塩野義製薬株式会社(本社:大阪市北区、代表取締役会長兼社長CEO:手代木 功、以下「塩野義製薬」または「当社」)は、F2G Ltd(本社:イギリス マンチェスター、CEO:Francesco Maria Lavino、以下「F2G社」)と共同開発を進めている新規抗真菌薬オロロフィムについて、侵襲性アスペルギルス症患者を対象とするグローバル第3相臨床試験(以下「OASIS試験」または「本試験」)の結果を、F2G社が2026年10月22日に米国感染症学会週間 Infectious Disease Week 2026(以下「IDWeek 2026」)のレイトブレーカー口頭発表で報告することをお知らせいたします。
今回の学会発表では、OASIS試験における主要評価項目の達成1に加えて、主要な副次評価項目および安全性に関するデータを報告します²。
主な発表内容は、以下になります。
有効性に関する結果について
・ 主要評価項目
本試験の主要評価項目である治療開始後42日時点の全死因死亡率は、オロロフィム投与群23.8%(36/151名)、AmBisome治療群24.3%(18/74名)であり、AmBisome治療群に対するオロロフィムの非劣性が示されました(群間差:-0.5%【95%信頼区間:-13.1%~10.8%】)²。
・ 主要な副次評価項目
✓ 主要な副次評価項目であるMSG-EORTC基準*による奏効率は、治療開始後42日時点でオロロフィム投与群26.5%(40/151名)、AmBisome治療群31.1%(23/74名)、治療開始後84日時点でそれぞれ30.5%(46/151名)、28.4%(21/74名)でした。
* MSG-EORTC(Mycoses Study Group-European Organization for Research and Treatment of Cancer):臨床、画像および真菌学的評価の3項目を統合して侵襲性真菌症への薬剤の治療反応を判定する評価基準。
✓ 治療開始後84日時点の全死因死亡率は、オロロフィム投与群32.5%(49/151名)、AmBisome治療群29.7%(22/74名)でした(群間差:2.7%【95%信頼区間:-10.6%~15.0%】)2。
✓ 登録後の平均入院期間とその標準偏差は、オロロフィム投与群17±15日、AmBisome治療群28±25日でした2。
安全性に関する結果について
・ 治験担当医師が薬剤と関連があると判断した有害事象の発現率は、オロロフィム投与群35.8%、AmBisome治療群63.9%でした。
・ 薬剤関連性の腎関連の有害事象の発現率については、オロロフィム投与群1.3%、AmBisome治療群22.2%でした。重篤な薬剤関連性の有害事象の発現率は、それぞれ4.0%、18.1%でした2。
・ 抗真菌薬の使用において、注意すべき安全性上の注意点である薬剤性肝障害(DILI:Drug-induced liver injury)3 については、専門家の判定により薬剤との関連がある可能性が否定できないとされたDILIの発現率は、オロロフィム投与群4.6%(7/151名)、AmBisome治療群4.2%(3/72名)でした2。
これらの結果は、アゾール系抗真菌薬による治療が困難な侵襲性アスペルギルス症患者に対する、経口の治療選択肢としてのオロロフィムの可能性を示すものです。本試験結果に基づき、当社は欧州およびアジアで、F2G社は米国で、それぞれ規制当局への承認申請を進める予定です。
本試験の治験責任医師であるベルギー・ルーベン大学病院 血液学教授 Johan Maertens博士は、次のように述べています。
「アゾール系抗真菌薬による有効な治療を受けられない患者さまは、現在、静脈内投与の非アゾール系薬剤に頼らざるを得ない状況にあります。今回のデータは、オロロフィムがこのような患者さまに経口の代替選択肢を提供できる可能性を示唆しており、心強く感じています。薬物相互作用が複雑な患者さまを含め、従来の治療が難しい患者さまにおいて、今回得られた安全性データを有する本剤は、真菌感染症との闘いにおける有効な手段となるでしょう。」
当社、取締役 上席執行役員 R&D管掌 John Kellerは、次のように述べています。
「侵襲性アスペルギルス症では、20年以上にわたり治療に大きなイノベーションがみられておらず、新たな治療選択肢が求められています。今回のOASIS試験の結果は、そのようなアンメットニーズに応える新たな治療法の実現に向けた重要な一歩です。当社は、侵襲性真菌感染症の患者さまに新たな治療法を届けるための、この重要なマイルストーンに参画できることを誇りに思います。」
F2G社、Chief Medical Officer John H. Rex博士は、次のように述べています。
「オロロフィムは新規作用機序を有するファーストインクラスの薬剤であり、侵襲性アスペルギルス症に対するこのような進展は20年以上ぶりです。蓄積されつつあるエビデンスは、アゾール耐性株を含むアスペルギルス属に対する活性を示しています。オロロフィムの治験にご参加いただいた患者さま、開発にご尽力いただいた治験責任医師の先生方、パートナーである塩野義製薬、そしてF2G社のチームに感謝いたします。」
塩野義製薬は、取り組むべきマテリアリティ(重要課題)として「感染症の脅威からの解放」を特定し、感染症のトータルケアの実現に向けた取り組みを進めています。今後もF2G社とともに、オロロフィムを侵襲性真菌感染症の患者さまのもとへお届けできるよう、開発を推進してまいります。
以 上
【OASIS試験について】
OASIS試験(Olorofim Aspergillus Infection Study、NCT05101187)は、確定診断された侵襲性アスペルギルス症、または臨床的に診断された肺侵襲性アスペルギルス症の成人患者のうち、アゾール系抗真菌薬に抵抗性を示す、またはその使用が困難な患者225名を対象とした、判定者盲検のグローバル無作為化比較試験です。患者は、アゾール耐性(既知または疑い)、アゾール系薬剤との薬物相互作用、アゾール系予防投与中のブレイクスルー感染、またはアゾール系薬剤による前治療の無効を理由として登録されました。
患者は2:1の比率で、オロロフィム経口投与群(151名:1日目は150mgを1日2回、以降は90mgを1日2回。併用薬および臨床状況に応じた用量調整を許容)またはAmBisome静注群(74名:3mg/kgを1日1回、少なくとも10日間投与後、AmBisomeの継続または他の標準治療へ移行)に割り付けられ、最長84日間投与されました。
主要評価項目は、FDAおよび欧州医薬品評価委員会(CHMP:Committee for Medicinal Products for Human Use)と合意した20%の非劣性マージンを用いた、Intent-to-treat(ITT)集団(無作為化された全患者)における治療開始後42日時点の全死因死亡率です。副次評価項目は、ITT集団における治療開始後84日時点の全死因死亡率、ならびに治療開始後42日時点および84日時点のMSG-EORTC基準による奏効率です。
【オロロフィムについて】
オロロフィムは、F2G社が創出したオロトマイド系抗真菌薬のリード化合物であり、グローバル第3相臨床試験(OASIS試験)を完了しています。真菌の生育に必須であるピリミジン合成経路を阻害する新規作用機序を有する経口抗真菌薬であり、既承認薬に耐性を示す株を含む幅広いアスペルギルス属に対して活性を示します4,5。
オロロフィムは、米国食品医薬品局(FDA)より、侵襲性アスペルギルス症、スケドスポリウム症、侵襲性スコプラリオプシス症およびコクシジオイデス症を対象としたオーファンドラッグ指定を取得しています6。また、侵襲性アスペルギルス症やコクシジオイデス症を含む複数の侵襲性真菌感染症を対象としたQualified Infectious Disease Product(QIDP)指定、および2件のブレークスルーセラピー指定を取得しています。
1件目のブレークスルーセラピー指定は、現在利用可能な治療に抵抗性または不耐容のアスペルギルス症、ならびにLomentospora prolificans、Scedosporium属およびScopulariopsis属による感染症を含む、治療選択肢が限られる、または存在しない患者さまにおける侵襲性糸状菌感染症を対象としています。2件目は、標準治療が奏効しない、または標準治療を使用できない中枢神経系コクシジオイデス症を対象としています。
欧州では、欧州医薬品庁(EMA)の審査を経て、欧州委員会から、侵襲性アスペルギルス症、スケドスポリウム症、侵襲性スコプラリオプシス症およびコクシジオイデス症を対象としたオーファン指定を取得しています7。
オロロフィムは開発中の化合物であり、安全性および有効性は確立されておらず、いずれの国・地域においても承認されていません。
【F2G社について】
F2G社は、生命を脅かす侵襲性真菌感染症を治療するための新しい治療法の発見と開発に焦点を当てた、英国、米国、オーストリアを拠点とするバイオテクノロジー企業です。同社は、ピリミジン生合成経路における重要酵素を選択的に標的とする新規作用機序を有する抗真菌薬クラス「オロトマイド」を創出しました。この作用機序は既存の抗真菌薬とは異なり、希少かつ薬剤耐性を有する真菌感染症に対して殺真菌作用を示す可能性があります。詳細はF2G社のウェブサイト(www.f2g.com)をご覧ください。
AmBisome®は、Gilead Sciences, Inc.の登録商標です。
参考:
1. OASIS Study. (2026, October 22). Olorofim versus AmBisome®-based standard of care (SOC) for invasive aspergillosis (IA): A phase 3 randomized, controlled, adjudicator-blinded trial [Late-breaker presentation]. IDWeek 2026.
新規抗真菌薬オロロフィムのグローバル第3相臨床試験(OASIS試験)における 良好な結果について(速報)
3. Tverdek FP, Kofteridis D, Kontoyiannis DP. Antifungal agents and liver toxicity: a complex interaction. Expert Review of Anti-infective Therapy. 2016;14(8):765–776.
4. Vanbiervliet Y, et al. Review of the novel antifungal drug olorofim (F901318). BMC Infectious Diseases. 2024;24:1256.
5. Oliver JD, et al. F901318 represents a novel class of antifungal drug that inhibits dihydroorotate dehydrogenase. Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America. 2016;113(45):12809–12814.
6. US Food & Drug Administration. Orphan drug designations and approvals for olorofim. Available at: https://www.accessdata.fda.gov/scripts/opdlisting/oopd/listResult.cfm (Accessed October 2026)
7. European Medicines Agency. Orphan drug designation for treatment of coccidioidomycosis for olorofim. Available at: https://www.ema.europa.eu/en/medicines/human/orphan-designations/eu-3-26-3263 (Accessed October 2026)
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