2021/01/15

抗インフルエンザウイルス薬XOFLUZA®の欧州における承認取得について ‐12歳以上のインフルエンザウイルス感染症治療および感染曝露後予防を適応として‐

塩野義製薬株式会社(本社:大阪市中央区、代表取締役社長:手代木 功、以下「塩野義製薬」)は、抗インフルエンザウイルス薬XOFLUZA®(一般名:バロキサビル マルボキシル)について、提携先であるF. Hoffmann-La Roche Ltd.(本社:スイス バーゼル、CEO:Dr. Severin Schwan、以下「Rocheグループ」)が「12歳以上の合併症を伴わないインフルエンザウイルス感染症治療」および「12歳以上のインフルエンザウイルス感染曝露後予防」を適応として、欧州委員会(EC)より承認を取得したことをお知らせいたします。

 

このたびの欧州での承認は、XOFLUZAの3つの第III相臨床試験(CAPSTONE-1試験1、CAPSTONE-2試験2、BLOCKSTONE試験3)の結果にもとづく、欧州医薬品庁(EMA)の医薬品評価委員会(CHMP)の承認を推奨する肯定的な見解を受けての判断となります。欧州での承認に伴い、XOFLUZAの1回経口投与が新たな選択肢として、欧州の患者さまのインフルエンザウイルス感染症の治療および感染曝露後予防に貢献することが期待されます。

 

本薬の開発および販売は、Rocheグループとの提携下で進めており、日本と台湾における販売は塩野義製薬が、それ以外の国ではRocheグループが行っており、現在、30ヵ国以上でインフルエンザウイルス感染症の治療薬として承認され、インフルエンザウイルス感染症の治療に貢献しています。

 

塩野義製薬は、取り組むべきマテリアリティ(重要課題)として「感染症の脅威からの解放」を特定し、治療薬の研究・開発だけにとどまらず、啓発・予防・診断ならびに重症化抑制といった感染症のトータルケアに対する取り組みを進めております。引き続き本薬の有効性、安全性に関するデータの収集と解析に鋭意取り組み、適正使用に向けた情報提供活動に努めてまいります。

以 上

【CAPSTONE-1試験1について】

CAPSTONE-1試験は、リスク要因を持たない健常のインフルエンザ患者を対象に行った無作為化、多施設共同、並行群間、プラセボおよび実薬対照二重盲検比較試験で、計1,436人が登録されました。本試験においてXOFLUZA® (バロキサビル マルボキシル)は、インフルエンザ症状の罹病期間をプラセボに対して有意に短縮しました(中央値:XOFLUZA群53.7時間、プラセボ群80.2時間、p<0.001)。オセルタミビルとの比較において、インフルエンザ罹病期間は同程度でした(XOFLUZA群で53.5時間、オセルタミビル群で53.8時間)。また、ウイルス排出期間(患者体内から感染性を有するインフルエンザウイルス粒子が検出されなくなるまでの期間)についても、プラセボおよびオセルタミビルに対し有意に短縮しました(中央値:XOFLUZA群24.0時間、プラセボ群96.0時間、オセルタミビル群72.0時間、p<0.0001)。さらに本薬は、また、XOFLUZAは良好な忍容性を示し、安全性上の新たな懸念はありませんでした。CAPSTONE-1試験の結果は、New England Journal of Medicineに掲載されています1

 

【CAPSTONE-2試験2について】

CAPSTONE-2試験は、重症化および合併症のリスク要因をもつ12歳以上のインフルエンザ患者を対象に、多施設共同、無作為化、プラセボおよび実薬対照二重盲検比較の第III相臨床試験です。本グローバル試験は塩野義製薬が実施いたしました。2,184名の被験者がXOFLUZA®(バロキサビル マルボキシル)40 mgまたは80 mg(体重により決定)の1回投与群、プラセボ、またはオセルタミビル75 mg 1日2回5日間投与群に無作為に割り当てられました。本試験における主なリスク要因は、喘息または肺疾患(39.2%)、65歳以上の高齢者(27.4%)、内分泌疾患(13.5%)、心疾患(12.7%)、極度の肥満(10.6%)でした。CAPSTONE-2試験における主要評価項目は、インフルエンザ罹病期間(インフルエンザ症状が回復するまでの時間)であり、12歳以上のインフルエンザ関連合併症を併発するリスクの高い患者における抗ウイルス薬の臨床効果を示した初めての臨床試験です。インフルエンザ罹病期間の中央値は、プラセボ群の102.3時間に対し、XOFLUZA群で73.2時間でした(p <0.0001)。オセルタミビルとの比較において、インフルエンザ罹病期間は同程度でした(XOFLUZA群で73.2時間、オセルタミビル群で81.0時間)。また、XOFLUZAは良好な忍容性を示し、安全性上の新たな懸念はありませんでした。CAPSTONE-2試験の結果は、The Lancet Infectious Diseasesに掲載されています2

 

【BLOCKSTONE試験3について】

BLOCKSTONE試験は、インフルエンザウイルス感染症患者(初発患者)の同居家族または共同生活者を対象に実施した、多施設共同、無作為化、プラセボ対照二重盲検比較の第III相臨床試験です。本試験は750例を対象に、日本で塩野義製薬が実施いたしました。被験者はXOFLUZA®の1回投与群、またはプラセボ投与群に無作為に割り当てられました。XOFLUZAの投与量は、12歳以上では体重に応じて40mgまたは80mgを1回投与、12歳未満では体重に基づき投与量が設定されました。本試験の主要評価項目は投与後10日間における、インフルエンザウイルスに感染し、発熱かつ呼吸器症状を有する被験者の割合です。XOFLUZAの1回経口投与によるインフルエンザウイルス感染症の発症抑制効果が認められ、インフルエンザウイルスに感染し、発熱かつ呼吸器症状を発現した被験者の割合は、XOFLUZA群で1.9%、プラセボ群で13.6%でした(p<0.0001)。また、XOFLUZA群において重篤な有害事象の発現は認められませんでした。BLOCKSTONE試験の結果は、New England Journal of Medicineに掲載されています3

 

【XOFLUZA®について】

塩野義製薬が創製したXOFLUZA®は、キャップ依存性エンドヌクレアーゼ阻害作用によりインフルエンザウイルスの増殖を抑制します。本薬は1回の経口投与で治療が完結します。XOFLUZAは非臨床試験において、オセルタミビルに耐性を示すウイルスおよび、鳥インフルエンザウイルス(H7N9, H5N1)を含むインフルエンザウイルスに抗ウイルス効果を示しました4, 5

本薬の開発および販売は、Rocheグループとの提携下で進めており、日本と台湾における販売は塩野義製薬が、それ以外の国ではRocheグループが行っており、日米を含め30ヵ国以上でインフルエンザウイルス感染症治療薬として承認されています。また、インフルエンザウイルス感染症の予防適応としては、2020年11月27日に日本において、効能・効果の追加が承認されており、米国においても「12歳以上のインフルエンザウイルス感染曝露後予防」を適応として、2020年11月23日にFDAから追加適応承認を取得しています6, 7

Rocheグループは、1歳未満の小児を対象としたグローバル第III相臨床試験(miniSTONE-1試験)、さらに本薬のインフルエンザウイルス伝播抑制効果について検証するためのグローバル第III相臨床試験(CENTERSTONE試験)を実施中です。

 

参考:

1.      Frederick G. Hayden et al. Baloxavir Marboxil for Uncomplicated Influenza in Adults and Adolescents. N Engl J Med 2018 Sep 6; 379:913-923.

2.      Michael G. Ison, MD MS et al. Early treatment with baloxavir marboxil in high-risk adolescent and adult outpatients with uncomplicated influenza (CAPSTONE-2): a randomised, placebo-controlled, phase 3 trial. Lancet Infect Dis 2020; 20 (10): 1204-1214

3.      Hideyuki Ikematsu, MD et al. Baloxavir Marboxil for Prophylaxis against Influenza in Household Contacts. N Engl J Med Jul 23; 383:309-320

4.      T. Noshi et al. In vitro Characterization of Baloxavir Acid, a First-in-Class Cap-dependent Endonuclease Inhibitor of the Influenza Virus Polymerase PA Subunit. Antiviral Research 2018;160:109-117

5.      K. Taniguchi et al. Inhibition of avian-origin influenza A(H7N9) virus by the novel cap-dependent endonuclease inhibitor baloxavir marboxil. Scientific Reports volume 9, Article number: 3466 (2019)

6.      プレスリリース: 2020年11月27日
抗インフルエンザウイルス薬ゾフルーザ®の日本におけるインフルエンザウイルス感染症予防に関する効能・効果追加承認について

7.      プレスリリース: 2020年11月24日
抗インフルエンザウイルス薬XOFLUZA®の米国にのける適応追加承認について-12歳以上のインフルエンザウイルス感染曝露後予防を適応として-