2023/01/12

抗インフルエンザウイルス薬XOFLUZA®の欧州における小児適応承認に関する Roche社の発表について

  • 1歳以上の合併症を伴わないインフルエンザウイルス感染患者に対する、単回投与の経口治療薬として欧州初の承認取得
  • 1歳以上のインフルエンザウイルス感染曝露後予防の適応も併せて取得

 塩野義製薬株式会社(本社:大阪市中央区、代表取締役会長兼社長 CEO:手代木 功、以下「塩野義製薬」)は、抗インフルエンザウイルス薬XOFLUZA®(一般名:バロキサビル マルボキシル)について、提携先であるF. Hoffmann-La Roche Ltd.(本社:スイス バーゼル、CEO:Dr. Severin Schwan、以下「Rocheグループ」)が「1歳以上の合併症を伴わないインフルエンザウイルス感染症治療」および「1歳以上のインフルエンザウイルス感染曝露後予防」を追加適応として、欧州委員会(EC)より承認を取得したことを発表しましたので、お知らせいたします。

 本追加適応の承認は、小児を対象に海外で実施された第III相臨床試験(miniSTONE-2)と、成人および小児を対象に感染曝露後の予防効果を評価した国内第III相臨床試験(BLOCKSTONE)の結果をもとに判断されました。両試験の結果は、The Pediatric Infectious Disease JournalおよびThe New England Journal of Medicineにそれぞれ掲載されています1, 2。欧州では、これまでに「12歳以上の合併症を伴わないインフルエンザウイルス感染症治療」および「12歳以上のインフルエンザウイルス感染曝露後予防」の適応でECより承認されており3、このたびの追加適応により、1歳以上の小児においても単回経口投与型の新しい治療・予防の選択肢が提供可能となります。
 本薬の開発および販売は、Rocheグループとの提携下で進めており、日本と台湾における販売は塩野義製薬が、それ以外の国ではRocheグループが行っています。日米を含め70ヵ国以上でインフルエンザウイルス感染症治療薬として承認されています。
 塩野義製薬は、取り組むべきマテリアリティ(重要課題)として「感染症の脅威からの解放」を特定し、治療薬の研究・開発だけにとどまらず、啓発・予防・診断ならびに重症化抑制といった感染症のトータルケアの実現に向けた取り組みを進めております。引き続き本薬の有効性、安全性に関するデータの収集と解析に鋭意取り組み、適正使用に向けた情報提供活動に努めてまいります。
以 上

【miniSTONE-2試験1について】

 miniSTONE-2試験は、1歳以上12歳未満の合併症のない小児患者を対象に実施した多施設共同、無作為化、オセルタミビル対照二重盲検比較の第III相臨床試験です。本試験は、発症後48時間以内で38℃以上の発熱および1つ以上の呼吸器症状を有する被験者を対象に、Rocheグループが実施しました。被験者は5歳以上12歳未満、1歳以上5歳未満の2つのコホートに分けられ、両コホートともにXOFLUZAの1回投与群、またはオセルタミビルの1日2回5日間投与群に無作為に割り当てられました。両薬剤の投与量は体重を基に設定されました。本試験の主要評価項目はインフルエンザ症状の罹病期間です。XOFLUZAの1回経口投与による罹病期間はオセルタミビル(1日2回5日間投与)の値と同程度であり、その中央値はXOFLUZA群で138.1時間(95% CI: 116.6, 163.2)、オセルタミビル群で150.0時間(95% CI: 115.0, 165.7)でした。また、XOFLUZA群は、オセルタミビル群と比較して、インフルエンザウイルスが体内から排出される期間を約2日短縮しました(インフルエンザウイルスの排出停止までの時間(中央値)は、XOFLUZA群で24.2時間(95% CI: 23.5-24.6)、オセルタミビル群で75.8時間(95% CI: 68.9-97.8)でした)。本試験におけるXOFLUZA群の忍容性は良好であり、新たな有害事象は認められませんでした。

【BLOCKSTONE試験2について】

 BLOCKSTONE試験は、インフルエンザウイルス感染症患者(初発患者)の同居家族または共同生活者を対象に実施した、多施設共同、無作為化、プラセボ対照二重盲検比較の第III相臨床試験です。本試験は日本において塩野義製薬が実施しました。被験者(成人および小児)はXOFLUZAの1回投与群、またはプラセボ投与群に無作為に割り当てられました。XOFLUZAの投与量は、体重を基に設定されました。本試験の主要評価項目は投与後10日間における、インフルエンザウイルスに感染し、発熱かつ呼吸器症状を有する被験者の割合です。XOFLUZAの1回経口投与によるインフルエンザウイルス感染症の発症抑制効果が認められ、インフルエンザウイルスに感染し、発熱かつ呼吸器症状を発現した被験者の割合は、XOFLUZA群で1.9%、プラセボ群で13.6%でした(p<0.0001)。本試験におけるXOFLUZA群の忍容性は良好であり、新たな有害事象は認められませんでした。

【XOFLUZA®について】

 塩野義製薬が創製したXOFLUZA(バロキサビル マルボキシル)は、キャップ依存性エンドヌクレアーゼ阻害作用によりインフルエンザウイルスの増殖を抑制し、1回の経口投与で効果を発揮します4。XOFLUZAは非臨床試験において、オセルタミビルに耐性を示すウイルスおよび、鳥インフルエンザウイルス(H7N9, H5N1)を含むインフルエンザウイルスに抗ウイルス効果を示しました5, 6

 本薬の開発および販売は、Rocheグループとの提携下で進めており、日本と台湾における販売は塩野義製薬が、それ以外の国ではRocheグループが行っています。日米を含め70ヵ国以上でインフルエンザウイルス感染症治療薬として承認されています。日本においては、成人および小児に対する「A型またはB型インフルエンザウイルス感染症の治療および予防」を効能・効果とし、製品名ゾフルーザ®として販売されています7, 8。塩野義製薬では、引き続きあらゆる面から変異株ならびに本薬に対する感受性に関するデータを集積し、学会や科学論文等を通じて最新の知見を医療関係者の皆さまに提供していきます。また、Rocheグループは、1歳未満の小児を対象としたグローバル第III相臨床試験、本薬のインフルエンザウイルス伝播抑制効果について検証するためのグローバル第III相臨床試験を実施中です。

参考:

  1. 1
    Baker J, et al. Pediatr Infect Dis J. 2020;39(8):700-705.
  2. 2
    Ikematsu H, et al. N Engl J Med 2020;383:309-320.
  3. 3
    プレスリリース: 2021年1月15日
    抗インフルエンザウイルス薬XOFLUZA®の欧州における承認取得について ‐12歳以上のインフルエンザウイルス感染症治療および感染曝露後予防を適応として‐
  4. 4
    Hayden FG, et al. N Engl J Med 2018;379:913–923.
  5. 5
    Noshi T, et al. Antiviral Res. 2018;160:109-117.
  6. 6
    Taniguchi K, et al. Sci Rep. 2019;9:3466.
  7. 7
    プレスリリース: 2018年3月14日
    抗インフルエンザウイルス薬「ゾフルーザTM錠10mg・20mg」新発売のお知らせ
  8. 8
    プレスリリース: 2020年11月27日
    抗インフルエンザウイルス薬ゾフルーザ®の日本におけるインフルエンザウイルス感染症予防に関する効能・効果追加承認について

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https://www.shionogi.com/jp/ja/quest.html#3.