2023/02/27

抗HIV治療における持効性注射剤Cabenuva(カボテグラビルおよびリルピビリン)の SOLAR試験の良好な結果に関するViiV社の発表について

  •  SOLAR試験の一年間のデータにおいて、2ヵ月に1回投与の持効性注射剤Cabenuvaの、毎日1回服用する経口薬Biktarvy(Gilead Sciences社)に対する非劣性が示された
  •  BikrtarvyからCabenuvaに切り替えた参加者の約90%は、毎日服用する経口薬よりも持効性注射剤による治療を好んだ

塩野義製薬株式会社(本社:大阪市中央区、代表取締役会長兼社長 CEO:手代木 功、以下「塩野義製薬」)は、塩野義製薬がGlaxoSmithKline plc.およびPfizer Inc.とともに資本参加しているViiV Healthcare Ltd.(以下「ViiV社」)が、持効性注射剤であるCabenuva(カボテグラビル(ViiV社)およびリルピビリン(Janssen社))と経口投与レジメンである Biktarvy (ビクテグラビル/エムトリシタビン/テノホビル アラフェナミド:Gilead Sciences社) を直接比較した第IIIb相試験の良好な結果を第30回 Conference on Retroviruses and Opportunistic Infectious (CROI)2023にて発表しましたので、お知らせいたします。

 

SOLAR試験は、Biktarvyで治療中のウイルスが抑制されているHIV患者(N=670)を対象として、Cabenuvaによる治療への切り替え(N=447)、もしくはBiktarvyによる治療の継続(N=223)の2群に分けて有効性、安全性、治療満足度等を評価した第IIIb相臨床試験です。

 

SOLAR試験の結果、12ヵ月時点のウイルス学的失敗基準(血漿中HIV-1 RNA ≧50コビー/mL)に合致する患者の割合では、Cabenuvaへの切り替え群はBiktarvy継続群に対し非劣性を示し、主要評価項目を達成しました。また、平均治療満足度スコア(HIVTSQ)による調査の結果、治療満足度はベースラインからの変化量が Cabenuvaでは3.36となり、Biktarvyの結果-1.59と比較して統計学的に優位な改善が認められました。(p<0.001)(ベースラインCabenuva:57.88、Biktarvy:58.38)さらに、Cabenuvaによる治療に切り替えて調査を完了した参加者の 約90% は、毎日服用の経口薬よりも持効性注射剤による治療を好みました(n=382/425)。その他の結果については、参考をご参照ください。

 

世界初の持効性注射剤であるCabenuvaは、米国1,2,3、欧州4、日本5を含むグローバルで展開しています(欧州と日本では Vocabriaおよび ボカブリア水懸筋注の製品名で販売されています)。今回発表された結果は、HIV感染患者の治療満足度をさらに向上することで、HIV治療のパラダイムシフトを起こす可能性を示唆しています。新たな治療の選択肢であるCabenuvaの価値をより多くのHIV感染患者にお届けできるよう、ViiV社は引き続き有効性および安全性の情報を収集していく予定です。また、患者から報告された転帰に関する追加データを含むSOLAR試験の追加調査結果は、今後の学会で発表される予定です。

 

塩野義製薬は、取り組むべきマテリアリティ(重要課題)として「感染症の脅威からの解放」を特定し、HIV感染症をはじめとする三大感染症への取り組みを推進しております。当社は今後もViiV社の経営に参画することで、HIV感染症治療と予防の両面で、当社より権利を導出したdolutegravir、cabotegravir ならびにS-365598の価値最大化を通じたグローバルヘルスへの貢献を果たしてまいります。

 

なお、本件が2023年3月期の連結業績予想に与える影響は軽微です。

 

以 上

 

 

参考:

SOLAR試験の結果概要(詳細はViiV社の発表を参照ください。)】

l  ウイルス学的失敗基準に合致する患者の割合

Cabenuva切り替え群:1%(5/447)、Biktarvy継続群:<1%(1/223)

l  ウイルス抑制効果を示した患者の割合

Cabenuva切り替え群:90%(403/447)、Biktarvy継続群:93%(207/223)

l  忍容性、安全性

忍容性が良好で、注射部位反応を除外すると有害事象と重篤な有害事象は両群間で同等であった。

l  治療満足度

Cabenuvaに切り替えた患者の 約90% が、毎日服用の経口薬よりも不安や心配事の改善につながる持効性注射剤による治療を好みました。理由は以下の通りです。

ü  治療薬の飲み忘れの心配がない

ü  2ヵ月に1回の方が、利便性が高い

ü  治療薬を常に携帯する必要がない

ü  自分がHIVに感染していることを毎日思い起こしたり、そのことを考える必要がなくなる

ü  HIV薬を服用していることを他の人に知られてしまうことへの不安の解消

 

1.        プレスリリース: 2021年1月22日
抗HIV治療における月1回投与の長期作用型注射2剤レジメンCabenuva(カボテグラビルおよびリルピビリン)の米国における承認取得に関するViiV社の発表について

2.        プレスリリース: 2022年2月2日
抗HIV治療における長時間作用型注射レジメンCabenuva (カボテグラビルおよびリルピビリン)の米国における2ヵ月に1回投与の承認取得に関するViiV社の発表について

3.        プレスリリース: 2022年3月25日
抗HIV治療における長時間作用型注射レジメンCabenuva (カボテグラビルおよびリルピビリン)の米国における経口剤による導入治療のオプション化に関するViiV社の発表について

4.        プレスリリース: 2020年12月22日

抗HIV治療における長期作用型注射剤Vocabria(カボテグラビル)の欧州における承認取得に関するViiV社の発表について

5.        プレスリリース: 2022年6月1日

抗HIV治療における初の長時間作用型注射剤「ボカブリア水懸筋注」の 日本での承認取得に関するViiV社の発表について

 

 

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