2024/04/19

グラム陰性菌感染症治療薬セフィデロコルの治療が困難とされる細菌感染症に対する高い臨床効果について

·         欧州臨床微生物学感染症学会議(ECCMID)において、欧州最大規模のセフィデロコルに関する新規リアルワールドエビデンスを発表

·         世界保健機関(WHO)の最優先リストに分類されるグラム陰性菌に感染した、治療選択肢が限られた患者に対する良好な臨床効果と高い28日目生存率を確認

塩野義製薬株式会社(本社:大阪市中央区、代表取締役会長兼社長CEO:手代木 功、以下「塩野義製薬」)は、グラム陰性菌感染症治療薬セフィデロコル(日本での製品名:フェトロージャ®、米国での製品名:Fetroja®、欧州での製品名:Fetcroja®)について、治療が困難とされるグラム陰性菌感染症に対する有効性を評価した新規リアルワールドエビデンス(PERSEUS研究)を、2024年4月27日~30日にスペイン バルセロナで開催される第34回欧州臨床微生物学感染症学会議(ECCMID)にて発表することを、お知らせいたします。

 

このたび発表する PERSEUS研究は、実臨床でのグラム陰性菌感染症患者に対するセフィデロコルの有効性と安全性の評価を目的に実施された、スペインにおける早期アクセスプログラム(EAP:Early Access Program)を活用した後ろ向き観察研究です。本研究では、グラム陰性菌に感染し、治療選択肢が限られた患者で、72時間以上連続してセフィデロコルが投与された患者のデータを解析しました。その結果、主要評価項目である臨床的成功率は84.3%、28日目の全死因死亡率は21.5%であり、良好な臨床効果が示されました。

 

本研究において、治療選択肢が限られセフィデロコルを投与された重症成人患者261例を含む患者背景は以下の通りでした1

‧   最も多かった感染症は呼吸器感染症(47.9%)で、緑膿菌(66.7%)、肺炎桿菌(10.0%)、ステノトロフォモナス・マルトフィリア(7.7%)による感染でした。また、20%の患者は、複数の菌に感染していました。

‧   64.8%の患者が感受性を確認した全ての抗菌薬に耐性を有しており、44.4%の患者がセフィデロコルの前に投与された抗菌薬治療に失敗していました。

‧   評価対象の患者は重篤で、63.2%の患者が集中治療室に入っており、47.1%の患者が人工呼吸器を装着し、28%の患者が敗血症性ショックを起こしていました。

主な併存疾患は、免疫抑制状態(30.3%)、固形または血液腫瘍(23.8%)、糖尿病(22.2%)、移植(20.7%)、慢性腎疾患(13.0%)、慢性閉塞性肺疾患(10.3%)でした。

 

また、これらの 261 例の患者において、セフィデロコルの忍容性は良好であり、6例の患者で副作用が確認されました。

 

これらの結果が示すように、本試験においてセフィデロコルによる治療が様々なグラム陰性菌感染症の治療に効果的で忍容性が高いことが確認されました。

 

塩野義製薬は、取り組むべきマテリアリティ(重要課題)として「感染症の脅威からの解放」を特定し、感染症のトータルケアの実現に向けた取り組みを進めております。当社は、グローバルの課題であるCOVID-19や薬剤耐性(AMR:Antimicrobial resistance)の対策の成功に向け、人々の健康を守るために必要な感染症治療薬を、世界中の患者さまのもとにいち早くお届けできるよう、引き続き努力してまいります。

 

以 上

 

【セフィデロコルについて】

セフィデロコルは、多剤耐性菌を含むグラム陰性菌の外膜を効果的に通過して、抗菌活性を発揮する新規のシデロフォアセファロスポリン系抗菌薬です。セフィデロコルは、細菌のカルバペネムへの耐性獲得に関連する3つの主な機序(βラクタマーゼによる抗菌薬の不活化、ポーリンチャネルの変異による膜透過性低下、排出ポンプの過剰産生による薬剤の細菌細胞外への排出)による影響を受けにくく、抗菌力を発揮します。鉄と結合する独自の構造を有することにより、細菌が養分である鉄を取り込むために利用する鉄トランスポーターを介し、細菌内に能動的に運ばれます。その結果、セフィデロコルは細菌のペリプラズム内に取り込まれ、細胞壁合成を阻害します。セフィデロコルは、欧米において承認を取得し、欧州においてはFetcroja®の製品名で、米国ではFetroja®の製品名で、日本においてはフェトロージャ®の製品名でそれぞれ販売されています。WHOの必須医薬品リストにも掲載されており、また、多くの低中所得国、高中所得国で本新規抗菌薬を必要とする患者へのアクセスを改善するために、The Global Antibiotic Research and Development Partnership(GARDP)およびClinton Health Access Initiative(CHAI)との3者連携契約を通じて準備を進めています。

 

参考:

1.       Ramirez P et al. Real-world effectiveness and safety of cefiderocol in patients with Gram-negative bacterial infections in the early access programme in Spain: results of the PERSEUS study. Abstract. ECCMID 2024.

 

 

[お問合せ先]

塩野義製薬ウェブサイト お問い合わせフォーム:https://www.shionogi.com/jp/ja/quest.html#3.