2023/02/16

北海道大学大学院工学研究院の北島正章准教授らが
「COVID-19下水疫学調査の実用化」というテーマで
日本オープンイノベーション大賞選考委員会特別賞を受賞

【賞の概要】

イノベーションの創出を巡る国際的な競争が激化する中で、研究開発等の成果を迅速に社会実装し、社会的ニーズの解決や新たな価値の創造に繋げるための方法として、組織の壁を越えて知識や技術、経営資源を組み合わせ新しい取り組みを推進するオープンイノベーションが注目されています。

こうした状況を踏まえ、日本のオープンイノベーションをさらに推進するために、今後のロールモデルとして期待される先導性や独創性の高い取り組みを、内閣府が「日本オープンイノベーション大賞(以下、本表彰)」として称えています。

本表彰では、オープンイノベーションの取り組みで、模範となるようなもの、社会インパクトの大きいもの、持続可能性のあるものについて、担当分野ごとに大臣賞、長官賞、経済団体、学術団体の会長賞および選考委員会特別賞の表彰をするとともに、各賞の中で最も優れたものを内閣総理大臣賞として表彰しています。

日本オープンイノベーション大賞ウェブサイト(https://www8.cao.go.jp/cstp/openinnovation/prize/

【受賞内容】

研究課題  COVID-19下水疫学調査の実用化

受 賞 者  北島正章:北海道大学 大学院工学研究院 准教授

       小林博幸:塩野義製薬株式会社 新規事業推進部 部長(応募時の肩書)

       岩本 遼:株式会社AdvanSentinel 研究開発部 部長

【受賞理由】

  • ・東京2020オリンピック・パラリンピック選手村において下水疫学*1調査を実装し選手村におけるCOVID-19(新型コロナウイルス感染症)の対策に貢献したこと
  • ・下水疫学調査は今後の発展次第で非常に有効な公衆衛生システムになると考えられること
  • ・COVID-19以外にも、季節性インフルエンザをはじめ、他の感染状況の把握にも活用することが可能であれば、インフラとしての意味合いも非常に面白く、また評価できること

※その他詳細は、日本オープンイノベーション大賞ウェブサイト「受賞取り組み・プロジェクトの概要について」を参照(https://www8.cao.go.jp/cstp/openinnovation/prize/5kai_gaiyo.pdf

【各機関の役割】

・北海道大学

受賞した取り組みの代表機関として、下水疫学調査の実用化にあたり下水中ウイルスの高感度検出技術や変異解析技術の開発と実証、東京2020オリンピック・パラリンピック選手村での実装などを主導してきました。さらに、インフルエンザウイルスなど他のウイルスに対象を拡張して技術開発を実施しています。

・塩野義製薬

2020年10月より始まった北海道大学との下水疫学調査の実用化に向けた共同研究を通じて、自動化に適した下水中ウイルスの高感度検出技術を開発するとともに、自動解析体制の構築を主導しています。また、下水からのウイルス検出や変異解析のサービス提供を実現し、当該技術の実用化に大きく貢献してきました。

・AdvanSentinel

2021年1月に塩野義製薬及び島津製作所の合弁会社として設立された、下水疫学調査を主事業とする企業です。北海道大学と塩野義製薬が共同開発した検出技術のキット化やその販売、分析受託事業の展開などを通して下水疫学調査の普及と社会実装に貢献しています。

【受賞者のコメント】

・北海道大学:北島正章 准教授

このような栄誉ある賞を授与いただき大変光栄に存じます。授賞対象として評価いただいた「COVID-19下水疫学調査の実用化」は、私が学生時代から続けてきた学術研究が塩野義製薬・AdvanSentinelとの産学連携を経て社会に役立つ形で結実したものであると考えています。実用化に至るまでの技術的ブレイクスルー・イノベーションの実現に貢献いただいた共同受賞者の両氏をはじめ、全ての共同研究者及び関係者の皆様に心より感謝申し上げます。

今後は、国・自治体も加えた産官学でのオープンイノベーションの取り組みを展開し、下水疫学調査の社会実装の更なる推進に向けて尽力していく所存です。

・塩野義製薬:小林博幸 イノベーションフェロー

このたびは日本オープンイノベーション大賞という大変名誉ある賞をいただき、身に余る光栄です。AdvanSentinelの岩本部長ら若手メンバーの発案から、異分野である北海道大学の北島先生らとの共同研究、COVID-19を一日でも早く解決するための島津製作所との連携・新会社設立などを通じて、日本の将来を担う若手メンバーが集結し、産学連携の総合力で成し得た受賞です。将来にわたる感染症対策の一つとして社会実装に向けた貢献ができるよう、さらに精進してまいります。

・AdvanSentinel:岩本 遼 部長

この度は大変栄誉ある賞をいただき、誠にありがとうございます。AdvanSentinelは、下水中のウイルス濃度を分析することで対象地域の感染状況をモニタリングする下水疫学調査の社会実装を実現するために設立されました。多くの関係者に支えていただきながら、社会実装への第一歩を踏み出したところですので、この度の受賞を大きな励みとして、より一層精進してまいります。

受賞者の写真

表彰式での受賞者の記念撮影写真(左から塩野義製薬・小林イノベーションフェロー、北海道大学・北島准教授、AdvanSentinel・岩本部長)

お問い合わせ先

北海道大学大学院工学研究院環境工学部門 准教授 北島正章(きたじままさあき)

TEL 011-706-7162  FAX 011-706-7162  メール mkitajima@eng.hokudai.ac.jp

URL https://www.eng.hokudai.ac.jp/labo/water/member_MasaakiKitajima.html

塩野義製薬 ウェブサイトお問い合わせフォーム:

URL https://www.shionogi.com/jp/ja/quest.html#3

AdvanSentinel ウェブサイトお問合せフォーム:

URL https://advansentinel.com/ja/contact

配信元

北海道大学社会共創部広報課(〒060-0808 札幌市北区北8条西5丁目)

TEL 011-706-2610  FAX 011-706-2092  メール jp-press@general.hokudai.ac.jp

塩野義製薬株式会社広報部(〒541-0045 大阪市中央区道修町3丁目1番8号)

TEL  06-6209-7885

株式会社AdvanSentinel (〒541-0045 大阪市中央区道修町3丁目1番8号)

TEL  06-6209-6837

【用語解説】

*1 下水疫学 … 下水中のウイルス等の測定に基づき集団レベルの疫学情報を分析する学問分野である「Wastewater-based epidemiology」の訳語であり、北島准教授と山梨大学の原本英司教授の研究グループが考案。現在では、当該分野を指す用語として広く普及している。

【これまでの主な共同プレスリリース】

①AdvanSentinel・塩野義製薬・北海道大学共同プレスリリース「自動化に適した下水中新型コロナウイルスの高感度検出技術(COPMAN法)を開発~本技術の普及による下水疫学調査の社会実装の更なる加速に期待~」

発表日:2022年10月6日

URL:https://advansentinel.com/ja/news/advansentinel-releases-new-copman

②北海道大学・塩野義製薬共同プレスリリース「普及に適した下水中新型コロナウイルスの高感度検出技術(EPISENS-S法)を開発」

発表日:2022年8月8日

URL:https://www.hokudai.ac.jp/news/2022/08/episens-s.html

③北海道大学・大阪大学・塩野義製薬・東京大学共同プレスリリース「東京2020オリンピック・パラリンピック選手村でCOVID-19の下水疫学調査を実施」

発表日:2022年2月4日

URL:https://www.hokudai.ac.jp/news/2022/02/2020covid-19pdf.html

④北海道大学・塩野義製薬共同プレスリリース「新型コロナウイルスを含むすべてのウイルスおよび細菌の高感度検出技術に関する北海道大学と塩野義製薬の独占的ライセンス契約締結について」

発表日:2021年6月11日

URL:https://www.hokudai.ac.jp/news/pdf/210611_pr3.pdf

⑤北海道大学・塩野義製薬・ロボティック・バイオロジー・インスティテュート・iLAC共同プレスリリース「下水中の新型コロナウイルスの自動解析体制構築へ~ウイルス感染症流行及び変異株の早期検知・大量検査インフラの構築に期待~」

発表日:2021年3月19日

URL:https://www.shionogi.com/jp/ja/news/2021/03/210319.html