2023/07/25

HIV感染予防における世界初の長期作用型注射剤カボテグラビルに対する欧州医薬品評価委員会(CHMP)の承認勧告に関するViiV社の発表について

塩野義製薬株式会社(本社:大阪市中央区、代表取締役会長兼社長 CEO:手代木 功、以下「塩野義製薬」)は、塩野義製薬がGlaxoSmithKline plc.およびPfizer Inc.とともに資本参加しているViiV Healthcare Ltd.(以下「ViiV社」)が、「長時間作用型注射剤カボテグラビルに関するHIV感染予防(PrEP)の適応について、欧州医薬品庁(EMA)の医薬品評価委員会(CHMP)より承認勧告を受けたこと」を発表しましたので、お知らせいたします。

 

この度の承認勧告の採択は、安全性と有効性を評価した2つの国際第IIb / III相臨床試験であるHPTN083試験とHPTN084試験の良好な結果に基づいており、カボテグラビルはそれぞれの試験で、エムトリシタビン/テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩(FTC/TDF)と比べて高い予防効果を示し、良好な結果を受けてデータ安全性モニタリング委員会から早期終了勧告を受けていました。なお、CHMPの勧告を受け、今後、欧州委員会(EC)において予防を適応としたカボテグラビルの承認可否が判断されます。

 

欧州では毎年約10万人が新たにHIVと診断されており、予防投与の恩恵を受ける可能性がある方が多くいる一方で、既存の予防オプションは毎日服用が必要な経口剤のみであり、より利便性の高い新たな選択肢が求められています1。カボテグラビルは年間にわずか6回の投与で毎日服薬が必要なFTC/TDFと比べて高い予防効果を示すことから、既に承認されている米国等の国々に続き、欧州においてもHIV感染予防に対する重要な選択肢になることが期待されます2

 

塩野義製薬は、取り組むべきマテリアリティ(重要課題)として「感染症の脅威からの解放」を特定し、HIV感染症をはじめとする三大感染症への取り組みを推進しております。当社は今後もViiV社との密な連携により事業を推進することで、HIV感染症治療と予防の両面で、当社より権利を導出したdolutegravir、cabotegravir ならびにS-365598の価値最大化を通じたグローバルヘルスへの貢献を果たしてまいります。

 

なお、本件が2024年3月期の連結業績予想に与える影響は軽微です。

 

以 上

参考:

【HPTN 083 について(NCT02720094)】

HPTN 083 試験は、HIV 感染予防において、エムトリシタビン/テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩(FTC/TDF) 錠(200mg/300mg)の毎日経口投与と比較して、8 週間ごとに投与する長期作用型注射用カボテグラビルの安全性と有効性を評価するためにデザインされた第IIb/III相二重盲検試験です。各参加者は、盲検化された治験薬を最大 3 年間投与すること とされました。当該試験は 2016 年 11 月に登録開始されました。HPTN 083 は、アルゼンチン、ブラジ ル、ペルー、米国、南アフリカ、タイ、ベトナムの施設で、男性と性行為を行う男性と、男性と性行為を行う トランスジェンダー女性、4,566 人を対象に実施されました。本試験はアルゼンチン、ブラジル、ペルー、 米国、南アフリカ、タイ、ベトナムの研究センターで実施されました。

試験デザインの詳細は、https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT02720094 を、試験結果の詳細は、2020年7月10日 プレスリリースをご覧ください。

【HPTN 084について(NCT03164564)】

HPTN 084試験は、HIV感染予防に対する有効性と安全性を、HIV感染リスクが高い女性3,200 名を対象に、2か月毎に投与する長期作用型注射剤カボテグラビルとFTC/TDF(200mg/300mg)の1日1回経口投与と比較評価するためにデザインされた第III 相二重盲検比較試験です。カボテグラビル群は、対照薬のFTC/TDF群を89%(95%信頼区間:68-96%)上回る有意なHIV感染予防効果を示しました。HPTN 084 は、2017 年11 月に登録開始され、計3,223名が登録されました。ボツワナ、ケニア、マラウイ、南アフリカ、エスワティニ、ウガンダ、ジンバブエの7か国20施設で実施されました。これらのサハラ以南の地域では女性のHIV感染率が高いことが知られています。

試験デザインの詳細はhttps://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT03164564 を、試験結果の詳細は、2020年11月11日のプレスリリースご覧ください。

 

 

1.       ECDC/World Health Organisation (2021) HIV/AIDS surveillance in Europe. Available https://www.ecdc.europa.eu/sites/default/files/documents/2021-Annual_HIV_Report_0.pdf
 Last accessed March 2023. Last accessed July 2023.

2.       プレスリリース: 2021年12月21日

HIV 感染予防における世界初の長期作用型注射剤 Apretude(カボテグラビル)の米国での承認取得に関するViiV社の発表について

 

[お問合せ先]

塩野義製薬ウェブサイト お問い合わせフォーム:

https://www.shionogi.com/jp/ja/quest.html#3.