AMRとは抗菌剤への薬剤耐性(Antimicrobial Resistance)のことです。薬剤耐性については、抗菌剤の不適正使用や過剰投与が大きな要因と言われていますが、製造工場からの環境への排出も耐性菌を生み出す要因のひとつとして考えられており、様々な面からの対策が重要となっています。シオノギは長年にわたって抗菌剤を開発・製造・販売しており、抗菌剤の環境排出に関しては適正管理を行ってきました。

シオノギは2016年9月、ダボス会議において世界的な製薬企業および団体13社と共に“AMR Industry Roadmap”に署名しました。署名企業では率先して自社および委託先の管理を行うこととAMR対策のロードマップを定め、その環境排出の管理手法をすべての抗菌剤製造メーカーに提供することなどを通じて、AMRの発生抑制を目指しています。
シオノギでは AMR Industry Alliance 活動の一環として、抗菌剤の排出抑制・管理状況の点検をおこなっています。これまでの活動実績として、AMR Industry Alliance が発行した「抗菌剤の排出を管理するための手引き」に基づき、抗菌剤を製造する自社工場およびすべての国内サプライヤーの監査を終了しました。
表1:シオノギが扱う抗菌剤原薬の環境排出基準値と監査対象(黄色セルが2018年度監査対象)
E~H 社(海外サプライヤー):今後監査を実施予定
表2:サプライヤーの監査結果(2018年度実績)
サプライヤー名 マネジメントシステム 排水管理 固形廃棄物管理 環境排出基準値の順守状況
A社
B社
C社
D社

○:「抗菌剤の排出を管理するための手引き」に適合

△:「抗菌剤の排出を管理するための手引き」に一部不適合があり、是正処置対応中

自社工場における抗菌剤の排出抑制・管理の取り組みとして、抗菌剤を製造する建屋では排水中の抗菌剤の不活化を行った後に社内の排水処理施設に流すことで、自然環境に排出しても影響のないレベルであることを実験室レベルで確認しています。また「抗菌剤の排出を管理するための手引き」に従い、新たに実際の工場排水中に含まれる抗菌剤の濃度分析を実施しています。自社主力工場である金ケ崎工場で製造している抗菌剤5品目中、3品目は環境中で安全とされる抗菌剤の環境排出基準値を順守していることを確認しています。残り2品目については、工場排水中の抗菌剤の濃度分析を継続して行っています。抗菌剤製造プロセスにおいて、金ケ崎工場から排出される固形廃棄物は全て外部委託業者(エコシステム秋田)に焼却処分を委託しており、固形廃棄物経由での抗菌剤の環境排出はないことを確認しています。

国内サプライヤーに製造委託している抗菌剤4品目中、3品目についても環境中で安全とされる環境排出基準値を順守していることを確認しています。国内サプライヤーで環境排出基準値の順守状況が確認できていない品目については継続して確認し、必要に応じた是正処置を行います。今後は抗菌剤製造に関連した海外サプライヤーの順守状況を確認する予定です。