロコルは細菌のペリプラズム内に取り込まれ、細胞壁合成を阻害します。セフィデロコルは、欧米において承認を取得し、欧州においてはFetcroja®の製品名で、米国ではFetroja®の製品名でそれぞれ販売されています。台湾においても承認申請を実施済みであり2、現在規制当局による審査が行われています。フェトロージャはWHOの必須医薬品リストにも掲載されており、また、多くの低中所得国、高中所得国で本薬を必要とする患者へのアクセスを改善するために、The Global Antibiotic Research and Development Partnership(GARDP)およびClinton Health Access Initiative(CHAI)との3者連携契約3を通じて準備を進めています。

参考

1.     プレスリリース:2023年11月30日

新規シデロフォアセファロスポリン系抗生物質製剤 「フェトロージャ点滴静注用1g」の国内における製造販売承認取得について

2.     プレスリリース:2022年12月13日

新規シデロフォアセファロスポリン系抗菌薬セフィデロコルの台湾における新薬承認申請受理について

3.     プレスリリース:2022年6月15日

塩野義製薬、GARDP、CHAIによる細菌感染症治療薬セフィデロコルに関する ライセンス契約ならびに提携契約の締結について -135ヵ国でセフィデロコルへのアクセスを拡大

 

[お問合せ先]

塩野義製薬ウェブサイト お問い合わせフォーム:

https://www.shionogi.com/jp/ja/quest.html#3.