2020/07/13

中国平安との合弁会社設立に関する契約締結
子会社の新設、子会社株式及び持分の譲渡契約締結の承認並びに、第三者割当による自己株式の処分に関するお知らせ

塩野義製薬株式会社(本社:大阪市中央区、代表取締役社長:手代木 功、以下「塩野義製薬」又は「当社」といいます。)は、2020年7月13日開催の取締役会において、2020年3月30日付の当社、中国平安保険(集団)股份有限公司(本社:中国広東省、以下「平安集団」といい、その子会社及び関連会社を含めて「平安」と総称します。)及び中国平安人寿保険股份有限公司(本社:中国広東省、以下「平安人寿」といいます。)との間の資本業務提携に関する基本合意書(以下「本基本合意書」といいます。)に基づき、塩野義(香港)(以下に定義します。)及び出資機能を有する平安集団の子会社である平安人寿との間で、合弁会社(本社:上海、以下「本合弁会社(上海)」といいます。)の設立に関する契約の締結を決議しました。また、塩野義(香港)及び中国平安保険海外(控股)有限公司の子会社であり平安集団の間接的な子会社であるTutum Japan Healthcare Limited(本社:ケイマン諸島、以下「平安海外」といいます。)との間で、合弁会社(本社:香港、以下「本合弁会社(香港)」といい、本合弁会社(上海)とあわせて「本合弁会社」と総称します。)の設立に関する契約(以下、両契約をあわせて「本合弁契約」と総称します。)の締結についても決議しました。所定の手続きの後に交わされる本合弁契約の締結により、2020年3月30日付「中国平安保険(集団)股份有限公司との資本業務提携に関する基本合意書の締結及び第三者割当による自己株式の処分に関するお知らせ」1にて発表しました当社の平安人寿への第三者割当による自己株式の処分(以下「本第三者割当」といいます。)の実行前提条件を満たすことをお知らせします。

また、本合弁会社を現地にて統括することを目的として、塩野義(香港)有限公司(所在地:香港、以下「塩野義(香港)」といいます。)を当社の100%子会社として設立することを決議いたしました。

加えて、当社の100%子会社であるC&O Pharmaceutical Technology(Holdings)Limited(本社:バミューダ、以下「C&O」といいます。)の傘下で販売機能を有する深圳市联诚医药有限公司(本社:中国広東省、以下「深セン販売会社」といいます。)及び医薬品製造機能を有する南京长澳制药有限公司(本社:中国江蘇省、以下「南京工場」といいます。)の持分全てを本合弁会社(上海)に譲渡する内容の2つの持分譲渡契約(以下「本持分譲渡」といいます。)、並びに一般用医薬品を手掛ける当社の100%子会社のシオノギヘルスケア株式会社(本社:大阪府中央区、以下「シオノギヘルスケア」といいます。)の株式全てを本合弁会社(香港)に譲渡する内容の株式譲渡契約(以下「本株式譲渡」といいます。)の締結についても決議いたしました。

Ⅰ 本合弁会社設立の概要

1. 本合弁会社設立、本持分譲渡及び本株式譲渡の目的

当社と平安集団並びに平安人寿は、2020年3月30日付「中国平安保険(集団)股份有限公司との資本業務提携に関する基本合意書の締結及び第三者割当による自己株式の処分に関するお知らせ」1にて発表しました通り、本合弁会社を通じて、①「データドリブン注1の創薬・開発のプラットフォームの構築、及びそれによる医薬品(新薬・後発薬・一般用医薬品)の創薬・開発」、②「AIテクノロジーによる製造・品質管理体制の構築、及びそれによる医薬品(新薬・後発薬・一般用医薬品)の品質保証」、③「O2O(Online to Offline)注2を活用した販売・流通プラットフォームの構築、及びそれによる医薬品(新薬・後発薬・一般用医薬品)の販売・流通」を主な事業として展開することを目的として本基本合意書を締結しております。

(1)本合弁会社(上海)

本合弁契約において、上記①~③の実行を目的として、今回新設する塩野義(香港)が51%、平安人寿が49%出資して、本合弁会社(上海)を設立することについて合意しました。また、本合弁会社(上海)の傘下に、C&Oの子会社である深セン販売会社及び南京工場の持分を100%譲渡いたします。本合弁会社(上海)を当社の中国及びアジア事業の拠点と位置づけ、上記①~③の事業の展開を進めていく予定です。現時点で合意できている事業の具体的内容は以下の通りです。

① データドリブンの創薬・開発のプラットフォームの構築、及びそれによる医薬品(新薬・後発薬・一般用医薬品)の創薬・開発

感染症、精神・神経・疼痛を重点疾患とし、当社が長年培ってきた疾患に対する理解と創薬力に、平安が所有するライフスタイルに関するビッグデータとAI解析技術を組み合わせることで、付加価値の高い革新的な医薬品やヘルスケアサービスを効率的に創出し、顧客それぞれのニーズを満たす個別最適なソリューションを提供できる創薬・開発プラットフォームを確立してまいります。また、当社に権利が帰属する製品・開発品の中国を含むアジアのテリトリーにおける独占交渉権を本合弁会社に与え、当社のグローバル開発品の開発拠点へと育成していきます。まずは本合弁会社の設立後速やかに、当社の多剤耐性グラム陰性菌感染症治療薬セフィデロコル及びオピオイド誘発性便秘症治療薬ナルデメジンの当該テリトリーにおけるライセンス契約の締結を行う予定です。また、現在日本で開発中の新型コロナウイルス感染症関連の開発品(ワクチン、治療薬、診断薬)についても、適切なタイミングで本合弁会社にライセンスする方向で検討中です。

② AIテクノロジーによる製造・品質管理体制の構築、及びそれによる医薬品(新薬・後発薬・一般用医薬品)の品質保証

医薬品の製造・品質管理の向上のため、当社が培ってきた製造、品質管理の技術やノウハウと、平安が有するAIテクノロジー注3とを融合させ、新たな製造・品質管理システムの開発を行います。製造及び分析の現場をAIを用いてリアルタイムで監視し工程を透明化するとともに、従来の管理システムを効率化することで、高品質と低コストを両立した革新的な医薬品製造・品質管理システムを構築し、そのシステムの普及を目指します。今回、本合弁会社(上海)傘下に統合予定の南京工場から試験運用を進めていく予定です。

③ O2O(Online to Offline)を活用した販売・流通プラットフォームの構築、及びそれによる医薬品(新薬・後発薬・一般用医薬品)の販売・流通

本合弁会社は、Ping An Good Doctorと協業し、成長を目指します。平安集団の関連事業であるPing An Good Doctorは、包括的で一元的なヘルスケアエコシステムを創出しました。今日、Ping An Good Doctorは、中国において最大のユーザー層(2019年末の時点で31,520万人のユーザーが登録)を有するモバイル医療アプリケーションとなっており、社内に常勤する医療チームや独自のAIをベースとした医療システムを活用し、24時間体制でオンライン診療、処方、医療機関の紹介・予約、セカンドオピニオン、医薬品配送等のサービスを提供しています。当社が深セン販売会社及び南京工場を通じて中国で販売する後発薬、並びにシオノギヘルスケアが販売する一般用医薬品をこのヘルスケアプラットフォームに組み込み、供給を開始するとともに、当社がグローバルで承認を獲得したセフィデロコル等の新薬の中国を含むアジアテリトリーへの早期展開を図ります。また自社の製品・開発品の展開と並行して、医療ニーズの高い新薬、後発薬、一般用医薬品の導入を積極的に行うことで、さらなる製品ラインナップの拡充と顧客満足度の向上に努めます。

注1:リアルワールドデータ、マーケティングデータ、WEB解析データ等、データに基づいて判断・アクションすることをいいます。

注2:オンラインであるWEBとオフラインである実店舗とを組み合わせて、マーケティング・販売活動を促進することをいいます。

注3:人間の知的ふるまいの一部を、ソフトウェア等を用いて、人工的に再現する技術、また画像や音声の認識、監視、及び異常・不正の検知や予測を行う技術等を指します。

(2)本合弁会社(香港)

本合弁契約において、上記①~③を実行するにあたっての資本投資、知的財産ライセンスマネジメント、中国を含むアジアのテリトリー内各国への製品輸出入業務を目的として、今回新設する塩野義(香港)が51%、平安海外が49%の株式を保有する形で、本合弁会社(香港)を設立することで合意しました。そして、本合弁会社(香港)の傘下にシオノギヘルスケアの100%株式を譲渡し、中国を含むアジアテリトリーのお客様へシオノギヘルスケアの製品をお届けしてまいります。また、本合弁会社設立及び本株式譲渡により創造される予防から治療にまで至る新プラットフォームビジネス、また本合弁会社で開発された一般用医薬品を日本事業にも取り込んでいくことを期待しております。それによりシオノギヘルスケアにとって最も重要な日本事業の更なる飛躍を目指します。

当社は2020年6月1日に、2030年のビジョン及びその達成に向けた成長戦略となる新中期経営計画「Shionogi Transformation Strategy 2030」(以下「STS2030」といいます。)を公表しました2。当社が2030年に成し遂げたいビジョンは「新たなプラットフォームでヘルスケアの未来を創り出す」ことであり、平安との本合弁会社設立におけるコンセプトは、本ビジョンに合致するものとなります。STS2030の直近5ヵ年の計画であるSTS Phase 1では、「トータルヘルスケア企業として持続的な成長へのTransformationを具現化する」ことを基本方針とし、新たな価値創造に向けた「R&D戦略」、「トップライン(売上)戦略」、及び価値創造を実現するための「経営基盤戦略」を進めております。トップライン戦略では、中国を日本・米国に並ぶ強化地域として位置付けており、今回設立する2つの本合弁会社は、当社のトータルヘルスケア企業へのビジネス変革を具現化し、新たな創薬・開発モデルの構築と、トップラインの成長を実現する上で中心的な役割を担います。

以下PDF参照