2022/11/24

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチンS-268019の国内における製造販売承認申請について

塩野義製薬株式会社(本社:大阪市中央区、代表取締役会長兼社長 CEO:手代木 功、以下「塩野義製薬」または「当社」)は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対する予防ワクチン(開発番号:S-268019)について、成人における、初回免疫(1回目、2回目接種)および追加免疫(3回目接種)によるCOVID-19の予防を適応として、日本国内における製造販売承認申請を行いましたので、お知らせいたします。

 

S-268019は、当社グループ会社のUMNファーマが有するBEVSを活用した遺伝子組換えタンパクワクチンです。ウイルスの遺伝子情報から目的とする抗原タンパクを発現・精製後に、アジュバントを添加して投与されます。BEVSを活用したインフルエンザ予防ワクチンをはじめ、複数の製品がその有効性と安全性を基に承認・実用化されており、確立された技術を活用して製造するワクチンです。

 

この度の製造販売承認申請は、国内で実施した5つの臨床試験の良好な結果に基づくものです1-5。主な試験結果として、初回免疫時のS-268019の有効性に関しては、S-268019またはバキスゼブリア筋注の2回目接種から28日後の新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に対する中和抗体価のGMT(幾何平均抗体価)を主要評価項目とした国内第3相中和抗体価比較試験において、主要評価項目達成基準を満たしています。

また、追加免疫時におけるS-268019の有効性に関しては、コミナティ筋注(起源株)(以下、コミナティ)を2回接種後6ヵ月以上経過した成人を対象に、S-268019またはコミナティの3回目接種から28日後のSARS-CoV-2中和抗体価のGMTおよび抗体応答率を主要評価項目とした国内第2/3相追加免疫試験において、コミナティ群に対するS-268019群の非劣性が検証され、本試験の主要評価項目を達成しています。安全性に関しては、5つの試験いずれにおいても臨床上の大きな懸念は認められませんでした。

当社では、2022年2月より独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)との事前評価相談を開始し、これまでに得られた非臨床、臨床に関するデータを事前に提出しております。引き続き、一部データの取得および提出に向けて取り組むとともに、本日付で製造販売承認申請を行いました。

 

塩野義製薬は、取り組むべきマテリアリティ(重要課題)として「感染症の脅威からの解放」を特定し、感染症のトータルケアの実現に向けた取り組みを進めております。COVID-19が世界的な脅威として人々の生活に大きな影響を与える中、当社はパンデミックの早期終息による社会の安心・安全の回復に貢献するために、国産ワクチンの早期供給に向けて引き続き注力し、企業としての社会的責任を果してまいります。

 

なお、本件は2023年3月期の連結業績予想に与える影響については、現時点では軽微ですが、今後、状況に応じて精査いたします。

 

以 上

 

[お問合せ先]

塩野義製薬ウェブサイト お問い合わせフォーム:

https://www.shionogi.com/jp/ja/quest.html#3.

 

 

 

【UMNファーマが有するBEVSについて】

BEVS(Baculovirus Expression Vector System)とは、昆虫細胞などを用いたタンパク発現技術です。UMNファーマでは、ラブドウイルスが混入しないラブドフリーの培養技術を確立しています。

 

【国内第1/2相臨床試験1について】

 国内第1/2相臨床試験は、S-268019の2回接種後の安全性、忍容性ならびに免疫原性の評価を目的とする成人60例を対象とした無作為化プラセボ対照二重盲検比較試験です。試験の詳細は、jRCT2031210269をご参照ください。本試験の被験者登録は完了しており、2回接種28日後までの評価において、S-268019の忍容性と安全性が確認され、免疫原性については回復期患者血清と同程度の中和抗体価の上昇を確認しました。

 

【国内第2/3相臨床試験2について】

 国内第2/3相臨床試験は、S-268019の安全性、忍容性ならびに免疫原性の評価を目的とする成人および高齢者3,100例を対象としたオープンラベル試験です。試験の詳細は、jRCT2031210383をご参照ください。本試験の被験者登録は完了しており、2回接種28日後までの評価において、忍容性・安全性と中和抗体価の上昇を確認しました。

 

【国内第2/3相追加免疫試験3について】

 国内第2/3相追加免疫試験は、コミナティ筋注を2回接種後6ヶ月以上経過した成人200例を対象としS-268019あるいはコミナティ筋注の追加接種後の免疫原性を指標として、S-268019のコミナティ筋注に対する非劣性検証および安全性評価を目的とする無作為化実薬対照二重盲検比較試験です。試験の詳細は、jRCT2031210470をご参照ください。本試験の被験者登録は完了しており、SARS-CoV-2中和抗体価のGMTおよび抗体応答率について、主要評価項目を達成しました。

 

【国内第3相追加免疫試験4について】

 国内第3相追加免疫試験は、スパイクバックスTM筋注を2回接種した20歳以上64歳以下の成人およびコミナティ筋注またはスパイクバックスTM筋注を2回接種した65歳以上の高齢者150例を対象に、S-268019の追加接種後の安全性評価を目的とするオープンラベル試験です。試験の詳細は、jRCT2031210613をご参照ください。

 

【中和抗体価比較試験5について】

 中和抗体価比較試験は、2回接種後の免疫原性を指標として、S-268019とバキスゼブリア筋注の比較検証を目的とする成人および高齢者1,000例を対象とした無作為化実薬対照二重盲検比較試験です。試験の詳細は、jRCT2051210151をご参照ください。本試験の被験者登録は完了しており、2回目接種から28日後のSARS-CoV-2中和抗体価のGMTについて、主要評価項目達成基準を満たしています。

  

 国内第1/2相臨床試験については、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(Japan Agency for Medical Research and Development: AMED)の支援を受けております。

 

 COVID-19に対する当社の取り組みは、当社ホームページでも随時更新しております。また、各機関から発信されているCOVID-19に関する情報も同ページにまとめておりますので、ご参考までにご確認ください(塩野義製薬ウェブサイト)。