2023/06/26

Medicines Patent Poolによるジェネリック医薬品メーカー7社との COVID-19治療薬エンシトレルビル フマル酸の製造に関するサブライセンス契約の締結
~低中所得国におけるエンシトレルビルへのアクセス拡大に向けて~

 塩野義製薬株式会社(本社:大阪市中央区、代表取締役会長兼社長CEO:手代木 功、以下「塩野義製薬」)と、国連が支援する公衆衛生機関であるMedicines Patent Pool(本部:スイス ジュネーブ、代表:Charles Gore、以下「MPP」)は、両者の間で2022年10月に締結されたヘッドライセンス契約1に基づき、ライセンス先であるMPPが、塩野義製薬が開発したCOVID-19治療薬エンシトレルビル フマル酸(日本での製品名:ゾコーバ®錠125mg、以下「エンシトレルビル」)の製造に関するサブライセンス契約を、ジェネリック医薬品メーカー7社と締結したことをお知らせいたします。
 エンシトレルビルは、ウイルスの3CLプロテアーゼという酵素を選択的に阻害することで新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の増殖を抑制する経口抗ウイルス薬です。日本では、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の治療薬として2022年11月に厚生労働省から緊急承認を取得しています。米国においては、米国食品医薬品局(FDA)より開発の促進や審査の迅速化を目的とするファストトラック指定を2023年4月に受領しています2
 このたび締結されたサブライセンス契約(以下、「本契約」)は、MPPと7社のジェネリック医薬品メーカーとの間で結ばれた契約であり、中国の3社(Zhejiang Charioteer Pharmaceutical Co., Ltd. / Zhejiang Lepu Pharmaceutical Co.,Ltd. / Shanghai Fosun Pharmaceutical Industrial Development Co., Ltd.,)、インドの2社(Hetero / Laurus Labs Limited)、ウクライナ(Joint Stock Company Lekhim)およびベトナム(Stellapharm J.V. Co., Ltd.)の各1社が対象となります。MPPが日本の製薬企業との間で初めて締結した塩野義製薬とのヘッドライセンス契約における条件に基づき選定されたジェネリック医薬品メーカー7社は、今後117の低中所得国(LMICs)でエンシトレルビルの製造・供給が可能となります。

 塩野義製薬の代表取締役会長兼社長 CEOである手代木 功は、「今回4カ国、計7社のジェネリック医薬品メーカーがMPPとサブライセンス契約を締結され、LMICs向けにエンシトレルビルのジェネリック医薬品を製造するというコミットメントを表明されたことをとても喜ばしく思います。当社は、MPPのような国際機関とパートナーシップを形成し、同機関の持つ優れたスキームを活用することが、世界中の多くの人々にとって重要な課題となっている医薬品へのアクセスを改善する上で有用であると考えており、このたびのサブライセンス契約が、LMICsで生活される人々にCOVID-19治療の新しい選択肢を適正な価格でお届けすることに繋がるものと信じています。塩野義製薬は、基本方針に掲げる、常に人々の健康を守るために必要な最もよい薬を提供することに、引き続き真摯に向き合い、グローバルで取り組みを進めてまいります。」と述べています。

 また、Medicines Patent Pool代表のCharles Gore氏は次のように述べています。「エンシトレルビルのジェネリックを開発し、できるだけ早くお届けできるように、ジェネリック製造パートナー7社すべてと緊密に協力し合うことを楽しみにしています。COVID-19はもはや公衆衛生上の緊急事態には分類されていませんが、未だ大陸間では患者数の増減を繰り返しており、私たちがこの病気と共存することが国際的な懸念事項であることは間違いありません。そのため、LMICsで質の高い効果的な治療法を早期に利用できるようにすることは依然として非常に重要なミッションです。私は、本契約がMPPと締結する最初の契約となる、ウクライナのLekhim JSC社と中国のZhejiang Charioteer Pharma社、Zhejiang Lepu Pharma社 との契約締結を心から歓迎します。」

 MPPを設立したUnitaid の副事務局長である Tenu Avafia 氏は、次のように述べています。「Unitaidは、LMICsにおいて新しい医療技術をできるだけ早く利用可能とし、広くアクセスできるようになることをビジョンに掲げています。現在および将来のパンデミックに備え、準備し、対応していくためには、医療アクセスに関する事項も考慮の上で活動に組み込む必要があります。このたびの7つのサブライセンス契約の締結は、我々のビジョン達成に向けたとても重要なマイルストーンです。我々は、塩野義製薬が治療法の開発における公平性、効率性、適正価格を考慮してG7の優先事項を反映していること、また、ヘッドライセンス契約に関して、MPPと早期に良好なパートナーシップを形成していることを称賛します。」

 南アフリカDesmond Tutu HIVセンターのCommunity Liaison AdministratorであるNombeko Mpongo氏は、次のように述べています。「私は、パンデミックの最中にCOVID-19で両親を亡くした二人の姉妹を、仕事を通じてサポートしています。私たちのコミュニティではこのような喪失が日々起きており、その都度大きな悲しみを抱えています。なぜなら、多感な時期を親がいない状態で生き延びようと奮闘する若者たちは、自分たちで生きていくしかなく、結果的に将来の機会を狭められているからです。医薬品を含む医療アクセスの改善は生死に関わる問題以上に、地域社会全体の幸福に結びつくものであるため、私の国や他のLMICsでのCOVID-19治療に対する公平なアクセスを可能とするこの発表を心から歓迎します。」

 塩野義製薬とMPPは、引き続き連携を深め、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジの実現に貢献できるよう取り組んでまいります。
以上

エンシトレビル フマル酸について

 COVID-19 治療薬であるエンシトレルビルは、北海道大学と塩野義製薬の共同研究から創製された 3CL プロテアーゼ阻害薬です。新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)は 3CL プロテアーゼというウイルスの増殖に必須の酵素を有しており、エンシトレルビルは 3CL プロテアーゼを選択的に阻害することで、SARS-CoV-2 の増殖を抑制します。オミクロン株流行期に、重症化リスク因子の有無やワクチン接種の有無にかかわらず幅広い軽症/中等症患者を対象に実施した第 2/3 相臨床試験の Phase 3 part において、オミクロン株に特徴的な COVID-19 の 5 症状に対する改善効果(主要評価項目)および抗ウイルス効果(主要な副次評価項目)が確認されています3,4。これらの結果に基づき、日本においては 2022 年 11 月に緊急承認されています。米国においては、米国食品医薬品局(FDA)より開発の促進や審査の迅速化を目的とするファストトラック指定を受領しています2。グローバルにおいては、入院を伴わない SARS-CoV-2 感染患者を対象とした SCORPIO-HR 試験5、入院患者を対象とした STRIVE 試験6、発症抑制効果の検証を目的としたグローバル第3相曝露後発症予防試験(SCORPIO-PEP試験)7が進行中です。

パートナーについて

Medicines Patent Pool(MPP)

 Medicines Patent Pool(MPP)は、国連が支援する公衆衛生団体で、低・中所得国の人々の生命を救う医薬品へのアクセスを向上させ、その開発を促進するために活動しています。MPPは、革新的なビジネスモデルを通じて市民社会、政府、国際機関、産業界、患者団体、その他のステークホルダーと提携し、必要な医薬品を優先的にライセンスし知的財産をプールすることにより、ジェネリック医薬品の製造と新製剤の開発を促進します。現在までに、MPPは18のパテントホルダーと契約を締結しています(HIV抗レトロウイルス薬13件、HIVテクノロジープラットフォーム1件、C型肝炎直接作用型抗ウイルス薬3件、結核治療薬1件、がん治療薬1件、長時間作用型技術4件、COVID-19経口抗ウイルス治療薬3件、COVID-19テクノロジー12件)。MPPはUnitaidによって設立され、現在もMPPの主要な出資者となっています。また、必須医薬品へのアクセスに関するMPPの活動は、スイス開発協力庁(SDC)からも資金提供を受けています。COVID-19におけるMPPの活動は、日本政府、フランス欧州外務省、ドイツ国際協力庁、SDCの資金援助を受けて実施されています。詳しい情報は、https://medicinespatentpool.org/TwitterLinkedInYouTubeでフォローしてください。

塩野義製薬

 塩野義製薬は「常に人々の健康を守るために必要な最もよい薬を提供する」という基本方針に基づき、患者さまの利益に貢献しています。当社は、HIV、インフルエンザ、抗菌薬耐性等の感染症に対する新薬の研究開発に取り組み、現在、新規シデロフォアセファロスポリン抗菌薬であるセフィデロコルを含む複数の感染症領域における治療薬を販売しています。

 当社は、感染症領域を中心に、社会的なニーズの大きい疾患領域を研究開発のコア領域として特定し、ヘルスケア社会課題の解決に向けて取り組んでいます。詳細については、https://www.shionogi.com/jp/ja/

をご覧ください。

 Shionogi inc.は、ニュージャージー州に本拠を置く塩野義製薬の米国グループ会社です。詳細については、https://www.shionogi.com/us/en/をご覧ください。

他のパートナーについて

中国平安保険グループについて

 Ping An Insurance(Group)Company of China、Ltd.は、塩野義製薬と共同で設立した合弁会社を通じてアジアでエンシトレルビルを開発しており、両社は低中所得国に住む患者の医薬品へのアクセスを支援することを約束します。エンシトレルビルを入手可能な価格でアジアのより多くの人々が利用できるようにするために、Ping An Insurance(Group)Company of Chinaは、Medicines Patent Poolと塩野義製薬の提携をサポートしています。

【参考】

1.    プレスリリース:2022年10月4日

塩野義製薬とMedicines Patent Poolによる COVID-19治療薬エンシトレルビルフマル酸に関するライセンス契約締結について -117の低中所得国におけるエンシトレルビルへのアクセス拡大に向けて-

2.    プレスリリース:2023年4月4日

新型コロナウイルス感染症治療薬エンシトレルビルフマル酸について米国FDAよりファストトラック指定を受領

3.    プレスリリース:2022年9月28日
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)治療薬エンシトレルビルフマル酸(S-217622)の 第2/3相臨床試験 Phase 3 partにおける良好な結果について(速報)

4.    プレスリリース:2023年2月22日
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)治療薬 エンシトレルビルフマル酸によるウイルス力価の 早期陰性化ならびに罹患後症状(Long COVID)の発現リスクに対する低減効果について―国際学会CROI 2023において新規データを発表―

5.    プレスリリース:2022年3月16日
塩野義製薬とACTGによる新型コロナウイルス感染症(COVID-19)治療薬 S-217622のグローバル第3相臨床試験の実施について

6.    プレスリリース:2023年2月16日
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)治療薬 エンシトレルビル フマル酸の グローバル第3相臨床試験(STRIVE)開始について

7.    プレスリリース:2023年6月9日

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)治療薬エンシトレルビル フマル酸の グローバル第3相臨床試験開始について‐ COVID-19の発症抑制効果の検証を目的とした発症予防試験を開始 ‐

[お問合せ先]

塩野義製薬ウェブサイト お問い合わせフォーム:

https://www.shionogi.com/jp/ja/quest.html#3.

MPP お問い合わせ先:

press@medicinespatentpool.org