「企業価値を数字で語る」懸命さが光る若手経理

2025年1月31日 公開

商学部での会計学習と監査法人でのアルバイト経験から、経理の奥深さに魅せられ、プロフェッショナルを目指す道を選んだM.T.さん。塩野義製薬の経理財務部で、決算関連の業務に携わりながら、より高みを目指して税理士資格の取得にも挑戦し続けています。

 

入社3年目で合弁会社設立という大きなプロジェクトを任されるなど、着実にキャリアを重ねる若手社員の挑戦を追いました。

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企業価値を伝える、決算業務の最前線

―どのような学生時代を経て、なぜ塩野義製薬を選んだのか、教えてください。

大学時代は商学部で会計の勉強をしていました。ただ講義で学ぶだけでは物足りなくなって、アルバイトでは、監査法人で会計士の先生方のサポートをしていました。教室の外で、リアルな業務に触れる中で、経理財務の職種に就きたいという思いが強くなりました。

 

最初のうちは、業界にこだわりはなく、経理財務の仕事がしたいという想いが優先でした。ただ、私の大学生活はちょうどコロナ禍で様々なことが制限されていたんです。そんな中、塩野義製薬がいち早くCOVID-19に立ち向かっていく姿勢を示していたことは、強く印象に残っていました。次第に「製薬会社はどんな時代にも必要とされる存在、一員になってみたい」と思うようになりました。

 

入社を決意したのは、就職活動時の印象からです。学生の私にも丁寧に対応してもらえたのがうれしく、また面接の待合時には「緊張度は何パーセントですか?」「100%です!」なんて会話もあるなど、リラックスできる雰囲気を作ってもらえたのが本当にありがたかったですね。先輩方が仕事を楽しそうにされている印象も素敵だなと思いました。

―現在はどのような仕事に携わっていますか。

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財務会計グループに所属し、主に決算関連の業務を担当しています。主な業務は、経営成績や財政状態などを示す「決算短信」や「有価証券報告書」といった開示資料の作成。SHIONOGIグループ全体の数字を分析することで「このトピックの結果からこの数字が出ている」といった因果関係を導き出し、投資家の方々に伝えていく重要な役割を任せてもらえています。

 

会社としての実績を数字で示せることには、大きな意味があります。塩野義製薬は「株主・投資家、顧客、社会、従業員という4つのステークホルダーとのエンゲージメントを通じて、企業価値および社会的価値を創出し、持続可能な社会の実現を目指す」ことを大切にしています。私の仕事は、その中の株主・投資家の方々に向けて、開示資料を通じて実績を示し、さらに「今後はこうしていきます」という展望を伝える仕事。開示資料の内容は、広報部のIRチームとも協力しながら、慎重に作成を進めています。

グローバル展開を支える若い力

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―ベテランの方が多い職場なのだとか。

経理財務部は20~30代よりも40~50代の方が多い環境です。最初は先輩の専門性の高さに圧倒されてしまい、「本当にいつか私もこうなれるのかな」と焦りを感じたこともあります。しかし今は、学びのチャンスと捉えて、今だからこそできる質問をたくさんしています。「こんなふうに業務をまとめるんだ」など、先輩の仕事ぶりからも精一杯学んでいます。理想像となる人が多くいるのは幸せなことですよね。

―入社後、印象に残っている大きなプロジェクトについて教えてください。

アメリカの企業との合弁会社設立のプロジェクトが最も印象に残っています。経営会議に提出する資料作成や、PLへの影響の試算など、経理としての専門的視点からの検討を行いました。また、新会社設立後も、相手企業とは引き続きコミュニケーションをとっています。

 

特にチャレンジングだった点は、何と言っても言葉の壁です。正直、英語は苦手なので、毎日必死でした。また、より高度な対応力が求められる場面が多くありましたが、上司や先輩方に手厚くサポートしてもらい、何とかやり遂げることができました。

 

現在も引き続き、この合弁会社の経理業務を担当しています。通常の財務会計の業務では経験できない予算管理の知識も必要となるので、新しい学びの機会となっています。嬉しいことに、今では「合弁会社の経理と言えばM.Tさん」と認識していただけるようになり、他部署から会計に関する相談を受けることも増えてきました。

―仕事をするうえで大切にしていることはありますか。

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他部署の方に何かを依頼することが多い立場上、相手の立場になって考え、丁寧なコミュニケーションをとることを心掛けています。自分は担当している業務の内容を理解していますが、相手からすると、突然その業務が飛び込んできているわけですよね。

 

上司からも、ただ「これをお願いします」と依頼するのではなく、「何々をするために」と理由や説明を添えて、相手の理解を得ることが重要と教わりました。特に決算業務は期限が決まっているので、他部署の方々に、締切の厳しい依頼をすることがあります。そういった際は、特に丁寧な説明と感謝の気持ちを込めたコミュニケーションを心がけています。

―仕事の中でやりがいを感じる瞬間はどんなときですか。

私は難しい業務に取り組んでいるときほど、その手応えに夢中になるタイプです。特に決算業務は、開示資料の提出という明確な完了のタイミングがあるので、「無事終わった!」という達成感はありますね。また、合弁会社のような新しいプロジェクトで、ゼロから作り上げて形になっていくのを見るときも、大きなやりがいを感じます。

 

私は多分、ストレスを受けにくい性格なのかもしれません。もちろんプレッシャーは感じますが、それを「できなかったらどうしよう」という不安としてではなく、「だからこそやらなければ」というモチベーションとして捉えるようにしています。また、困ったときは上司やグループ内の方々に相談しやすい環境なので、そこも恵まれているのだと思います。

変革期はチャンス。未来を見据えて

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―自己研鑽のために、どのような工夫をしていますか。

理想像の先輩の背中を目指して、知りたいこと、挑戦したいことがまだまだ多いので、時間を有効活用するべく、通勤時間を使って勉強しています。また、社内のITシステムを活用するなど、業務の効率化は工夫していきたいです。

 

学生時代に一部取得していた税理士試験の勉強も、継続しています。会計の知識をさらに深めつつ、税務面の知識も増やしたいんです。ありがたいことに、会社から自己研鑽費用のサポートを受けられる制度があります。講座の受講などはそれなりの費用がかかるので、本当にありがたいです。

 

周囲を見渡すと、私よりずっと忙しいはずの先輩や上司も、たゆまず自己研鑽を続けています。そういった姿を近くで見ていると、「私ももっと頑張らなければ」というモチベーションになります。

―最後に、これから経理職を目指す後輩たちへメッセージをお願いします。

塩野義製薬は変革期を迎えています。医薬品にとどまらないヘルスケア関連のサービスを提供する会社に変わっていこうという中期経営計画のもと、様々な新しい取り組みが始まっています。そういった変革期だからこそ、新しい業務に携われるチャンスも多そうだと感じています。

 

経理の仕事は、数字の管理だけではありません。企業の価値を可視化し、ステークホルダーの方々に伝えていくという、とても重要な役割があるんです。特に製薬会社の場合、医薬品の特許期限の問題もありますから、常に新しい価値を生み出し続けることが求められています。「会社の価値を数字で支える」――、その誇りを胸に、ぜひ一緒に仕事ができたらと思います。

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■経理財務部ってどんな仕事?

 

企業活動の成果を数値化し、ステークホルダーに伝えるとともに、会社の健全な財務運営を支える職種です。

主な仕事は下記のとおりです。

 

1. 決算業務を通じた企業価値の発信:四半期ごとの決算作業を行い、決算短信や有価証券報告書などの開示資料を作成。企業の実績を数字で示し、投資家へ適切に情報を伝えます。

 

2. グループ会社の会計管理:SHIONOGIグループ全体の取引を管理し、合弁会社の会計なども担当。グループ内外の様々な部署と連携しながら、企業活動の数値化を行います。

 

3. 経営判断のサポート:財務データの分析や予算管理を通じて、経営判断に必要な情報を提供。企業の持続的な成長を財務面から支えます。