塩野義製薬株式会社(本社:大阪市中央区、代表取締役社長:手代木 功、以下「塩野義製薬」)は、抗インフルエンザウイルス薬ゾフルーザ®のインフルエンザウイルス感染症予防に関する日本における効能・効果追加申請が承認されたことをお知らせいたします。本薬の効能・効果追加申請は、国内第III相臨床試験(BLOCKSTONE1)の結果にもとづいて行われています2。
インフルエンザウイルス感染症の予防については、ワクチン接種が広く知られておりますが、流行するインフルエンザウイルスの型はシーズンによって異なることから、ワクチン接種だけでは、ウイルス感染や発症、重症化を完全に抑えることは困難です。そのため、インフルエンザウイルス感染症を発症している患者さまの同居者のうち、代謝性疾患(糖尿病など)、慢性肺疾患などの基礎疾患を有する患者さまや、65歳以上の高齢者の方など、インフルエンザウイルス感染症罹患時に重症化のリスクが高いと判断される方3では、抗インフルエンザウイルス薬の曝露後予防投与*(以下、予防投与)は、インフルエンザウイルス感染症予防の重要な選択肢となります。特に、病院内や高齢者施設内などでは、ワクチン接種や感染予防対策の徹底に加え、抗インフルエンザウイルス薬の予防投与を早期から積極的に行うことが推奨されています4。
インフルエンザウイルス感染者との接触などウイルスに感染した可能性が生じた際に、発症前に治療薬を投与することで感染症の発症を防ぐ治療行為
製品概要
製品名 |
ゾフルーザ®錠10mg・20mg・顆粒2%分包 |
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効能・効果 |
ゾフルーザ錠20㎎・顆粒2%分包 A型又はB型インフルエンザウイルス感染症およびその予防 ゾフルーザ錠10㎎ A型又はB型インフルエンザウイルス感染症 |
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用法・用量
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通常、以下の用量を単回経口投与する
1. 治療 成人および12歳以上の小児
12歳未満の小児
2. 予防 成人および12歳以上の小児
12歳未満の小児
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【BLOCKSTONE試験1について】
BLOCKSTONE試験は、インフルエンザウイルス感染症患者(初発患者)の同居家族または共同生活者を対象に実施した、多施設共同、無作為化、プラセボ対照二重盲検比較の第III相臨床試験です。本試験は750例を対象に、日本で塩野義製薬が実施いたしました。被験者はゾフルーザの1回投与群、またはプラセボ投与群に無作為に割り当てられました。ゾフルーザの投与量は、12歳以上では体重に応じて40mgまたは80mgを1回投与、12歳未満では体重に基づき投与量が設定されました。本試験の主要評価項目は投与後10日間における、インフルエンザウイルスに感染し、発熱かつ呼吸器症状を有する被験者の割合です。ゾフルーザの1回経口投与によるインフルエンザウイルス感染症の発症抑制効果が認められ、インフルエンザウイルスに感染し、発熱かつ呼吸器症状を発現した被験者の割合は、ゾフルーザ投与群で1.9%、プラセボ投与群で13.6%でした(p<0.0001)。また、ゾフルーザ投与群において重篤な有害事象の発現は認められませんでした。BLOCKSTONE試験の結果は、New England Journal of Medicineの2020年7月8日号に掲載されております1。
【ゾフルーザ®について】
塩野義製薬が創製したゾフルーザは、キャップ依存性エンドヌクレアーゼ阻害作用によりインフルエンザウイルスの増殖を抑制します。本薬は1回の経口投与で治療が完結します。ゾフルーザは非臨床試験において、オセルタミビルに耐性を示すウイルスおよび、鳥インフルエンザウイルス(H7N9, H5N1)を含むインフルエンザウイルスに抗ウイルス効果を示しました6, 7。
本薬の開発および販売は、Rocheグループとの提携下で進めており、日本と台湾における販売は塩野義製薬が、それ以外の国ではRocheグループが行っており、日米を含め複数の国でインフルエンザウイルス感染症治療薬として承認されています。また、インフルエンザ感染症の予防適応としては、2020年11月23日に、米国において「12歳以上のインフルエンザウイルス感染曝露後予防」を適応としてFDAから追加適応承認を取得しています8。欧州では、2020年11月12日に、欧州医薬品庁(EMA)の医薬品評価委員会(CHMP)より、「12歳以上の合併症のないインフルエンザウイルス感染症治療」および「12歳以上のインフルエンザウイルス感染曝露後予防」を適応症として、ゾフルーザの承認を推奨する肯定的な見解が発表されています9。
Rocheグループは、1歳未満の小児を対象としたグローバル第III相臨床試験(miniSTONE-1試験)、さらに本薬のインフルエンザウイルス伝播抑制効果について検証するためのグローバル第III相臨床試験(CENTERSTONE試験)を実施中です。また、当社は、日本国内第III相臨床試験(BLOCKSTONE)における良好な有効性および安全性の結果をもとに、2020年3月31日に台湾において成人および12歳以上の小児におけるインフルエンザウイルス感染曝露後予防に関する新薬承認追加申請を実施しております10。
参考:
1. Hideyuki Ikematsu, MD et al. Baloxavir Marboxil for Prophylaxis against Influenza in Household Contacts. N Engl J Med 2020 Jul 8
https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa1915341
2. プレスリリース: 2019年10月16日
抗インフルエンザウイルス薬ゾフルーザ®のインフルエンザウイルス感染症予防に関する日本における効能・効果追加申請について
3. 米国疾病予防管理センター(CDC)インフルエンザ合併症のハイリスク患者の定義
CDC website, People at High Risk For Flu Complications
4. 日本感染症学会提言2012「インフルエンザ病院内感染対策の考え方について(高齢者施設を含めて)」
http://www.kansensho.or.jp/modules/guidelines/index.php?content_id=24
5. 一般社団法人日本感染症学会提言 今冬のインフルエンザとCOVID-19に備えて
http://www.kansensho.or.jp/uploads/files/guidelines/2008_teigen_influenza_covid19.pdf
6. T. Noshi et al. In vitro Characterization of Baloxavir Acid, a First-in-Class Cap-dependent Endonuclease Inhibitor of the Influenza Virus Polymerase PA Subunit. Antiviral Research 2018;160:109-117
7. K. Taniguchi et al. Inhibition of avian-origin influenza A(H7N9) virus by the novel cap-dependent endonuclease inhibitor baloxavir marboxil. Scientific Reports volume 9, Article number: 3466 (2019)
8. プレスリリース: 2020年11月24日
抗インフルエンザウイルス薬XOFLUZA®の米国における適応追加承認について-12歳以上のインフルエンザウイルス感染曝露後予防を適応として-
9. Xofluza: Pending EC decision | European Medicines Agency
https://www.ema.europa.eu/en/medicines/human/summaries-opinion/xofluza
10. プレスリリース: 2020年3月31日
抗インフルエンザウイルス薬「紓伏效®(ゾフルーザ®)」のインフルエンザウイルス感染症予防に関する台湾における新薬承認追加申請について