SHIONOGIグループパブリケーションポリシー

宣誓

塩野義製薬株式会社、Shionogi Inc.、Shionogi B.V.および他のグループ会社(以下、SHIONOGIグループ)は、臨床試験データやその他の研究成果を適切に開示することが科学の進歩と公衆衛生の向上に寄与し、患者さんと医療従事者が十分な情報に基づいた意思決定を行う手助けになると考えています。そのためSHIONOGIグループはこのポリシーを発行し、論文出版、学会公表(以下、パブリケーション)における透明性の向上に努めます。

目的

SHIONOGIグループは、以下に準拠してパブリケーションを実施することを目的としてこのポリシーを定めます。

  • 医学雑誌における学術研究の実施、報告、編集、および出版のための勧告(略称:ICMJE Recommendations)(参考文献1)最新版
  • 企業スポンサーによる医学研究発表出版のための基準(略称:GPP)(参考文献2)最新版
  • 臨床試験結果の医学雑誌における論文公表に関する共同指針(参考文献3)
  • 各国の医薬品・医療機器等の製造販売に係る規制当局の法律、規制、ガイダンス

適用範囲

このポリシーは、SHIONOGIグループで働くすべての役員と従業員に適用されます。加えて、SHIONOGIグループは、自社の製品・サービスに関係するすべての取引関係者に対しても、このポリシーの遵守を求めます。ポリシーの対象に含まれるのは、SHIONOGIグループがスポンサーとなった臨床研究やSHIONOGIグループが実施した医療経済・疫学研究結果の分析に基づく科学出版物、あるいはSHIONOGIグループが関与した科学的価値の高い非臨床研究結果に基づく科学出版物、およびSHIONOGIグループが関与した、自社製品および開発品に関するレビュー論文です。

実践

査読のある学術誌で出版される研究は、科学的妥当性、内容の質、独自性について厳格な審査を受けることから、SHIONOGIグループが自社製品および開発品に関する最新の研究を公表する手段として信頼に足るものです。私たちは、医科学コミュニティと政策立案者が人類の健康のために十分な情報に基づいた決定を下す一助となることを目指し、臨床研究の結果やその他の研究成果を査読のある学術誌に投稿します。

 

SHIONOGIグループは、透明性を保ち、倫理的かつ責任ある姿勢でパブリケーションを実施するために、社内で標準作業手順書を定め、遵守しています。当該標準作業手順書は、最新版のICMJE Recommendations(参考文献1)ならびにGPP(参考文献2)、各学術誌あるいは学会の投稿規定を踏まえた内容となっており、SHIONOGIグループのパブリケーションには、これら社内外のルールが適用されます。

論文投稿のタイムライン

SHIONOGIグループは、「臨床試験結果の医学雑誌における論文公表に関する共同指針」(参考文献3)およびGPP(参考文献2)に従い、結果の如何に関わらず、すべての臨床試験結果の出版に努めます。

 

新薬の場合は承認取得から12ヶ月以内に、市販品の場合は試験終了後18ヶ月以内に、査読のある学術誌に論文として投稿します*。

 

* 試験結果の価値が科学的もしくは臨床的に限定的な場合には、試験終了後に公的ウェブサイトで公開することも選択肢のひとつとします。

著者要件

著者は、パブリケーションの計画初期段階、論文執筆を始めるよりも前に特定されます。原稿作成やレビュー業務に対して著者へ報酬が支払われることはありません。SHIONOGIがスポンサーとなる出版物の著者は、ICMJEの4つの著者要件をすべて満たしています(参考文献1)。

  1. 1
    研究のコンセプトまたはデザイン、データの取得、解析または解釈に対する実質的貢献
  2. 2
    論文の起草または重要な知的内容に対する精査
  3. 3
    最終版の承認
  4. 4
    論文の正確性または整合性に対する疑義が適切に調査・解消されるよう、論文のあらゆる面に責任を負うことに同意していること

 

パブリケーションに実質的貢献をしつつもすべての著者要件を満たしていない個人またはグループは、著者ではなく貢献者として、個人あるいは「治験責任医師/参加医師の皆様」等との見出しの下、貢献の内容を付記して謝辞に記載されます。

メディカルライティング

メディカルライターに依頼することで、パブリケーションの質とスピードが向上し、ルール逸脱による論文撤回のリスクを減らすことができるとされています(参考文献4)。

 

SHIONOGIグループは、業界標準に則り、必要に応じて社内外のメディカルライターと協力して、著者の指示の下で論文を起草・編集し、また投稿支援をはじめとする管理面のサポートを提供します。出版物の内容、および投稿先の選択などのパブリケーションに関する権限は、すべて著者が有します。メディカルライティングサポートと資金源の詳細は、謝辞のセクションに明記します。

コマーシャル組織の関与

バリューアクセス関係者(医療経済とリアルワールドデータに関する研究のデザインと実施に関与する)を除き、コマーシャル組織は、出版にかかる資金提供、計画、準備、作成には関与しません。ただし企業の科学出版物は、広報・営業活動や販促資材の情報源となり、製品のポジショニングに寄与し、マーケティングプランの決定に関わることから、コマーシャル組織は、高次の戦略的観点に限り、パブリケーションプランの立案に参加することができます。コマーシャル組織からパブリケーションに関して提案があった場合、非営利部門(例:メディカルアフェアーズ)が、医科学的な観点から最終的な採否を含む取り扱いを判断します。

情報の開示

SHIONOGIグループはパブリケーションにおいて以下の情報を開示します。

  • 著者とSHIONOGIグループ、またはその関連組織との関係、両者が関与する活動、およびその他の利益相反
  • 資金源
  • 研究/試験のデザイン、データの収集・解析・解釈、ライティングに対するサポート(該当する場合)
  • 投稿に関する何らかの制限(該当する場合)
  • SHIONOGIグループが資金面や各種サポートにおいてパブリケーションに関与していない場合、または投稿に関する制限を行っていない場合は、その旨の宣言
  • 著者が研究/試験データにアクセスできたか否か(アクセスの性質と範囲を含む)。また、現在もアクセスできる状態か否か。

 

尚、SHIONOGIグループは、自社の知的財産権を保護する目的から出版原稿の社内レビューを必須としています。

また、SHIONOGIグループは、臨床試験データの透明性に関するポリシーに則り、臨床試験データの透明性の確保に努めます。

参考文献

1.  International Committee of Medical Journal Editors. Recommendations for the Conduct, Reporting, Editing and Publication of Scholarly Work in Medical Journals. Published 2022. Accessed October 31, 2022. https://www.icmje.org/recommendations/

 

2.  DeTora LM, Toroser D, Sykes A, et al. Good Publication Practice (GPP) Guidelines for Company-Sponsored Biomedical Research : 2022 Update. Ann Intern Med. 2022;175(9):1298-1304. doi:10.7326/M22-1460

 

3.  IFPMA, EFPIA, JPMA, PhRMA. Joint position on the publication of clinical trial results in the scientific literature. 2010. Available from: https://www.jpma.or.jp/basis/rinsyo/lofurc0000001vrn-att/100610_shishin_e.pdf

 

4.   AMWA-EMWA-ISMPP joint position statement on medical publications, preprints, and peer review. Curr Med Res Opin. 2021;37(5):861-866. doi:10.1080/03007995.2021.1900365

 

発効日: 2024年1月22日